えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

保阪正康さんの著した『平成の天皇皇后両陛下大いに語る』がとても面白く、一気に読んでしまいました。
ある時、保坂さんのところに友人の半藤一利さんからこのような電話がかかってきたそうなのです。
「保坂君、雲の上の人に会う気はあるか」
さらに半藤一利さんはつづけたそうです。
「両陛下にお目にかかって雑談するんだよ。昭和史のことをお聞きなりたいとおっしゃって、君の名前が挙がったんだ」
以来、保坂さんは半藤さんと皇居を訪れ、計六回の平成の天皇皇后両陛下が今生の天皇と皇后であったころに、面会する機会にめぐまれ、御進講という形ではない、雑談という形で両陛下と話をする機会となり、本書は記憶のままに書きつづったものであるというのです。昭和の天皇陛下の戦争期の生々しい話もときおり出てもきて、平成の天皇陛下の心がどのようなところにあるのかも察せられ、とても面白く、一気に読んでしまった次第です。
平成の天皇陛下というと、とある学校に訪問された際に、国歌の斉唱や国旗の掲揚について、強制ではない方が望ましい、と発言されたり、私的な旅行として高麗神社を訪問された際に、天皇制の成立について秦氏の役割の大きさについて言及されたり、などということから、ぼくの天皇陛下への親しみと敬意はけっして小さいものではありません。この『平成の天皇皇后両陛下大いに語る』にも、天皇陛下自身が、桓武天皇の母方の祖先が韓半島、朝鮮半島の百済の武寧王にルーツをもつことについて熱く語っておられたということだそうで、それも、これも天皇陛下が、民族や国の仲たがいによる戦争はあってはならぬ、という御心を表されたことだとも思われるのです。
平成の天皇陛下が求められたことが、正式な大学の教授からの御進講ではなく、保阪正康さんや半藤一利さんらの市井の歴史研究家との雑談、対話であったことも、何かとても意義深いことのように思われます。
僭越ながらも、無私の祈りということが、その人を至上へと高めるというのがあるのではないかしら。その平成の天皇陛下の作られた道行きの方向が令和の天皇陛下にも受け継がれていることに、ぼくはほっと胸をなでおろすかのような安堵の心もちをおぼえるものであります。
平成の天皇皇后両陛下大いに語る 保阪正康 - 本の話

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