えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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オンデマンドで小津安二郎監督の『小早川家の秋』を見ました。松竹ではなく、東宝での作品。小津調は松竹のまま。

老いらくの恋をする造り酒屋の老いた大旦那を演じる中村鴈治郎の怪演技(?)、名演技が素晴らしい。

大旦那の亡くなった後、長い葬儀の場面となり、映画は暗い雰囲気となり、小津の死生観もそこに示されるかのようです。そのラストシーンを見て、その冷徹な何かに、このまえぼくが訪れた円覚寺の小津安二郎監督のお墓には「無」とのみ揮毫されていたのだけれど、その意味するところが少しだけ分かったような気もしました。
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オンデマンドで小津安二郎監督の『お早う』を見ました。この映画『お早う』は鎌倉も京都も出てこない多摩川沿いの新興住宅地を舞台にした小津調コメディー。1959年の作品で、この前、見た1947年の『長屋紳士録』から12年経ち、東京の風景のあまりの変貌ぶりに驚いてしまう。庶民の小さいことを描いた楽しい浮世映画にして、落とし噺。その話のオチにちょっとホロリと涙しました。
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オンデマンドで小津安二郎監督の『長屋紳士録』を見ました。1時間11分の短い時間に小津スピリットがつまっている昭和22年、1947年の映画です。

これは小津調、小津版のチャップリンの『キッド』だろうか? 人情もの古典落語のようなストーリー。感動しました。

映画に映された終戦直後の東京の風景が生々しい。焼け残ったビルと火鉢のあるぽつりぽつりと立つ掘っ立て小屋のような日本家屋。そこにもアキ・カウリスマキも探している赤いヤカン(ケトル)も見つけましたよ。白黒映画なのだけれど、あれは赤いヤカン(ケトル)に違いあるまい。

カンヌ国際映画祭の開かれたカンヌからのニュースでは、今年の「カンヌ・クラシックス」部門で『長屋紳士録』が上映され、上映後のスタンディングオベーションで拍手が鳴りやまなかったそうです。日本人のある意味、ありふれた日常を描きつづけた小津安二郎だけれれど、このカンヌからのニュースは小津安二郎ファンとして、そして、日本人として、率直に嬉しいものです。難しい記号論は置いておいて、映画から立ちのぼるこのヒューマニティ―、世界の宝ものの小津安二郎の映画です。
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オンデマンドで小津安二郎監督の『彼岸花』を見ました。アキ・カウリスマキ監督の探しつづけている赤いヤカン(ケトル)がこの映画『彼岸花』にもありましたよ。

『彼岸花』予告編
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オンデマンドで小津安二郎監督の『秋日和』を見ました。

あの小津調もカラー時代になると、画面を縦の線、横の線に割っていて、何かカンディンスキーの絵の中に人が現れ、消えていくようで、不思議な感じなのです。そして、いろんな人がいうように小津のカラー作品の赤い色の小道具が映画に独特の美しさをもたらしています。ふと、フィンランドのアキ・カウリスマキ監督は小津安二郎の映像美にたくさんの影響を受けているのではないかと思いました。

映画の中で事件らしい事件は起こらず、小津安二郎は家族全員で安心して見れる映画を意識していたといいます。

坂本龍一のいうところのひどい音楽(坂本さんは映画音楽としては小津安二郎の狙い通りだとも後に訂正しておりました)は、とても軽快で、映像に合っていて、ぼくは大好きです。

お嫁に行くアヤ子を演じる司葉子の清楚と対比して、アヤ子の友だちを演じる岡田茉莉子は新しい時代の女子という感じで、その存在感がすごい。

同じテーマである『晩春』(父と娘の別れ)とちがい、原節子の演じるラストのお嫁に行ったあとの部屋に一人残された母の秋子の笑顔にすがすしくも暖かい何かを感じて、とてもよかったです。

映画を見た後、偶然、アキ・カウリスマキの小津安二郎への敬意のある動画を見つけ、いたくこれにも感動しました。紹介いたします。

Aki Kaurismaki on Ozu
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ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督の『トリとロキタ』を見ました。ベルギーを舞台にした仲良しの10代の少女ロキタと、まだ幼い少年トリ、アフリカから移民してきた子どもの話に今という時代が生々しく映し出される。なんだか、是枝裕和監督の『誰も知らない』を思い出した。ヒューマニティーを訴える映画だけれど、その結末に胸にふたがれる思いです。『トリとロキタ』は何かとても美しいものを描いていて、けれども、映画にはひとすじの希望があった方がいいと思うのだが、どうだろう?

ダルデンヌ兄弟監督最新作『トリとロキタ』3月31日(金)公開
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オンデマンドで小津安二郎監督の『晩春』を見る。

主演の原節子は外国の映画の女優みたいだ。原節子がスクリーンの上で微笑むと、世界全体が明るくなるようです。悲しげな表情は世界が暗くなる。そして、脇役の杉村春子の演技の自然さはリアルですごい。たくさんの名優に尊敬される大女優、ここにあり。

昔の鎌倉はこんなところだったのかと少し驚くけれど、お寺のシーンでは今と同じなんですね。1949年の作品『晩春』のそこかしこの風景で占領下であることが、さりげなく示されてもいる。

原節子の娘が抱く笠智衆の父への思いは、エレクトラコンプレックス的な何かを感じさせもする。ストーリーは特になく、娘と父の別れがあるのみで、それは、ユング的にいえば、人の心の普遍に深く沈んでいる何かであるとも思う。

『晩春』は小津調全開です。半世紀以上も経ち、絶大に評価される小津の映画の独特はこの『晩春』に始まったのかもしれない。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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