えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

麻田雅文さんの著した『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』を読みました。本の帯に「東京大学教授 加藤陽子氏 安全保障研究者・東京大学准教授 小泉悠氏 絶賛」とあり興味をそそられました。ちなみに加藤陽子さんは日本学術会議の任命を日本政府により拒否された人でもあります。ぼくは、加藤陽子さんのことを日本の近代史と現代史の研究者、著述家としてもっとも重要な人だと思う。加藤陽子さんは中道の学者だとぼくは思うのだけれど、トランプのリベラル狩りに先んずる日本政府の浅はかさを痛感しますな。
麻田雅文さんの『日ソ戦争』を読むと、1945年8月9日の長崎に原子爆弾が投下された日から同年の9月7日まで日本とソ連の間での戦争が続いていたことに、率直に驚く。麻田雅文さんは、日ソ戦争は同時代の米英との戦いに比しても、さらに陰惨な印象を受けるとし、それが今のロシアにも受け継がれている感覚を覚えているとしている。その根拠として日ソ戦争の特徴を三点あげている。
第一に、日ソ戦争では民間人の虐殺や性暴力など、現代であれば戦争犯罪に当たる行為が停戦後にも多発した。
第二に、住民の選別とソ連への強制連行である。
第三に、領土の奪取である。
日本軍の蛮行も許されるものではないし、今、行われているイスラエルの暴力と殺戮もおぞましく、それにしても、ソ連の犯した三点が戦争直後から現在のロシアにまで続いているのも恐ろしい。世界はこれから闇に沈むのだろうか?
ところで、日本はポツダム宣言を内々に受諾し、全面降伏したのが8月14日で15日が玉音放送で敗戦が国民に伝えられる。この『日ソ戦争』によれば、天皇は国体(天皇制)の保持について逡巡していたが、ついに決心し、軍部(大本営)の反対を押し切る。寺山修司の短歌に以下のようなものがある。
マッチ擦するつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
天皇にまったく前の戦争の責任がないとはいえないけれど、天皇はこの時、祖国のために確かに身を捨てた。9月2日がポツダム宣言の正式な調印。正式な調印の9月2日でもなく、内々に受諾した8月14日でもなく、広く天皇の声で知らしめた8月15日が戦後、終戦記念日として定着することとなる。この日、新しい天皇制の呪縛か、新しくなった天皇による加護か何かがが始まることとなった。そして、『日ソ戦争』によれば、この後、いくつかの偶然と多くの血と命の犠牲によって北海道はソ連の領土にならなくて済んだのだった。日本に戦争の悲惨が再びやってこないのを祈るのみです。
日ソ戦争 帝国日本最後の戦い -麻田雅文 著|中公新書

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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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