えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

オム・ユナ監督の『マルモイ ことばあつめ』を見ました。日本統治下の朝鮮で朝鮮語が禁じられつつあり、創氏改名という民族の自尊を踏みにじるような政治が暴力的に行われていた時に、朝鮮語辞書を作ろうとした人たちの話でした。
何かこの前に見た『タクシー運転手 約束は海を越えて』にどこか似ていて、深刻な話を喜劇的に、おっちょこちょいの無学な男を主人公にして描いているな思って見ていましたが、監督はその映画の脚本を書いた人で、初めての監督作品なのだそう。一級のエンターテイメントで、歴史を振り返るというような映画で、ラストまでハラハラドキドキでしたが、一つだけ不満があるとするならば、日本人の官憲の描き方が、わかりすぎるほど切って割ったような日本陸軍のいかれた軍国主義者の悪役で、あまりにもステレオタイプだと思ったぐらいです。日本語の発音も変だった。
というものの、歴史の過去とは向き合って、真摯に反省と謝罪をしなくてはいけないとも思います。ふと、現在のことを考えれば、チベットやウイグルのことが思い浮かび、このようなことが終えられない人類と世界に暗澹としてしまいます。
それと、言葉について。言葉は民族にとって血のようなものだとも思うのです。この映画のもう一人の無学ではない方の主人公が朝鮮の地方の言語も採取し、辞書に編み込もうとしたことが素晴らしい。日本に立ち戻れば、日本が何たるかを正しく知るためにも、本格的な沖縄語やアイヌ語の辞書が編まれてしかるべきだと思うのですが、どうでしょう? 津軽弁辞書や博多弁辞書なども作られ、さまざまな地方の言葉も大切にされるべきではなかろうか。おー、これは、あの偉大な柳田國男の民俗学の継承ですな。
この映画『マルモイ ことばあつめ』に立ちのぼる真っ直ぐな民族への愛が、何かまぶしくも感じました。
マルモイ ことばあつめ


吉祥寺のアップリンクにラウル・ペック監督の『私はあなたのニグロではない』を見に行った。小説家、ジェームズ・ボールドウィン原作の『私はあなたのニグロではない』を基にした、1960年代のアメリカ黒人の公民権運動をとらまえたドキュメンタリーで、今も終わらない人種差別の行われる現代に対する問題提起も当然含めていて、今の映像も差し挟まれる。ジェームズ・ボールドウィンが理知鋭く、クールでかっこいい。あー、「もう一つの国」を再読したい。この映画のラストのジェームズ・ボールドウィンの声明は本当にかっこいいよ。
映画を見る前に渋谷に"Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)"のデモがあるというので行ってみた。歩道でそのデモを見ていて、何派でも来る、デモの終わらない列にぼくは歩道から拍手をしていた。たくさんのブラック・カルチャー、ブルースやリズム・アンド・ブルース、ソウル・ミュージック、ヒップホップにいつも触れてきたぼくにとって、この五月にジョージ・フロイドさんが、この三月にブレオナ・テイラーさんが警官に殺されたことはことはとてもショックで胸を痛めてもいる。差別は無くすことは未来の命に対するぼくたちの責任や義務であるような気もするがどうだろう? 今度はデモで車道を歩いてみようか?
映画『私はあなたのニグロではない』 公式サイト
映画を見る前に渋谷に"Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)"のデモがあるというので行ってみた。歩道でそのデモを見ていて、何派でも来る、デモの終わらない列にぼくは歩道から拍手をしていた。たくさんのブラック・カルチャー、ブルースやリズム・アンド・ブルース、ソウル・ミュージック、ヒップホップにいつも触れてきたぼくにとって、この五月にジョージ・フロイドさんが、この三月にブレオナ・テイラーさんが警官に殺されたことはことはとてもショックで胸を痛めてもいる。差別は無くすことは未来の命に対するぼくたちの責任や義務であるような気もするがどうだろう? 今度はデモで車道を歩いてみようか?
映画『私はあなたのニグロではない』 公式サイト


ジム・ジャームイッシュ監督の映画『デッド・ドント・ダイ』を見ました。ゾンビ―のホラーなのだけど、そこに感じるのはユーモアと批判精神でいつものジャームイッシュ・フィルムでうれしくなりました。
リアルなアメリカってこんなところなのだろうか?ジム・ジャームイッシュの映画っていつもかっこいな~。
イギー・ポップがコヒー・ゾンビ―で出現、笑えます。ジム・ジャームイッシュの映画に出演する凸凹おもしろコンビはビル・マーレイとアダム・ドライバー、この二人もよかった。ジム・ジャームイッシュの言葉を紹介します。
「なぜゾンビだったかと言えば、今日の人間の在り方がいろいろな意味で、よりゾンビ化してきているんじゃないかと思えたから。自分のことしか考えない、エゴイスティックな生き方だよ。たとえばいまの物質主義、消費社会によって、僕らは地球にダメージを与えているのに、それに気付かない、あるいは関心がない。そういう生き方が僕にはゾンビと共通していると思えてならなかった」
「ちょっとダークかもしれないけれど、希望は込めたつもりだ。ここには人種差別主義者も出てくるが、ナイスな奴だっている。たとえば(ウータン・クランのRZA演じる)宅急便の配達人はこう言う、『この世界はパーフェクトだ。小さなことにも感謝すべきだ』と。僕はそういう気持ちのあり方がとても美しいと思う」
映画『デッド・ドント・ダイ』公式サイト|6月5日(金)公開 - ロングライド公式サイト|6月5日(金)公開 - ロングライド


テレビで山田洋次監督の「男はつらいよ 寅次郎恋歌」を放映していて、おしまいまで見てしまいました。マドンナは池内淳子さん。渥美二郎の寅さんってほんとうにいい。そして、名優、志村喬の心を込めた素晴らしいセリフを紹介いたします。
「寅次郎君、今、君は女房も子供もいないから身軽だと言ったね? あれはもう十年も昔の事だがね、 私は信州の安曇野という所に旅をしたんだ。バスに乗り遅れて田舎道を一人で歩いている内に、 日が暮れちまってね。暗い夜道を心細く歩いていると、ポツンと一軒の農家が建ってるんだ。 リンドウの花が、庭いっぱいに咲いていてね。開けっ放した縁側から、明かりのついた茶の間で家族 が食事をしてるのが見える。まだ食事に来ない子供がいるんだろう。母親が大きな声でその子供の 名前を呼ぶのが聞こえる。私はね、今でもその情景をありありと思い出す事ができる。庭一面に 咲いたリンドウの花。明々と明かりのついた茶の間。にぎやかに食事をする家族達。私はその時、 それが、それが本当の人間の生活ってもんじゃないかと、ふとそう思ったら急に涙が出てきちゃってね。 人間は、絶対に一人じゃ生きていけない。逆らっちゃいかん。人間は人間の運命に逆らっちゃいかん。 そこに早く気がつかないと、不幸な一生を送る事になる。分かるね、寅次郎君」
人間は人間の運命に逆らっちゃいかん…


近くの本屋でDVDのセルジオ・コルブッチ監督のマカロニ・ウェスタン「続・荒野の用心棒」が300円で売られているのを見つけて、買って、見てしまった。
ぼくが子どものころ、何度もテレビで放映されていたこの映画は、その残酷な暴力描写によって、自粛され、もうテレビでは放映されることはないだろう。強烈です。そして、今、見ると、ヨーロッパからのイタリアとスペイン製作の叛アメリカ的な映画だとも思った。
主役のジャンゴ演じるフランコ・ネロがかっこいい。1967年公開のこの映画のヒロインのマリアを演じるロレアナ・ヌシアクは、新しい女性像を演じていて、彼女もかっこいい。
ひさしぶりに見て、とてもおもしろかった。そして、ラストでのカタルシス。
セルジオ・コルブッチ監督『続・荒野の用心棒』公式サイト


オンデマンド・ビデオで黒澤明監督の「蜘蛛巣城」を見る。映画「生きる」のヒューマニストの黒澤明がよくもこんなにダークな薄気味悪い映画を撮ったものだ。日本の伝統芸能である能の影響を深く受け、シェークスピアの四大悲劇にうちの一つ「マクベス」を戦国時代の日本を舞台にした物語に見事に翻案している。
主役の鷲津武時を演ずる三船敏郎とその妻、浅茅を演ずる山田五十鈴の迫真の演技が凄い。
蜘蛛巣城 - Wikipedia


山中湖にドライブをしに行こう、と思っていたのですが、今朝、山中湖の観光協会のホームページを見てみたら、来ないでください、と書いてあって、そんな中、わざわざそこに出かけるのは嫌がらせみたいで、行くのをやめました。
お昼にレトルトのカレーを食べ、ビールを飲んで、昼寝をして起き、そうだ、見逃して映画館で見れなかった映画を見ようと思い、セバスチャン・ローデンバック監督の『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』をオンデマンドで見ました。
美しく芸術的な日本の水墨画を淡い色つきにしたかのような水彩画が動き出し、アニメーションになったような映画で、しかも、驚くべきストーリーでした。映画は映画館で見るのが好きなのですが、新型コロナウィルス禍の中、こんな日が続くのでしょうか? ぼくは人が群れるのは好きではないけれど、人は集まりたいと思ってしまうもの。この映画の主人公の人と自然の間をつねに動いていく孤独な少女に、エンドロールを見ながら、ぼくの胸騒ぎが止まらない。
『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』


カレンダー


カテゴリー


最新コメント


最新記事
(03/12)
(03/09)
(03/09)
(03/08)
(03/06)
(03/06)
(03/04)


プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


ブログ内検索


最新トラックバック
