えいちゃん(さかい きよたか)

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その昔、ぼくが最も好きなアスリートであるマイケル・ジョーダンは「ドライヴィング・ミス・ディジー」なんて好きじゃない、と言っていた。それはジョーダン自身がスピード・クレイジーのフェラーリ乗りで、のろのろと運転することが嫌いだという意味であると等しく、この白人に仕える善良な黒人というイメージに抵抗があったのではなかろうか、と憶測する。ジョーダンは「風と共に去りぬ」もはっきりと嫌いだと言っていたのだが、その中に描かれる善良な黒人奴隷に割り切れぬ思いがあったのだろう。そのようなジョーダンが一度、バスケットボールを引退し、そして、復帰し第二の全盛期の頃の1996年のアメリカでのアトランタ・オリンピックの年、その地の「風と共に去りぬ」の作者、マーガレット・ミッチェルの保存されていた生家が何者かの放火によって焼失してしまったことを思い出した。

「大統領の執事の涙」という映画がアメリカでヒットしたというのを聞いて、どうせ、白人に仕える善良な黒人を描いたろくでもない映画かもしれないと思っていたのだが、この映画の監督のリー・ダニエル自身が黒人であることに興味をおぼえ、見に行った。今ではアメリカの大統領が黒人であることを、思い出しつつ、一人のヒーローも出てこないこの映画を見た。圧巻でした。素晴らしい。父と息子の確執と和解の物語はもう一つの視点からのアメリカの現代史でもあるかのようなのだ。公民権運動時代のアメリカはあたかも内戦の一歩手前のような状況であったのを改めて知る。それから半世紀が経った。ソウル・ミュージックの創始者、シンガー、サム・クックから、アメリカ大統領、バラク・オバマまでの道であるかのようだ。「バード」でモダン・ジヤズの祖であるサックス奏者、チャーリー・パーカーを演じたフォレスト・ウィテカーが「世の中をよくするために、父さんは白人に仕えている」と息子に諭すホワイト・ハウスの執事を演じきっています。

さて、マイケル・ジョーダンもこの「執事」は認めるのではないかしら。

http://butler-tears.asmik-ace.co.jp/
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