えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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遊行寺こと一遍上人の時宗の本山である藤沢の清浄光寺の本堂で横浜ボートシアターの『新編 小栗判官・照手姫』を見ました。

横浜ボートシアターの芝居の『小栗判官・照手姫』はぼくが若かりし日の遠い昔に見た記憶があります。素晴らしかったという記憶のみで、詳細は忘却のかなたで、船の上での観劇でありました。

『新編 小栗判官・照手姫』を見ながら、民衆の積み重なった切なる祈りの記憶というようなことを思っていました。各種の民族楽器で奏でられる音楽と仮面の劇は東アジアの民衆の記憶とも通底するかのようでもあるのです。中世の説教節を端緒とするそれは日本人のナラティブの言の葉の力のようなものも感じました。

ふと、生きているものと同じく、この世を去ったものたちもこの寺のお堂の中で芝居を見ている、そのような気配に、ぼくの心はざわつきもしたのです。

俳句を作りました。

 紫陽花や小栗と照手の芝居見ん

 遊行寺の大銀杏の下風涼し

横浜ボートシアターを立ち上げ、育て、唯一無二の劇団にまでして、四年前に鬼籍に入られた遠藤琢郎さんに敬意の合掌をし、この拙文を了とします。
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国立能楽堂で能楽鑑賞をしました。狂言は「文荷(ふみにない)」、能は「弱法師(よろぼし)」。

国立能楽堂で初めてアフリカ系の人が能楽を鑑賞しているのを見かけました。能楽の感動は、エキゾティズムではなく、もっと根元的で、人種などは軽々と越えてしまうのでしょう。そのアフリカ系の人は、なんか、おしゃれな服装の人でした。フランス人であろうか? ぼくは、ふと、『三銃士』を書いたアレクサンドル・デュマは混血の黒人であったのを思い出しました。フランス共和国、万歳!

「弱法師」は大阪の天王寺、今の四天王寺を舞台にした能です。昔、中上健次の随筆か何かで、天王寺が大阪と紀州、木の国、根の国を隔てる境界線であり、大阪と紀州を結びつける通路であっとというようなことを書いていたのを思い出しました。盲目となった俊徳丸が彷徨うのは紀の国であるに違いない。なぜか、日本に生まれてきたぼくは、年をとるにつれ、日本人の心根の深いところから積み重なっていった何かを知りたいとも思うようにもなったのです。
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浅草演芸ホール令和六年七月上席昼の部に参りました。いつも思うのだけれど、浅草の街の人並みは外国人だらけでも、寄席の中には日本人しかおりません。なんか、不思議な感じです。

見た演目を書き出してみます。前座の春風亭らいちくんの「子ほめ」、二つ目のの金原亭小駒くんの「手紙無筆」、柳家わさび師匠の「茗荷宿」、おしどりのお二人の漫才、桂三木助師匠の「たがや」、古今亭文菊師匠の「初天神」、小梅さんのマジック、入船亭扇治師匠の「道具屋」、桂文生師匠の昔の落語家をとりあげた漫談で一回目の仲入りとなりました。立花家橘之助師匠の三味線を弾いて唄う浮世節、春風亭一朝師匠の「芝居の喧嘩」、柳家小さん師匠の「替り目」、寒空はだかさんの漫談、三遊亭歌武蔵師匠の「たらちね」、柳家小満ん師匠の「悋気の火の玉」で二回目の仲入りです。金原亭馬治師匠の「鮑のし」、ロケット団の漫才、林家正雀師匠の「鴻池の犬」、春風亭一之輔師匠の「鶴」、翁家社中のお二人の曲芸、主任は金原亭馬生師匠の「看板のピン」で、その後に大喜利の芝居「塩原太助」がありました。

印象に残ったのは柳家わさび師匠の「茗荷宿」、古今亭文菊師匠の「初天神」、三遊亭歌武蔵師匠の「たらちね」、春風亭一之輔師匠の「鶴」などですな。あら、みんな定番の滑稽噺だ。

寄席はパラダイスです。
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東京文化会館で英国ロイヤル・オペラ・ハウスによるジャコモ・プッチーニ作(フランコ・アルファーノの補筆付き)のオペラ『トゥーランドット』を見る。むせかえるような異国趣味、エキゾチックな空気の中で、薄暗い夜の霧につつまれたような物語が始まり、進んでいく。アジアの後進性などという言葉すら思い起こさせるこれを『オリエンタリズム』の著作のあるエドワード・サイードはならばどう批評するのかなどとぼくは考えてしまうが、それこそがプッチーニの仕組んだ仕掛けなのだと途中、気がついた。1926年に初演されたこのオペラはプッチーニの末期にして未完の物語でもあるのだが、いつの時代かはわからない皇帝のいる中国を舞台にした物語は、ほとんどの演者は仮面をつけて歌い、踊る。イタリア人のプッチーニはその晩年にイタリアでのファシズムの発生に立ち会い、この『トゥーランドット』はヨーロッパ全体を暗い雲でおおい闇に閉ざしたその時代とその時代の終焉、そして、来るべき新しい時代の到来を予言しているかのようなのだ。その意味で今という時代にこの英国ロイヤル・オペラ・ハウスの演出は素晴らしい。鳥肌が立つほど感動しました。

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新宿末廣亭令和六年六月下席昼の部を見にいきました。

見た演目を書き出してみます。前座の柳家小きちくんの「うそつき弥次郎」、二つ目の三遊亭歌彦くんの「持参金」、二つ目の入船亭扇七くんの「たらちね」、ホンキートンクの漫才、春風亭勢朝師匠の徳川家康とかの徳川家を題材にした漫談、古今亭菊寿師匠の「粗忽長屋」、林家ペーさんのギターを弾きながらの漫談、三遊亭歌る多師匠の「桃太郎」、林家種平師匠の「ぼやき酒屋」、三増紋之助師匠の曲独楽、吉原朝馬師匠の「浮世床」から「夢」の段、柳家権太楼師匠の「代書屋」で仲入りです。三遊亭志う歌師匠の「熊の皮」、アサダ二世さんの奇術、三遊亭一之輔師匠の「かぼちゃ屋」、三遊亭歌武蔵師匠の「長短」、翁家社中の曲芸、主任は三遊亭歌奴の「五貫裁き」でした。

いくつか、印象に残った演目です。三遊亭歌る多師匠の「桃太郎」は子どもが可愛らしい。柳家権太楼師匠の「代書屋」はいつ聴いても、何度聴いても面白くて、笑ってしまいます。三遊亭志う歌師匠の「熊の皮」の与太郎の罪の無さ。アサダ二世さんの奇術のゆるさが最高。三遊亭一之輔師匠の「かぼちゃ屋」の滑稽さに大笑い。三遊亭歌武蔵師匠の「長短」は、今までは相撲での物言いの審議の説明の漫談しか聴いたことがなかったけれど、今日、初めて武蔵師匠の落語を聴きましたよ。おもしろかった。

寄席はパラダイスですな。
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高円寺・座へ『日韓琉鎮魂のまつり』を見に行きました。ぼくの見た演目は琉球舞踏「稲まずん」と「浜千鳥」、韓国伝統芸能パンソリ「水宮歌」、新作能「望恨歌」。新作能のシテの清水寛二さんの舞いの見事で凄みすら感じてしまいました。韓国、沖縄、日本とそれぞれに少しづつ違っていながら、エトスの奥深くは極東アジアの何かでつながっていることを実感いたしました。
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新宿末廣亭令和六年六月中席昼の部に参りました。

末廣亭に行く前にベルグに寄り、ソーセージを食べながら、白ワインをひっかけるのがぼくの定番。

末廣亭で見た演目を書き出してみます。前座の春風亭昇ちくくんの「弥次郎」、二つ目の桂鷹治くんの「スライダー課長」、春風亭昇々師匠の「指定校推薦」、鏡味味千代師匠の大神楽、三遊亭愛楽師匠の「寿限無」、笑福亭里光師匠の「手水廻し」、国分健二さんの漫談、滝川鯉朝師匠の「夏どろ」、桂右團次師匠の「金明竹」、林家今丸師匠の紙切り、桂信治師匠の「あくび指南」、笑福亭鶴光師匠の「西行鼓ヶ滝」で仲入りです。十代目桂文治についての座談会があり、ナオユキさんの漫談、桂米二師匠の「代書屋」、柳家蝠丸師匠の「山号寺号」、D51のコント、主任の桂文治師匠の「禁酒番屋」。

とても印象に残ったのをいくつか。滝川鯉朝師匠の「夏どろ」では、泥棒もいい人で微笑ましい。笑福亭鶴光師匠の「西行鼓ヶ滝」。笑福亭鶴光師匠の古典落語にして人情噺を、初めて聴きました。笑いのつぼを知りつくした鶴光師匠の噺は面白い。桂文治師匠の「禁酒番屋」を聴きながら、笑って、笑って、江戸の世っていうのは、それほど武士が威張っていなかったのかもしれないなどと思います。

その後、中村屋でカレーを食べて、初めて食べる中村屋のカレーがとても美味しい。中村屋の創業者はインド独立の父にして、日本に亡命したラス・ヒバリ・ボースにカレーを教わったという。頭山満率いる福岡の右翼の政治結社、玄洋社が命を助けたアジアの革命家、民族独立の運動家が四人いて、一人は中国の孫文で、一人はラス・ヒバリ・ボース、一人はベトナムのファン・ボイ・チャウ、一人は朝鮮の金玉均でありました。おっと脱線してしまった。

やはり、今日の寄席もパラダイスでした。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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