えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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中上健次の紀州、熊野、和歌山一帯を巡るルポルタージュ「紀州 紀の国・根の国物語」の文庫本で本屋で見かけて、買ってしまい、久しぶりに読んでいる。中上健次が紀州に住むいろんな人たちにインタビューをし、日本の文化の根元を探るというような内容の本です。この本の初出は今は無き「朝日ジャーナル」に載せられてもの。その直前に野間宏、安岡章太郎、中上の三人での「市民にひそむ差別意識」という座談会、いわゆる鼎談に参加し、その鼎談を受けて、このルポルタージュを連載し始める。その鼎談で中上は自分が出自が被差別部落であることを公に初めて発言するが、それは伏せられ、ある被差別部落出身の作家の話であると、野間宏の勧めで、校正時に変更している。その鼎談で、中上は三島由紀夫を高く評価し、元日本共産党員の作家である野間宏は強く反発したのだと、昔読んだ中上の発言集で読んだ記憶がある。

中上の小説は難しいけれど、この「紀州 紀の国・根の国物語」やエッセイをまず読んで、ぜひ他のいろんな小説も、読んで欲しい。世界中のいろんな音楽、ロックやジャズ、ブルーズ、ソウル、レゲエにつながる根っこを持っているような気もするのです。

さて、この「紀州 紀の国・根の国物語」は、さまざまな土地(その多くは被差別部落)の空気を吸い、さまざまな人の話を聞き書きし、紀伊半島を海岸線に沿いにさ迷い、大阪の天王寺で了となるが、ぼくはまだ「天王寺」の章まで読み進めていない。

「紀州 紀の国・根の国物語」以外での中上の作品のぼくのお薦めを紹介します。

まずはエッセイでは、「鳥のように獣のように」、「夢の力」、「破壊せよ、とアイラーは言った」、「スパニッシュ・キャラバンを捜して」など。その他も中上のエッセイはおもしろい。

初期の青春ものの短編小説集はあまり難しくなく、とっつきやすく、けれど、刺さってくる。「十八歳、海へ」、「十九歳の地図」、「鳩どもの家」。

紀州熊野を舞台とした短編集。「岬」、「蛇淫」、「化粧」、「水の女」、「千年の愉楽」、「熊野集」。圧倒的な筆力を感じます。

長編では、「枯木灘」、「地の果て至上の時」、「奇蹟」。この三作は難しくて、やばい。

1992年に若く46才で逝ってしまった中上健次だけれど、ぼく選んだものの中で、「奇蹟」以外の全ては、1980年代中期までの作品で、逝ってしまう間際の中上は新しい文学を求めて模索中だったようにも思う。長生きして、二十一世紀の日本と世界を語って、そして、新しい中上健次として書いて欲しかった。










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えいちゃん
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男性
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S.E.
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音楽
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音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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