えいちゃん(さかい きよたか)

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村上春樹さんの訳したレイモンド・チャンドラーの探偵小説「ロング・グッドバイ」を読了する。村上さんは清水俊二さんの同小説"The Long Goodbye"を訳した「長いお別れ」に敬意を表しつつも、訳として大胆に渇愛している部分を、原文の大胆な英語の文体を現代の日本語で再現しようと、この訳を完成させ上梓したということだ。といってもぼくは「長いお別れ」は未読なのだけど。

ところで、アメリカの映画を見ていて疑問だったことがあって、アメリカ人は普段からこんな粋な洒落た会話をしているのだろうかと思っていたのだけど、その原型みたいなものを、ぼくはチャンドラーの小説に見てしまった気がする。

それから、このロサンジェルスを舞台にした小説を読んでいると、ドアーズのアルバム"L.A. Woman"を聴きたくなったよ。ヨーロッパのパリだかローマだかマドリッドを中心にすると西の果てに乾いた楽園の地、カリフォルニアがあって、そこにフィリップ・マーロウという主人公とする探偵の世界が花開いている。巻末にある村上春樹さんによる訳者あとがき「準古典小説としての『ロング・グッドバイ』」が出色。その中からチャンドラーの小説の主人公に言及した文章を引用し、ハードボイルド小説をほめたたえます。かっこいいなぁ。

「彼らはそのような宿命的な巨大な力をまず黙して受容し、そのモーメントに呑まれ、振り回されながらも、その渦中で自らをまっとうに保つ方策を希求しようと努める。そのような状況の中で、彼らに対決すべき相手があるとすれば、それは自らの中に含まれる弱さであり、そこに設定された限界である。そのような闘いはおおむねひそやかであり、用いられる武器は個人的な美学であり、規範であり、徳義である。多くの場合、それが結局は負け戦におわるであろうことを知りながらも、彼等は背筋を真っすぐに伸ばし、敢えて弁明をすることなく、自らを誇るでもなく、ただ口を閉ざし、いくつかの煉獄を通り過ぎていく」






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えいちゃん
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男性
職業:
S.E.
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音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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