えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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映画「オン・ザ・ロード」がとてもおもしろかったので、ジャック・ケルアックの原作を本当にとても久しぶりに読み返してみた。昔は「路上」と題されていたこの長編小説が今は文庫本として映画と同じく「オン・ザ・ロード」と題されて河出書房新社から出されていて、昔は確か古本屋で単行本を買ってよんだことを思い出し、なんとも便利な世の中になったものだ、と思う。その昔、読んだ単行本の「路上」が青山南さんの訳であったのかは思い出せなく、今、読み終えた「オン・ザ・ロード」の青山さんの日本語もすばらしく、イマジネイティブ。

このジャック・ケルアックの路上が無ければ、ボブ・ディランやジム・モリソン、ルー・リードらのロックン・ロールの伝説の人たちも登場してこなかっただろう。特にジム・モリソンの詞と詩はケルアックの散文に込められた詩の心の延長線上に位置するようにも思われた。

「オン・ザ・ロード」は話の筋もないような北米大陸を放浪する物語でもあるのだが、ケルアックのとりとめもない散文は韻律を伴うかのような詩の美しさが宝石のようにきらめいている。訳した青山南さんに敬意を表しつつ、例えば、第3章の7のラストを引用させて、この本を自由を求める誰にでも薦めたいのです。

「西部もこのあたりになると、ワイオミングの州でもそうだったが、夜は、星々がローマ花火のようにでかく、まるで先祖の森を見失った達磨王子が北斗七星の柄のなかの空間を転々とひたすら旅して森をふたたび見つけようとしているかのように孤独だ。そんな風に星々がゆっくり夜を回しているうち、じっさいに朝日が昇る時間よりもずっと早くに、大きな赤い光が、西カンザスのほう、灰褐色の荒涼とした土地のはるか向こうに現れ、鳥たちがデンヴァーで囀りを始めた」

「オン・ザ・ロード」の英雄ともいうべき自由そのもであるような登場人物、ディーン・モリアーティことニール・キャサディは42歳で1968年にメキシコの路上で全裸で死んでいるのを発見され、ディーンを追いかける語り部のサル・パラダイスことジャック・ケルアックもその翌年、47歳で、その精神的跡継ぎともいうべき若者たち、ヒッピー・ムーブメントのアメリカの長い髪をした反戦の子どもたちに大酒を飲みながら悪態をつき、孤独のうちに逝ってしまう。

ジャックによって残されたのは驚きのような人生への賛美に満ちた散文と韻文で、知らない荒野の遠くを指差すような、生きよ、という声が聞こえてくる。そして、同時に兄弟のような呼びかけで、どこまでも、いかれたバスでドライブしようぜ、というニールの声も聞こえてくる。Yes, yes, yes!









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音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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