えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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塚本連平監督の『35年目のラブレター』を見ました。文字の読み書きのできなかったお父さんが、夜間学校に通い、文字の読み書きを習い、覚え、妻にラブレターを書くというお話。

主人公を演ずる笑福亭鶴瓶さんもよかったし、妻を演ずる原田知世さんがよすぎます。夫と妻の若かりしころを演じた、重岡大毅さんと上白石萌音さんもなかなかのものでした。NHKの大河ドラマ『べらぼう』で平賀源内の安田顕さんが夜間学校の先生を演じています。

映画を見ながら、日本語って漢字とかひらがな、カタカナまであって、漢字には訓読みとか音読みとかあって、ややこしいな、と思う。けれど、それが日本の言葉だとも思う。何度もの変転はあるだろうけれども、これを失うことは、日本人のもっとも大切な何かを失うことだろう。

ラストのエンドロールとなり、その後、劇場が明るくなり、ふと後ろを見ると、若い女子が、号泣しておりました。ぼくにもこみ上げるものあり。実話を元にした善意あふれる優しいいい映画。日本映画の昔からあるような、奈良の普通の町並みを舞台にしたストレートでまっとうな家族劇が嬉しかった。

『35年目のラブレター』映画公式サイト
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NHKの大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」が面白いです。落語が好きで江戸時代を知りたくて、吉原が舞台だなんて大河ドラマとしては無理じゃないのなどと思いつつ、見始めたら、はまってしまった。主役の蔦屋重三郎、演ずる横浜流星くんがかっこいいが、花魁の瀬川(花の井)、演ずる小芝風花さんが更に素晴らしい。彼女が主演をしていたNHKのドラマ「「あきない世傳(せいでん) 金と銀」もぼくはよく見ていたけれど、そのパート2も「あきない世傳(せいでん)金と銀2」として四月から放送されるという。「べらぼう」に戻れば、瀬川はまだ退場しません。瀬川を身請けした鳥山検校の人生に、これから驚くべき展開が待っております。

ぼくの好きな絵師の英一蝶とか俳諧師の宝井其角とか、これから出てくるのかな? さて、宝井其角の句を一句。

 闇の夜は吉原ばかり月夜哉

この句は切れ目をどこに入れるかで解釈がまったく反対になるという。

 闇の夜は 吉原ばかり月夜哉

 闇の夜は吉原ばかり 月夜哉

この前の「べらぼう」の「玉菊燈籠恋の地獄」では涙腺から水のしずくを絞りとらられた人がたくさんいるのではないかしら。
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ジェームズ・マンゴールド監督の『名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN』を見ました。ボブ・ディラン、若き日の彷徨、みたいな映画でした。

ボブ・ディランを演ずるティモシー・シャラメがボブ・ディランに喋り方どころか歌い方もそっくりで、違和感がなくてすごいです。ディランって、いつも上目遣いに人を見て、どこか内向的で、何か謎めいた人間ですな。こんな若者がいたら惹きつけられるけれど、怖い。多分、"A COMPLETE UNKNOWN"を日本語にすると「正体不明」。

アルバムでいうと『Highway 61 Revisited』までの初期のディランの音楽、名曲がいっぱいで、140分があっという間でした。ラストの30分は本当にかっこいい。ブーイングの嵐の中、怒りをコンサートでぶちまける、あの時のボブ・ディランの音楽は、ロックという音楽が生まれる、その瞬間でもあったのだ。

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
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山田あかね監督の『犬と戦争 ウクライナで私が見たこと』を見ました。ウクライナでの戦時下の犬たちと、犬たちを戦争の惨禍から保護しようとする人たちをとらまえたドキュメンタリーでした。この映画を見ながら、犬を飼うと、犬と人は家族になるんだよな、などと自分の経験を思い出して、思う。この映画には戦争も生々しく記録されていて、たくさんの犬たちの死骸に目を背けたくなる。

この映画に出てくるイギリスの動物のレスキュー隊「BREAKING THE CHAINS」を立ち上げたトムはすごい。尊敬します。彼は元イギリスの軍人で、腕には入れ墨を一面にほどこし、屈強な兵士そのものだ。アフガニスタンでの従軍により、PTPSDになり、保護犬を飼うことにより救われたという。地雷の埋まっている戦闘の後の朽ちはてそうな民家の瓦礫に分け入り、何匹もの猫たちを救う。行方が分からなくなり、久方ぶりに連絡が来るのだが、ガザの瓦礫の中で動物たちを救っているのだ。トムは、自分のしていることは、ボランティアでも、仕事でもなく、人生そのものだ、という。かっこいい。ぼくは平和を祈るばかり。

映画『犬と戦争 ウクライナで私が見たこと』
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バーセル・アドラー監督、ユバル・アブラハーム監督、ハムダーン・バラール監督、ラヘル・ショール監督らによる共同監督での『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』を見ました。イスラエルのヨルダン川西岸地区でのパレスチナ人へ植民地主義による住民の強制の立ち退きと住民への度重なる暴力、暴力の末の住民の殺害をとらまえた、このドキュメンタリー映画は、イスラエルという国の邪悪な獣性のいまわしい性格を確かに事実で浮き彫りにする。

日本に目を向ければ、過去、日本も満洲国というものを偽の国家をでっち上げ、同様な振る舞いをしているのだが、これは二十一世紀の現在の映画であることに、ぼくの憂鬱は深まるばかりだ。もしも、自民党の国会議員でもあった山口淑子さんが生きていたならば、李香蘭であった、何度も自己を更新しつづけた彼女は、国会で、メディアで、市井で満腔の怒りの声を発しつづけているだろう。石破首相の立ち位置はあまりにも曖昧で危うく、不正義だ。

この映画がパレスチナ人とイスラエルのユダヤ人の共同で作られたことは、一縷の望みの筋でもあるのだし、彼らの友情に深い敬意を表しつつ、ぼくも希望を失わずに、帽子にパレスチナと日本の友好旗のピンバッチを付け、平和を祈るばかり。

映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』公式
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弘理子監督の『鹿の国』を見ました。諏訪大社の御神事をとらまえたドキュメンタリーにして、奈良時代から伝わり、そして、途絶えた冬の儀式を再現したものでもあります。

鹿が神への捧げものとして奉納されるそれは、何やら神秘的でもあり、その営みが愛おしくもあります。ぼくは、この映画『鹿の国』を見ながら、クロード・レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』や柳田國男の『遠野物語』、宮澤賢治の『鹿踊りの始まり』を連想していました。月並みな言葉ながら、鹿の捧げの供犠には自然、命への畏敬があって、いよいよ残酷さの止まらない西洋の近代以降への抗いすらあるようにも思えるのです。

諏訪大社では、近ごろ、僧侶たちを向かい入れ、儀式さえ行わていて、近代の受容である明治維新より前の伝統に立ち帰ろうとしているようであることに、ぼくは驚いてしまうのです。立ち戻った鹿の国の、その霊力は人にもおよび、人と国の本来を取り戻すかのようでもあるのです。

映画「鹿の国」公式サイト
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ジェシー・アイゼンバーグ監督の『リアル・ペイン 心の旅』を見ました。ユダヤ人としての出自をもつニューヨークで育った若い二人の従兄弟同士がポーランドでガイドツアーの旅するという話。旅の終着点は祖母がアメリカに移民に来る前に住んでいた家で、ガイドツアーではユダヤ人の一斉蜂起の記念碑やアウシュビッツ強制収容所を巡るのだが、ポーランドでのユダヤ人の記憶の町並みの景色は遠景にあり、声高には語られない。その遠景にこそ、ぼくは作りものではないリアルを感じた。従兄弟同士は幼なじみなのだけれど、まったく正反対の性格で意見があわず、旅での口論がつづいていくだけで、これといったストーリーはない。

ユダヤ人はナチスのドイツにガス室に送られ600万人も殺された。恐ろしいことだ。翻って、日本の広島と長崎にトルーマンのアメリカによって原爆が落とされ、21万人が殺された。恐ろしい。今という時代となっても、ネタニヤフのイスラエルは爆撃により4万人の市民を殺し、その7割が女性と子どもだという。

映画『リアル・ペイン』に戻れば、祖父、祖母の時代に人類の犯した過ちにより、主人公たちは世代を越えて、いつ痛みだすかもしれない傷のようなものをかかえて、人生の旅をしているかのようなのだ。その痛みは忘れない方がいい何かであるとぼくは思う。

リアル・ペイン~心の旅~ | Searchlight Pictures Japan
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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