えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

石田千さんの著した「唄めぐり」を読了した。民謡を聴き求めて日本全国各地を旅した紀行文は、その日本語にしかないような文体のリズム感が、読んでいて、きっぷの良い歌が耳に届くかのようだった。まずこの文体に魅かれてしまい、そして、その日本を北から南、東から西へと旅している気分にもなり、日本っていいなぁ、とつくづく思い。各章に数枚、はさまれた口絵写真も楽しく、こんな幸せな風景と空気があったのかと、ぼくの頬はゆるんで、微笑んでしまう。
おしまいの章「音頭の渦 福島[あまちゃん音頭、新生相馬盆唄]」では、音頭が今ここで生まれるそれが綴られているのだけど、そこに出てくるミュージシャン、大友良英さんの言葉は民謡が歌われ踊られる音頭のもっとも深い真実をついているようにも思え、引用させていただきます。
「震災前から大変だったこともあるし、震災後から大変になったこともある。二年前まで、盆踊りって大嫌いだったんですよ。でも、いまこれだけやっていたら、もう嫌いとは言えないです。いったん踊りが始まると、だれも僕らのいる舞台をみてない。主人公は踊ってる人たちなんです。それが最高。また来年もやります」
日本の音頭の夏が今年もやってきますな。

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