えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ



横浜美術館に『第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」』を見に行く。
3年に1回の現代美術の祭典。ふと始まったばかりの20年前ぐらいに見た『横浜トリエンナーレ』を思いだし、そのころはエレクトロニクスを使った体験型の美術作品も多くを占め、好評であったが、時は流れた。今、東京都の何十億円もかけたプロジェクションマッピングはその金銭面から批判されているけれど、美的にも芸術としてもあまりに陳腐だ。
さて、『横浜トリエンナーレ』の今年のテーマ「野草:いま、ここで生きてる」は、中国の詩人、魯迅の詩からとられている。魯迅は社会に常にコミットしつづけ、安住の地すらついには求めなかったという。あまり期待せずに見に行ったのだが、歴史と地域、国家、宗教などのおらゆるものを草花の種のように越境する現代の芸術家の問題意識が今というすさんだ時代に一矢報い、ぼくの心と魂に刺さるかのようでもあるのだ。
ガザで毎日、子どもや赤ちゃんが殺されていく今という時代。なんという憂鬱なのだろう。陳腐なプロジェクションマッピングではなく、むしろ、ピカソのゲルニカのように、世界の痛苦と共感し、愛すらも示す、何人もの無名の芸術家こそ必要だ。ぼくはそのような芸術の力を信ずる。『第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」』は6月9日の日曜日まで開会中。


新宿末廣亭令和六年六月上席昼の部に参りました。
見た演目を書き出してみます。前座の桃月庵ぼんぼりくんの「子ほめ」、二つ目の林家あんこさんの「鏡屋女房」、二つ目の三遊亭萬都くんの「初天神」、ストレート松浦さんのジャグリング、春風亭柳枝師匠の「五目講釈」、蜃気楼竜玉師匠の「親子酒」、三遊亭窓輝師匠の「権兵衛狸」、林家八楽師匠の紙切り、桃月庵白酒師匠の「縁起かつぎ」、柳家小袁治師匠の「堪忍袋」で仲入り前に今日は落語の日ということで、おめでたい手拭い蒔きもございました。そして、林家つる子師匠の「反対俥」、笑組の漫才、林家正雀師匠の「鴻池の犬」、柳家小里ん師匠の「碁泥」、立花家橘之助師匠の浮世節、主任は林家正蔵師匠の「雛鍔(ひなつば)」。
眠くなって、うつらうつらするのも寄席での幸せの一つではありますが、眠くならず、さらには印象に残った演目をいくつか述べさせていただきます。桃月庵白酒師匠の「縁起かつぎ」は大笑いしました。今、一番のっている落語家の桃月庵白酒師匠の独演会を近いうちに見にいかなきゃ。林家つる子師匠の「反対俥」は、つる子師匠ならこれという、林家正蔵師匠いわく暑苦しくも、エネルギッシュな名演です。三味線を持った立花家橘之助師匠の浮世節を聴けば、さーっと江戸の風が吹いてきて、お客さんをありし日の江戸の下町にはこんでくれる。これがいい。林家正蔵師匠の「雛鍔」の枕の、正蔵師匠の子どものころの雛祭りの話、お父さんの林家三平の話、憧れた古今亭志ん朝の話から、さーっと本題に移るその見事さ。本題の人情噺「雛鍔」に江戸の涼しい風も吹く。素晴らしかった。
寄席はパラダイスですな。


東京オペラシティコンサートホールで『パソナグループ「夢オーケストラ」第15回チャリティコンサート~能登半島地震 復興支援~』を見ました。演目は、べートーヴェンの「ロマンス第2番 へ長調」、クライスラーの「愛の悲しみ」と「愛の喜び」、ベートーヴェンの「交響曲第9番」。
数人の客演と指揮者を除き、オーケストラもコーラスもパソナグループの社員かその協力会社の社員であることに驚く。ぼくの友だちもコーラスに参加しているのですが、それぞれ、会社の勤務の後にこれを練習しているのだと思うと、人間の可能性について、ぼくは思いいたってしまう。
素晴らしき演奏に、指揮者の曽我大介さんの素晴らしい人間性も垣間見られ、演奏の後、「交響曲第9番」について、平和の方へ世界が進んでいることを信じることから始めなければ、平和は来ないし、そうすれば、いつか世界は平和になるのじゃないか、とおっしゃっておられた。プログラムに載せられた「交響曲第9番」の第4楽章のシラーによる詩にもこうあるではないか。
♪♪♪
君(歓喜)の柔らかな翼の下
時流が強く切り離したものを
君の不思議な力は再び結び合わせ、
すべての人々は兄弟となる♪♪♪
これらの演奏と合唱はぼくの胸に確かに力強く届き、その喜びの声は今日の曇り空の上まで響いているかのようでした。貴族からの庇護をよしとしない根っから民主主義者、自由主義者だったベートーヴェンも、空の向こうで、この市民オーケストラと市民のコーラスに喜んでいるのではないか、そんなコンサートでした。


上野の鈴本演芸場へ令和六年四月下席昼の部を見に行きました。見た演目を書き出してみました。前座の三遊亭歌ん太くんの「狸札」、二つ目の鈴々舎美馬さんの「ん廻し」、桂文雀師匠の「悋気の独楽」、春風亭勢朝師匠の漫談、江戸家猫八師匠の動物ものまね、三遊亭志う歌師匠の「やかん」、春風亭一之輔師匠の「松山鏡」、のだゆきさんのピアニカ漫談、むかし家令松師匠の「天狗裁き」、春風亭小朝師匠の「鰍沢」、ロケット団の漫才、柳家小満ん師匠の「寝床」。印象に残った演目をいくつか。相模原の噺家の星、鈴々舎美馬さんの「ん廻し」はこの呑気な感じがいいなぁ。春風亭一之輔師匠の「松山鏡」の大爆笑しながらのしみじみとした感じ。のだゆきさんのピアニカ漫談のシュールさは大好きです。
夕方に横浜スタジアムに移動し、フレーフレー・ベイスターズ。今日の阪神との試合は延長12回での1対1の引き分けとなりました。塁には走者を進めるが、決め手のヒットが出ません。ライトの度会選手はスランプか、打てなくなってしまった。プロは厳しいのう。投手陣はかなりよかった。首位の阪神とのゲーム差は2ゲームの5位のベイスターズで、ペナントレースはダンゴムシ状態。まだまだこれからです。


初台の東京オペラシティコンサートホールにバッハの『マタイ受難曲』を聴きに行きました。現代音楽の作曲家、武満徹が新しいプロジェクトを始める時は必ずこの『マタイ受難曲』のピアノ版を全編、弾いていたということを知り、いつか生演奏の『マタイ受難曲』を聴いてみたいと思っていたのが叶ったのです。
合唱と演奏は、鈴木優人さんの指揮する、ヨーロッパでも賞を取るほどの高く評価されているバッハ・コレギウム・ジャパンの面々。そこにはパイプオルガン奏者もおり、指揮者自身がチェンバロも弾いております。プログラムに掲載されていた歌詞の訳を見つつ、鑑賞しました。素晴らしかった。
親鸞の浄土真宗にひかれるぼくはクリスチャンではないけれど、今日は「聖金曜日」という、一年に一回のキリストの受難と死を記念する日だそうで、何か清められるような心持ちもしました。本当の祈りは世界共通だという気がしました。そして、ぼくの前に座っていたドイツ人らしき人は、ラストの合唱に合わせて、手を組み、祈っているようなのです。その詞をプログラムから引用し、ぼくも世界の安寧を祈ります。
♪♪♪
今や、主は安息につかれた。
わがイエスよ、おやすみなさい。
私達の罪がもたらした主の労苦は終わった。
わがイエスよ、おやすみなさい。
おお、聖なる手足よ、見てください、私が懺悔と悔い改めをもって、どんなに嘆いているか、私の堕落がこの手足にこんなにも苦痛を与えたことを。
わがイエスよ、おやすみなさい。
私の生きている限り、あなたの受難に幾千万の感謝を捧げましょう、私の魂の救いをこんなにも尊いものとしてくださったのですから。
わがイエスよ、おやすみなさい。
さあ、ひざまずきましょう、涙を流しつつ、
そして、呼びかけましょう、墓の中のあなたに。
憩いたまえ、安らかに、安らかに、憩いたまえ。
憩いたまえ、疲れ果てた御体よ、
憩いたまえ、安らかに、憩いたまえ、緩やかに。
あなたの墓と墓石は
不安に満ちた良心の
心地よい憩いの枕、
そして魂の逃れ場となるのです。
憩いたまえ、安らかに、憩いたまえ、緩やかに。
この目はそこで、至福に満ち足りて、眠りにつくことでしょう。♪♪♪


上野の東京文化会館で、演奏会形式ではありますが、昔からいつか見たいと思っていたワーグナーのオペラ『トリスタンとイゾルデ』を鑑賞しました。ぼくもワグネリアンのはしくれのはしくれで、ワーグナーの歌劇は大好きなのです。
恋の始まり、逢瀬、悲劇といった三幕もの。指揮はポーランド出身のマレク・ヤノフスキさん、演奏はNHK交響楽団、トリスタンはオーストラリアからスチュアート・スケルトンさん、イゾルデはノルウェーからビルギッテ・クリステンセンさん、合唱は東京オペラシンガーズという国際的な面々、布陣。舞台セットはしつらえてなかったけれど、ぼくは心の中で劇を想像もする。
その席はなんと前から四列目のほぼ真ん中。バイオリン奏者の譜面をめくる音さえ時々聞こえる。調性のわからないようなメロディー、偽終止、無限旋律で奏でられる物語は、昼よりも夜の優位性、愛、甘美、死、悲劇。素晴らしかった。
恋の媚薬というものをぼくも飲んでみたいと思うが、やっぱやめとくか。


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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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