えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

柳田国男の「先祖の話」を読む。この「先祖の話」は日本の敗戦間近の昭和二十年四月から五月にかけて書かれ、敗戦後の昭和二十一年に出版されたもの。柳田国男というと民俗学という衣を着つつ、文部官僚として日本の権力の中枢に居ながら、はじまりの「山の人生」から「海上の道」まで、その権力に異を唱え続けた人だというぼくの印象は、この「先祖の話」でも確かなものとなった。日本に柳田国男という知の巨人がいて良かったと思う。柳田は本当に日本を愛してしたのだとも思う。この「先祖の話」は日本の古くからの信仰を綴りながら、時の政治や軍部への怒りをどこかにじませてもいるのだ。寂しくは、「先祖の話」に書かれてありことをぼくはほとんど知らずにいたことということだけど、ぼくの内の深くで眠っている良きエートスの中にそれは確かに生きているとも思う。このぼくの読んだ角川ソフィア文庫には大塚英志さんの秀逸な解説付き。

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