えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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コンビニで禅の本を見かけて、買って読んでしまった。赤根祥道さんの著した「心が晴れる禅の言葉」という本。読みながら、こんな日常的に使っている言葉も禅に由来しているのかと思う。例えば、「無事」という言葉であったり、「去来」という言葉であったり、「主人公」という言葉であったり。けれども、それらではなく、この本に書かれているそれらの言葉による人生指南、生活の指針や心構えでもなく、こんな言葉のそのままが心に残った。

「紅爐上一点の雪」

「水を掬すれば月手にあり」

「一片の好風光」

活!

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この本には、半藤一利、保坂正康、中西輝政、戸髙一成、福田和也、加藤陽子の六人の作家、評論家、学者の方々による「あの戦争になぜ負けたのか」というテーマによる鼎談と「あの戦争に思うこと」というテーマでの6人の方々それぞれの短いけれど内容の濃い評論が書かれている。あの戦争とは第二次世界大戦のことで負けたのは日本という国。この本に書かれている日本という国の組織の中の人の動きを読むにつれ、近しい会社という組織などでも同じであるなどと思った。組織も人も無能であったのか? 戦略なき場当たり主義と海軍と陸軍の組織間の分裂。その組織を動かす士官たちの自己保身による嘘とごまかしによって死体が累々と積み重なる中、虚偽を発しつづけた当人は生き延び、戦後、国会議員になっていたりすることに驚く。そんな人、あなたの会社にもいませんか? 会社ではなく、国家間の戦争となると、直接的に人の生死の問題であり、罪は限りなく重い。保坂氏の発言から引用します。

「僕は長年、元兵士たちの声をかなり聞いてきましたが、インパール作戦に参加した人に会うと、みんな数珠を握りしめながら話すんです。インドからビルマへ、仲間たちの死体で埋めつくされた「白骨街道」を引き上げてきた無念の思いでしょう。
 そして牟田口司令官の名前が出ると、元兵士の誰もがブルブル身を震わせて怒るんです。「牟田口が畳の上で死んだのだけは許せない」とまで言いきります。前線にいたときは知らないけれど、戦後になって、牟田口が前線から離れた「ビルマの軽井沢」と呼ばれる地域で、ひたすら「前進あるのみ」と命令を出していたことを知る。しかも作戦の失敗を部下の師団長に押し付けて、自分は責任を問われぬまま生き延びたんですから」

同じく保坂氏の発言。

「前線の兵士だった人に、「なんであんなに懸命に戦ったんですか」と質問すると、主に学徒兵のインテリ層ですが、こう答える人たちがいるんです。「日本は一度、こういう無理な戦争をくぐり抜けなければ仕方ない運命なんだ。それを私たちの世代が引き受けているんだと理解していました」と。次の世代にこんな戦争をしてほしくないから、自分たちがやるしかない、と思ったというんですね」

この部分だけでも買って読む価値のあると思われる、深く心に残った戸髙氏の評論の「果たされなかった死者との約束」から引用します。

「自分は死ぬことのない立場で、他人に死を要求することの理不尽さは誰にも分かっていた。だからこそ、多くの指揮官は出撃する特攻隊員に「君たちだけを死なせない、自分も後から必ず行く」と訓示したのである」

この約束は、ほとんどは果たされることはなかった。

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NHK大河ドラマにあやかって世はいわゆる坂本龍馬ブームです。本屋に並ぶ龍馬関係の本の数々。そして、歴史ブームでもあるらしい。歴史好きの「歴女」という女子たちもいるらしい。そんな本屋の中で少なからず目立っていた「幕末史」という本を読んだ。おもしろくて一気に読めた。

半藤一利さんの書いたこの本は、何でも、反薩長史観で書かれているらしい。半藤さんは幕末をペリー来航の西暦でいうところの1853年から大久保利通が暗殺される1878年として切り取った。維新という言葉は使わず、これは下級武士による暴力革命だったと主張する。ちょうど四半世紀、25年間の間にさまざまな人物が登場し、生き生きと描かれ、主人公が目まぐるしく変わっていき、みんな若くして殺されたり、自害させられたりする。この日本の歴史の本当に近い過去にこのようなことがあったということが、それは驚くべき、恐るべきことだと思った。国難を救う、みんなのためだと言いながら、自分のため、小さな範囲の自分たちのためにすり変わっていく。

その25年の間に庶民は辛酸をなめた、もっと言えば、辛酸をなめつくしていたことも本書の一等後ろの方で書かれる。内乱と内戦とテロの25年間であったようなのだ。そう、テロ。むすびの章の題としてこう言われている。

「だれもいなくなった後|明治十一年(一八七八)参謀本部設立」

参謀本部とは軍隊において高級指揮官の作戦指揮を補佐するための合議機関のこと。これが天皇の直下の政府や内閣とは独立した機関として設置され、それが、1945年の第二次世界大戦での悲惨な敗戦までの間、日本が富国強兵の名のもと軍国主義にひた走る、その端緒であったと、半藤氏は主張し、この本は後書きを残すのみとなる。歴史って怖いね。

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この前テレビで村上龍のが司会している「カンブリア宮殿」というテレビに民主党小沢幹事長が出演していて、見ていたら、長崎2区選出の福田衣里子議員も少しだけ出ていた。それで興味を持ち、どんな人なんだろうと思い、薬害肝炎訴訟の原告でもあった福田衣里子さんの著した「覚悟。」という本を読んでみた。胡散臭そうに思える政治というものの実態のようなものが少しわかった気がする。まだ20代で現場で果敢に戦う彼女は偉いなぁなどと思った。薬害訴訟の一部始終も書かれていて、官僚や政治家のあくまでも責任逃れをしようとするどうしようもないズルさもよく分かった。

薬害と言うと、エイズの緑十字の事件からそれほど長くたってはいないのではないか? 同じことが繰り返されているのに唖然とする。薬害エイズの時は現副総理の管直人氏はよくがんばっていたけれど。

村上龍は小沢氏のことを最後の政治家と呼び高く評価しているのだが、政治家の本分って何だ? 景気はいっこうに回復しないけれど、それ以前に、日本の社会に対しての信任や信用、信頼の問題であると思う。福田さんのような人がいるから、今しばらくは民主党にエールを送っていようか?


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藤原新也さんの新しい文庫本「黄泉(よみ)の犬」を一気に読み終えてしまった。一気に読み終えてしまえるほど、この本はおもしろかった。オーム真理教、麻原彰晃と水俣病の関係性(?)、神戸の震災から著者の若かりしころのインド放浪へと遡行する旅と思索のドキュメントは、ところどころに本当に心の浄められるかのような出会いの物語すら含んでいる。この本に出てくるインドの船頭の即興の舟歌、アスマーサン/・・・あぁ、アスマーサン/おいらはこうして、ゆっくりとアスマーサンに向かって舟を漕いでるよと歌い始められるその歌のアスマーサンとは、火葬場という意味なんだけど、その歌は本当に美しい。そして、歌の続きはこの本を読んでみてくださいと言っておこう。付け加えるに、藤原氏の初期の代表作である「メメント・モリ」の種明かしのようなところもあり、興味深い。この本を読む前に「メメント・モリ」という写真集をじっくり眺めて見ることもお奨めします。

しかし、藤原新也さんはこう言うのではなかろうか? 藤原新也を読んだごときで世界を分かった気になるんじゃねーよ、と。生きるって何だ? 死ぬってどういうことだ? その答えはこの本にははっきりとは書かれてはいないけれど、この本に出てくる乞食同然の修行僧の平穏なやさしさに感じてしまう。すべては火葬場で焼かれて灰になるとしても、自分の人生が例えば、この本に出てくるような毎朝毎晩の山羊の乳搾りでしかなくても、死ぬことより、生きていった方が良いのかもしれないと、ぼんやりと思ってしまう。どうですか、藤原さんと尋ねても、答えてはくれない。それでいいんだ。


藤原新也さんのページ
http://www.fujiwarashinya.com/




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この前、農業を始めた友だちからその彼らの畑を見せてもらった時、ふと、かなり昔に、小説「楢山節考」を著した深沢七郎さんのラブミー農場を訪問した時のことを思い出した。埼玉のなだらかな半田舎にあるそこで深沢さんといろんな話をした。

深沢さんはぼくに訊いたのだと思う。
「小説なんて読むの?」
「はい、読みますけど」
「お、こわい。で、どんな小説家を読むの」
「まず、深沢さん。それに中上健次とか谷崎潤一郎とか武田泰淳とか三島由紀夫が好きです」
「中上健次の「枯木灘」はいいねー。谷崎潤一郎はいいねー。武田泰淳は東洋大学にいたなー。三島はいいけどよ、最後は変な風になっちまいやがってよ」
武田泰淳は東洋大学で中国文学の先生をしていたのだっけ。三島由紀夫について語る時は、にがにがしいというより、残念そうな感じだった。

深沢さんは音楽のことを訊いてきた。
「音楽なんて好きなの?」
「ええ、最近、友川かずきが好きです」
「この前、友川はここに来て、畑の草、抜いていったよ。友川はいいんだけどよ、あの難しいような詞は、歌っていうより文学って感じじゃないか? おれはエルビス・プレスリーみたいな、好きだの、惚れたの、恋だの、なんだのって歌っているのが好きよ。ああいう簡単なのが歌っていうんじゃないかね? あっ、そうだ、ロッド・スティワート、聴く?」
そう言って、深沢さんはロッド・スティワートのレコードをかけてくれた。ラブミー農場のラブミーはエルビス・プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」から来ているらしい。

ぼくは深沢さんに少しミーハー的なことを訊いてみた。
「クマさんとか来るんですか?」
「クマはよ、最近、テレビとかに出て、偉そうなこと言ってやがるから、破門にしてやった。ハハハ」
と笑う。クマさんとは最近でも北野武のテレビ番組「たけしの誰でもピカソ」に出演している鉄のゲージツ家クマさんのこと。なんか、クマさんって深沢さんの魂を一番継いでいるなぁとふと思う。破門された時は寂しかっただろうなー。

ぼくとぼくと一緒に来た友だちと二人で畑の草取りをした。草取りとは雑草取りのことです。夕方、深沢さんの作ってくれたカレーライスがおいしかった。

深沢さんが見たという戦争未亡人の遺品か何かの話をしてくれた。深沢さんが見たというものは、ある大きな紙に戦死した夫の命日とその日からの毎年が書かれていて、毎年毎年の一年毎にその未亡人の自分の陰毛がテープか何かで止められているものだったそうだ。
「あれには感動したよ」
深沢さんは独言のように言った。

「今度は一人一人別々に来な」
と深沢さんは別れ際に言った。帰路、一緒に来た友だちこう訊かれた。
「どう思った?」
「人嫌いの変人のおじいさんって感じでしたね」
その数年後に深沢さんは逝ってしまった。

などと思い出し、ネット・サーフィンしていると、深沢さんの、雑誌に掲載されて以来、ある事件によって、決して書籍にはならなかった発行禁止のような「風流夢譚」が読めるページを発見した。あぁ、こんな小説だったのか? その他の深沢七郎の小説やエッセイも再読したくなった。

「風流夢譚」の読めるページ
http://azure2004.sakura.ne.jp/s_hukazawa/huryumutan.htm

クマさんのページ
http://www.kuma-3.com/



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野球に打ち込む中学生の1年間を描いた全6巻の小説を読んでしまった。あさのあつこさんの著した「バッテリー」、「バッテリーⅡ」、「バッテリーⅢ」、「バッテリーⅣ」、「バッテリーⅤ」、「バッテリーⅥ」の6冊。なんか、突飛かもしれないけれど、中上健次の秋幸(あきゆき)を主人公とする「岬」、「枯木灘」、「地の果て至上の時」の3部作を思い出した。秋幸が「バッテリー」での巧(たくみ)の物語を違えた兄弟であるかのようなのは、巧という天才中学生ピッチャーを通して、あさのさんがジャズのテーマのように何度も繰り返して書くこんな一説からによる。

「親の職業も、学校の成績も、野球に何の関係もない」

「そこには、さみしいだろうとか気を悪くしたかなんて心づかい無用だと思う。ごちゃごちゃした感情はいらないのだ」

「このボールを誰よりも速く投げること。向かってくる相手より強くなること。野球ってそんな単純なものじゃないのか」

物語が進むにつれ、このテーマが聞こえなくなっていき、このテーマから巧が解放された時、物語は途絶え、唐突にラストをむかえる。ぼくは、今まで自我のかたまりであったかのような巧が、実は最も自分を抑圧していたのであって、むしろ、最後の最後の試合の場面で、巧は自分の人生を生き始めたように思え、感動した。

子供のころは子供のころでいろんな悩みがあったような気がするなぁ。


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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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