えいちゃん(さかい きよたか)

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山田無文さんの著した『十牛図 禅の悟りにいたる十のプロセス』を読みました。この本は臨済宗の僧侶であらせられた山田無文さんが昭和二十八年(1953年)に祥福寺専門道場にて頭をまるめたかばかりの若い僧侶に向けての「十牛図」の講話を古い録音テープから書き起こし、昭和五十七年(1982年)に禅文化研究所から出版されたものであります。山田無文さんは昭和六十三年(1988年)に遷化されておられますが、やはり高僧の言葉は古くならず、ぼくがいうのも僭越ながら、素晴らしい「十牛図」の解題であります。

昭和二十八年は日本の敗戦からの七年も続いた米軍の占領からと、それの解かれた翌年だと思えば、感慨もあります。敗戦もその後の混乱も持ちこたえた天台の教えに、どこか、新しく始まった日本に、高僧も胸高らかに、心新たになっておられるなにがしかをぼくは読みながら感じました。

章立てによって「十牛図」とはどのようなものかは、想像できそうなので、記します。

第一「尋牛」
第二「見跡」
第三「見牛」
第四「得牛」
第五「牧牛」
第六「騎牛帰家」
第七「忘牛存人」
第八「人牛倶忘」
第九「返本還源」
第十「入鄽垂手」

このように「十牛図」は牛を追い求める十の絵からなり、禅の悟りへのプロセスを表したものということです。この前、読んだ五木寛之さんは自身の著した「諦める力」の中では「返本還源」の後、「入鄽垂手」が来るのが素晴らしいと言っておられました。十の絵も面白く、とくに「入鄽垂手」の絵は驚きでもあります。禅の悟りのなんと楽しきことよ。さて、「第三「見牛」」での無文和尚の話を紹介し、この項を了としたいと思います。

諸国を放浪し、修行と布教に邁進する一遍上人が由良興国寺の法灯国師にお目にかかって歌を示された。
  となうれば仏もわれもなかりけり
       南無阿弥陀仏の声ばかりして
すると法灯国師は、
「そりゃまだ修行が足らん。もうひとつ工夫をしなさい」
さらに三年の工夫をされて、また法灯国師にお目にかかって歌を示された。
  となうれば仏もわれもなかりけり
       南無阿弥陀仏なむあみだ仏
法灯国師は、
「まあ、おまえさんはそこらでよかろう」
そこらでよからうと言われると気になるもので、
「それでは禅師、あなたはいかがですか」と言うと、法灯国師は、
  となうればわれも仏もなかりけり
       裏のお池に風がそよそよ

十牛図-禅の悟りにいたる十のプロセス
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