えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
ファティ・アキン監督の『白パンと独裁者』を見ました。第二次世界大戦中のドイツのとある疎開先の島での物語でした。荒涼としていながら美しい島の風景が圧巻です。詩的な美しくノスタルジーにみちた映像で語られる銃後の戦争と敗戦の痛みに胸がうずきます。イタリアでも日本でも同じことが起きていたことは容易に想像もできます。トルコ系移民の子のドイツ人監督による『白パンと独裁者』は小津安二郎の映画をも思わせ、ニュー・ジャーマン・シネマは健在なのです。映画のこと、戦争のこと、英雄ではない普通の人びとの生活こと、いろいろと考えさせらせもし、感動しました。
ファティ・アキン監督最新作『白パンと独裁者』 | 8.7 Fri.公開
東京都美術館で『東京都美術館開館100周年記念 大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画』を見ました。大英博物館の収集、修復、保管している江戸時代を中心とした美術品の展覧会でありました。
大英帝国、恐るべし、もしも、日本でこれらが収蔵されていたならば、重要文化財どころか国宝となるだろうものも、多く展示されております。ぼくらは、打倒、帝国主義などとはいわずに、英国に感謝すべきかもしれないのだ。今回の展覧会で展示されていた浮世絵は明治時代に紙くずとなりつつあったのを英国が救い、美術品として正当に位置づけ、保管してくれていたのです。そして、二十一世紀も四分の一が過ぎた今、待望の里帰り、本当に多くの老若男女の人たちが東京都美術館につめかけております。お帰りなさい、とぼくも嬉しくも小さくうなずいたのであります。
哲学者の宮野真生子さんと人類学者の磯野真穂さんの取り交わした往復書簡を本にした『急に具合が悪くなる』を読みました。濱口竜介監督の映画『急に具合が悪くなる』の原作となっておりますが、内容はかなり違います。濱口竜介監督さんは宮野真生子さんと磯野真穂さんにレスペクトを込めて原作としたのかもしれません。
本の『急に具合が悪くなる』ですが、二人の女性が一年にも満たない間に、シスターフッドからソウルメイトとなる奇跡のようなやりとりが綴られております。などと書くと、宮野真生子さんと磯野真穂さんのお二人に「シスターフッド」とか「ソウルメイト」とかって、そのラベル付けな何、と抗議されそうです。「『急に具合が悪くなる』の舞台裏」と「付記」を読みながら、ついにぼくの涙腺はおさえられないような状況となってしまいました。やはり、これはラインにより深く刻まれた奇跡なのだ、とぼくは思うのです。
急に具合が悪くなる
パウル・クレーの画集に谷川俊太郎さんが含意に富んだ美しい詩をそえた『クレーの絵本』を読む。ふと、ぼくのもっとも好きな画家はパウル・クレーかもしれない、と思い、この本を手に取った次第であります。スイスで生まれ60歳で1940年に没したパウル・クレーは、その晩年期、ベルリンの芸術学校、バウハウスで教鞭を取っていたのだけれど、ナチスから「退廃芸術」という栄光ある烙印を押され、弾圧される。パウル・クレーはその芸術において、表現主義、超現実主義、構成主義のどれにも、どこにも属さなかった。パウル・クレーの墓碑にはこうあるという。
「この世では、ついに私は理解されない。なぜならいまだ生を享けていないものたちのもとに、死者のもとに、私はいるのだから」
『クレーの絵本』(パウル・クレー,谷川 俊太郎)