えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
パメラ・ホーガン監督の『女性の休日』を見ました。1975年10月24日に権利と平等のためにアイスランドの女性たちが仕事や家事をいっせいに休んだ日をハイライトとしたドキュメンタリー映画です。
この日をアイスランドでは「女性の休日」と呼ぶらしい。たびたびこの日にデモが行われ、今年は50周年の集会が大々的になされたそうです。インタビューである「女性の休日」に参加した人は男性たちの中に入りたかったのではなく、それを変えたかった、というのがとても印象に残りました。さて、わが国の今の総理大臣はどうでしょう? 男女の平等というと、もっとも後進国であったアイスランドはこの日を境に変わり始め、今ではジェンダーギャップ指数で16年連続の世界1位だそうです。
映画の中のアニメーションが面白くてかわいい。10歳のビョークが「女性の休日」のデモでステージをフルートを握りしめて降りていく映像があるというのだけれど、そのビョークがエンドクレジットの音楽を作成し、歌っています。女性でも男性でも見るべき、見て面白く、感動する映画であります。
映画『女性の休日』オフィシャル・サイト
三宅唱監督の『旅と日々』を見ました。原作はつげ義春さんの漫画「海浜の叙景」と「ほんやら洞のべんさん」でこの二本の漫画を大胆に接続している。ミニマルでストーリーの起伏も小さく、だからなのか、「海浜の叙景」の漁師町と「ほんやら洞のべんさん」の雪深い山の景色が美しい。
河合優実さんの演ずる「海浜の叙景」の締めくくりはなんとも感じがいい。シム・ウンギョンさんの演ずる脚本家の李のやうに、ぼくも若いころ、行き先も泊まるところも決めず、旅をしたことが何度もあって、そのことを思い出してしまいます。その思い出もはるか昔のことになって、『旅と日々』は新しくも、懐かしくも感じるのです。三宅唱監督でつげ義春さんの原作による映画をあと何本か見てみたく思った。
帰ったらつげ義春さんの漫画が読みたくなり、本棚の山の中を探して、読んでしまった。つげさんの漫画はやっぱいいなあ。
こんな旅がまたしたくなります。
映画『旅と日々』公式サイト
澁澤龍彦の著した『三島由紀夫おぼえがき』を読みました。三島由紀夫に関する文章が二十三篇、三島由紀夫との対談が二篇、出口裕弘との対談が一篇。眠れない秋の夜、ほぼ一気読みです。
今年は三島由紀夫生誕百周年にあたり、もっと狂騒的なブームとなるかと思っていたが、そのようなことはなかった。寂しくもあり、ほっと胸をなでおろしてもいます。三島由紀夫の愛国を受け継ぐ右翼団体を一水会ぐらいしかぼくは知らない。三島由紀夫、死して五十五年、月日は経った。集団的自衛権による海外への自衛隊の出動が将来、あって、死して若者がもどってくれば、三島由紀夫は身悶えし、怒り狂うのではないかしら。自衛隊はアメリカの傭兵であっていいのか? 建軍の精神とは何だ? 天皇陛下が海外での自衛隊の若者の死を望んでおられるとでもいうのか? そのような三島由紀夫の声すら聞こえる気がします。そのような声が想像の中で聞こえつつも、その観念による死に一人の若い人を道連れにし、死にいたらしめたということにおいて、ぼくは三島由紀夫を許すことはできないのだけれど。
さて、ぼくは、三島由紀夫の死に関しては、岸田秀の「三島由紀夫論」と『三島由紀夫おぼえがき』の中のいくつかの文章が、もっとも説得的であるように思われる。この本の出口裕弘との対談で三島由紀夫の最後の長編である『豊饒の海』が論ぜられているのだけれど、そこで澁澤龍彦は一巻目の「春の雪」と二巻目の「奔馬」を傑作とし、三巻目の「暁の寺」を衰滅と批評し、四巻目の「天人五衰」を破綻と断じていて、その「天人五衰」の驚くべき終章と同じことが、三島由紀夫の人生にも起きていたのではないかと推測している。夢の中のように生きて、かろうじて生をたもってきた三島由紀夫に、初めて現実の奔流が押し寄せてきたのではないか、と澁澤龍彦は言っている。そこは何もない月の裏側の豊饒の海のごとくの干からびた虚無であろう。『豊饒の海』ほど恐ろしくも美しい、その両方の備わった小説をぼくは知らないのです。
三島由紀夫おぼえがき -澁澤龍彦 著
十一月五日、新宿末廣亭にて令和七年十一月上席昼の部です。見た演目を書き出してみます。前座の神田紫天くんの講談「仙台の鬼夫婦」、二つ目の桂小右治くんの新作「ぜんざい公社」、昔昔亭A太郎師匠の新作「罪と罰」、おせつときょうたのお二人の漫才、古今亭今輔師匠の新作「釣りの酒」、立川談四楼師匠の「熊の皮」、瞳ナナさんの奇術、瀧川鯉朝師匠の「平林」、桂三若師匠の新作「妻の旅行」、宮田陽さんと宮田昇さんのお二人の漫才、桂幸丸師匠の新作「幸丸流吉田茂伝」、柳家蝠丸師匠の「義眼」でお仲入りです。瀧川鯉斗師匠の「強情灸」、ナオユキさんのスタンダップコメディー 、三遊亭遊雀師匠の「四段目」、三笑亭可龍師匠の「七段目」、ボンボンブラザースのお二人の曲芸 、主任は桂枝太郎師匠の「中村仲蔵」でした。
特に印象に残った演目です。立川談四楼師匠の「熊の皮」は江戸の正統の落とし噺にほれぼれとします。桂三若師匠の「妻の旅行」は、柳家はん治師匠の高座でよく聞いておりましたが、もともとは桂文枝師匠の噺で、上方の関西弁となるとこうなるのか、と感心いたしました。宮田陽さんと宮田昇さんの漫才で大爆笑。桂幸丸師匠の「幸丸流吉田茂伝」もよかった、よかった。瀧川鯉斗師匠の「強情灸」は意地っ張りの粋な江戸の風がさわやかに吹いておりました。ナオユキさんのスタンダップコメディーでクスクス笑いも楽しい。三遊亭遊雀師匠の「四段目」と三笑亭可龍師匠の「七段目」は、歌舞伎の芝居を題材とした滑稽噺でとても楽しゅう笑わせていただきました。そして、ついに、ボンボンブラザースのお二人の曲芸では、ぼくは帽子を投げるという大役を仰せつかったのでこざます。うまくできなかったけれどこれも楽しかった。主任の桂枝太郎師匠の「中村仲蔵」は、ついこの前、見た柳家さん喬師匠の「中村仲蔵」も思い出してしまいます。桂枝太郎師匠の「中村仲蔵」は初々しくも、緊張しているのがつたわってくるようでした。客席からは指先の動きすらよく見えるのでごさいます。芸の道は果てしなく長い、というのをエールとしてお送りしたい、と存じます。
暗いこの世のつらさ忘れ、寄席は心のオアシスです。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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