えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

entry_top_w.png

黒澤明監督の『羅生門』をVODで見ました。1950年の日本映画です。

原作は芥川龍之介の『羅生門』ではなく、芥川の『藪の中』。ラストの捨てられた赤ん坊を志村喬の演じる杣売りが自ら育てると受け取るシーンは映画化により付け足された話であると思い、そこはいかにもヒューマニストの黒澤らしい。それ以外のこの映画の話はまったく芥川龍之介らしく、事件の当事者の三船敏郎の演じる盗賊の語ることも、森雅之演じる武士の語ることも、京マチ子演じる武士の妻の語ることも、本質的には交わらず、誰もが孤立した夢の中にいるように思えるのはどうしてだろう? このような話を書いた天才の小説家は、悲劇の最期を遂げるしかなかったようにも思えたのです。

松竹の雨はしとしと降り、大映の雨はざーざー降るといわれたらしいけらど、一級の演出家である黒澤明が『羅生門』に降らせた雨はまったくの豪雨で、曖昧なハッピーエンドでは小雨になっている。

京マチ子は妖艶で、志村喬は悩み、それは後の黒澤作品の『生きる』を先行するかのようだ。そして、盗賊の三船敏郎は『七人の侍』の千代丸を思わせるところもある。

ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞に輝く名作です。この映画は敗戦国の日本に日本人であることへのある種のプライドを感じさせたというのです。ここから豊穣の日本映画の1950年代が始まったのかもしれません。
entry_bottom_w.png
  HOME   植樹祭 >>
[3104]  [3103]  [3102]  [3101]  [3100]  [3099
この記事にコメントする
お名前 
タイトル 
メールアドレス 
URL 
コメント 
パスワード 
plugin_top_w.png
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 5
6 8 9 10 12
13 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
えいちゃんのお奨め

ライブのお知らせ

ぼくのTwitter

plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新コメント
[05/19 Pg Soft]
[05/04 ペコ]
[12/23 ロンサム・スー]
[07/27 gmail account]
[08/29 えいちゃん]
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
ブログ内検索
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新トラックバック
plugin_bottom_w.png
Copyright えいちゃん(さかい きよたか) by えいちゃん All Rights Reserved.
Template by テンプレート@忍者ブログ