えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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斉加尚代監督の『教育と愛国』を見ました。想像はしていましたが、公教育の世界で「愛国」という名の全体主義や軍国主義へ日本を誘導しようとするような動きは進んでおりますな。ふと「映画.com」の批評サイトを見てもこの映画への「左翼」だの「反日」だのという罵詈雑言が溢れていて、なるほど、これが教育の成果なのか、あの人たち企みは着々と進んでいるようで、暗澹としてしまう。この映画に出てくる日本史の教科書の執筆をした東大の名誉教授などは、歴史から何も学ぶものはない、などとぬかしておられる。驚き絶句。

上映の後、斉加尚代監督が挨拶され、いろいろとお話されていた。その話はウクライナへのロシアへの侵略戦争にも及び、ロシアでは10年前に大きな教育の改変があったそうな。その8年後、今の2年前に大きな憲法の改変があり、大統領の権限の集中が図られた。さて、日本はどうか? 若者よ、数年後は戦場に連れ出されるぞ。これは老婆心かな? そんな悪い想像も浮かんでしまった。

映画「教育と愛国」公式WEBサイト - MBS 毎日放送
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おじいさんの主人公の映画が昔からぼくは好きです。その白眉は小津安二郎監督の『東京物語』とか『秋刀魚の味』かな? ギリーズ・マッキノン監督の『君を想い、バスに乗る』もそんなおじいさんが主人公の映画で、おじいさんがスコットランドの北の果てからイングランドの南の果てまで、乗り合いバスに乗って旅をます。日本には笠智衆という名優がいたけれど、この『君を想い、バスに乗る』のティモシー・スポールの老け役の名演技。おじいさんの視線での曇り空の下での英国の風景が、どこか荒涼としつつも、とても美しい。例えば、エミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』の舞台はこんな風景なのではないか、とぼくは想像してしまう。その旅路での小さなヒューマニスティックなエピソードが積み重ねられ、エンドロールでは、ついに胸がジーンとして、涙ぐんでいました。

映画『君を想い、バスに乗る』オフィシャルサイト
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ジュリアン・テンプル監督の『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』を見ました。

ぼくはこのドキュメンタリー映画の主人公のシェイン・マガウアンがボーカルと作詞作曲をしていたポーグスが大好きなのです。

『シェイン』はシェイン・マガウアン自身の過去や現在のインタビューからその生涯を解き明かそうとするもの。まー、なんて、シェイン・マガウアンとは滅茶苦茶なやつだろうか。ジェームズ・ジョイスを読む不良とかロンドンにいたんだな。シェインは今、六十四歳であるらしい。おいらよりも少し年上の兄貴で、すっかりアルコールと薬でボロボロ風なのだが、シェインはシェインのままなのだ。映画の中で今の彼が昔を語る時の澄んだ邪気のない瞳にぼくは魅せられてしまう。こんなきれいな目の光をもつ人をぼくは知らない。

シェイン・マガウアンさん、あなたは本当のことを歌う本物です。

映画『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』公式サイト
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樋口真嗣監督の『シン・ウルトラマン』を見ました。

映画館の席から立つ時、たくさんのアイスコーヒーが残っていて、なんだかんだで、つまりは、飲むのを忘れるぐらい面白かった。何せ、子どものころ初代の「ウルトラマン」とか何度も再放送されて見ているからね。

企画と脚本は「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明さんで、初代「ウルトラマン」への敬意を込めたオマージュらしきシーンもたくさんあって、ぼくのような世代は、うれしくなってしまう。「ゼットン」とか「ゾフィー」とか、とても懐かしい響きではないか。

そういえば、「ウルトラマン」って、日本の神仏を物質化したような表現だと、昔から思っていた。狩野芳崖の「悲母観音」とか、「ウルトラマン」の顔は、いかにも能面にありそうな気もする。いやいや、それは庵野秀明いわく、もともとのデザインをした成田亨さんのいうとおり「真実と正義と美の化身」なのだ。

きっと世界の終わりには青い空に印が現れる。けれど、ぼくらの力で「真実と正義と美の化身」のウルトラマンは召喚されるのです。

ゆめゆめうたがふことなかれ

映画『シン・ウルトラマン』公式サイト
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マイク・ミルズ監督の『カモン カモン』を見ました。最近、見るのはファミリー・ドラマばかりですな。

あの『ジョーカー』のホアキン・フェニックスが、まったく違う、本を読むときは老眼鏡をかけなくてはならない老年にさしかかろうとする中年太りの伯父さん、ジョニーを演じています。家庭的なこととは縁の薄そうなジョニーは、ぼくとどこか重なっているようにも思えてしまった。役者っていろんな人になれてしまってすごい。

そのジョニーとある事情で生活することになる九才のジェシー役のウッディー・ノーマンがこれまたいい。『ペーパー・ムーン』のアディのテイタム・オニールや『都会のアリス』のアリスのイエラ・ロットレンダーを思い出してしまった。

ジョニーはラジオを舞台にしたジャーナリストをしているらしく、全米の各地で小さな子どもたちやティーンエイジャーにインタビューをして音声を録りためているという設定。悲しくもないいくつもあるそのシーンでぼくの眼は決壊して、涙が止まらなくなってしまっていました。

映画『カモン カモン』公式サイト
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シアン・ヘダー監督の『Coda コーダ あいのうた』を見ました。

この映画のタイトルである「コーダ/CODA」とは、Child of Deaf Adults」の略語で日本語でいえば「聾唖の親を持つ子供」という意味らしい。障碍者のする謙譲とか障碍者への憐みとかこの世界から永久に無くなればいいんだ。世界に必要なのは思いやりで、人は自由で平等です。

映画にもどり、愛にあふれた素晴らしいファミリー・ドラマでした。

昔の日本映画もこんなファミリー・ドラマの映画がたくさんあったと思い出すようでもありました。

舞台の町は漁師の港町で、漁師の港町ってアメリカでも日本でも世界中、こんな感じなのだろうか?

アメリカの映画に出ている俳優さんって抜群にうまい。

主演のエミリア・ジョーンズが演じたルビーにコーラスを教える先生役のエウヘニオ・デルベスが途中から宮本亜門さんに見えてきてしまった。もしかして、宮本亜門さんってこんな風に演技指導しているのではないかしら? そんなわけないか。

この映画、音楽がフックにもなっていて、そこも魅力。コーラスのアレンジでのマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの「You're All I Need To Get By」とかデヴィッド・ボウイの「スターマン」とか素晴らしいです。

後ろの方の席で映画の途中からだれかがずっとすすり泣いておりましけれど、ぼくはこの映画を見てとても暖かい気持ちになりました。

映画『Coda コーダ あいのうた』公式サイト
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ケネス・ブラナー監督の『ベルファスト』を見ました。1969年の北アイルランドのとある港町、ベルファストを描いた監督自身の少年時代の自伝であるような映画です。

ジュード・ヒル演ずる子ども、バディが素晴らしい。カトリーナ・バルフ演ずるお母ちゃんが素晴らしい。ジェイミー・ドーナン演ずる父ちゃんのある意味、孤立した立ち位置は、いかにも、厳しく苦しいぞ。がんばれ、父ちゃん。コリン・モーガン演ずる兄ちゃんのビリーもいて、困難な時代の中、バディに人生を生きる知恵を授けてくれるキアラン・ハインズ演ずるじいちゃんやジュディ・デンチ演ずるばんちゃんもいる。なんとも心温まる家族劇となっていました。

全編でベルファストが生んだ哲人のようなブルー・アイド・ソウル・シンガー、ヴァン・モリソンの歌が流れ、これもぼくにとってはとっても気持ちいい。ビルボード東京やブルノート東京で音楽を聴きにいった時のアンケートの、これから見てみたいアーティストには、いつも「ヴァン・モリソン」と書いてしまうのです。

映画『ベルファスト』オフィシャルサイト 全国絶賛公開中!
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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