大岡昇平の「俘虜記」を読了した。所謂第二次世界大戦の戦記もの文学でフィリピン戦線で大岡自身と思われる視点から日本人兵士が、アメリカ軍と戦闘し敗走し捕えられ捕虜となり終戦を迎え帰国するまでが著されている。大岡の戦記文学がこんなにおもしろかったとは知らなかった。退屈でもある捕虜の日常は日本という蛸壺のような社会、もしかして民俗学者、柳田国男いうところの「孤島苦」、シンガー、友川カズキのいう「よどんだ島国」、辛辣にいえば愚劣で少しだけ愛おしくもあるような社会の縮図のようでもあった。それを大岡昇平の理性と知性が照射していく。大岡昇平の大作「レイテ戦記」にも挑戦しようかなと思った。