えいちゃん(さかい きよたか)

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加島美術という画廊に「小早川秋聲―無限のひろがりと寂けさと―」展を見に行く。

小早川秋聲が単に戦争画だけの日本画家でなく、戦争画がその残した多くの画業に一部であることを知るのだが、あまり広くはない画廊に小早川の最も有名な「國の盾」は飾られてあった。もとは「軍神」という題であったこの絵は、この絵の依頼主であった陸軍から受け取りを拒否され、その時は、桜舞う背景であったものが、戦後、幾度かの改作が小早川自身の筆によって加えられ、背景は垂らしこみという手法で黒く塗りつぶされ「國の盾」となったそうなのである。ある美術批評家はこれを平和を志向する戦後社会との妥協であるとし、ある美術批評家は兵士の真実に迫ろうとしてのことだという。

ぼくは小早川秋聲の画集を加島美術で買い、家でそれを見つつ、その画集の中ほどの頁に「國の盾」があって、それを、それを戦争経験者であった亡き父の部屋に置いておくことを想像してみる。父は、あの画集は何だ、あの本の中に変な絵があったな、あんな絵は父さんはもう見たくないのだよ、というのかもしれないし、いわないのかもしれない。それよりも、父はすでに奈辺のありとあらゆるところにいて、ぼくの見たものなどは、常にすでに見ているような気がした。

さて、小早川秋聲のことにもどり、小早川は戦後、大病の後、父を継ぐの僧籍に戻り、絵筆はあまりとらないようになり、観音菩薩などの仏画、富士、月、日の出、日の入りなどの絵を時々描くようになる。画業を始めたころのきらびやかさはそこになく、淡く慈しむ光が、この世も、あちらの世界もやさしく包むかのようなのだ。

小早川秋聲―無限のひろがりと寂けさと― | 加島美術
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Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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