えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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フー・ティエンユー(傅天余)監督の『本日公休』を見ました。台湾発のヒューマン・ドラマの舞台は台湾の町はずれの時代遅れになりつつあるかもしれない理髪店なのです。続いていく日常が日だまりのような穏やかな幸せであるかのように描かれております。理髪室の老いの年齢にさしかかった主人公が古いボルボの車を運転して旅に出ます。さて、何が起こるかは秘密にしておきますね。

ぼくはふと、いつも行く「ブルーノート」という床屋さんを、この映画を見ながら思い出しておりました。昔ながらのそこは、アンティーク調度品やら装飾品の並んでおり、ジャズの静かにかかる「ブルーノート」で、ぼくは髪をかられながら、いつも居眠りをしてしまうのです。ふと起きると、髪を切ってくれている主人は、ぼくにいつも同じことを言ってくれるのです。

「眠いですね」

これが「幸せ」と呼ばずして何を「幸せ」と呼ぶのでしょう? 保守とは古い蕎麦屋を守ることだというのは聞いたことがありますが、古い理髪店を守ることも保守に違いありません。そこで営まれているのは昔ながらの平和な光景なのです。そのような幸せが『本日公休』にもあって、なんともあたたかな名品、名作なのです。

9/20公開『本日公休』公式サイト
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石井岳龍監督の『箱男』を見ました。原作は安部公房。

高校生のころ、文化祭か何かで見た安部公房が戯曲を書いた演劇『棒になった男』とかを思い出し、その何ともいえない気持ち悪さを思い出してしまいます。

ぼくのなかなかと思う三人の俳優、佐藤浩市さん、永瀬正敏さん、浅野忠信さんが出演しています。佐藤浩市さんの演じた軍医が気持ち悪くて、いい。看護士役の白本彩奈さんがとてもきれいです。

石井岳龍監督というと『逆噴射家族』がとても面白かった。

安部公房原作の映画で思い出すのは勅使河原宏監督の『砂の女』です。主演女優の岸田今日子がとてもよかったのですよ。

『箱男』は久しぶりにわけの分からない映画を見た感じがしました。不条理演劇というのは今でも演じられているのだろうか? 映画館を出てふと見渡すと、みんながスマホを覗き見ているような気持ち悪い世界にぼくも生きているような気もするのでした。

映画『箱男』オフィシャルサイト 2024年全国公開
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レイモンド・ブリッグズの絵本を原作としたジミー・T・ムラカミ監督の『風が吹くとき』を見ました。イギリスのどこかの郊外で核戦争に見舞われた老夫婦を描いたアニメ映画でした。善良で国家の宣伝に従順な老夫婦が核爆弾を被り、ついには放射能の障害で死んでいく物語なのですが、とても怖かった。

ソビエト連邦とアメリカ合衆国の対立は大量の核兵器を抱え込み、「冷戦」と呼ばれたのだけれど、この『風が吹くとき』は、その冷戦のさなかの1986年に英国で制作されたので、その後、1991年にソビエト連邦は崩壊し、けれども何も変わっていない今という現実も恐ろしい。人類が生き、さまざまな生きものたちが生きるこの地球が続いていくにには平和しかないと思うのだけれど、この映画の老夫婦のように、人々は、結局、知らないふりをしつづけるのだろうか? 昨日は原爆が広島に落とされた日で、明日は原爆が長崎に落とされた日なのだけれども。

日本語吹き替え版の監修は大島渚で声の出演をしている森繁久彌と加藤治子のお二人がうまい。音楽はピンクフロイドのロジャー・ウォーターズ。映画の冒頭の主題歌はデヴィッド・ボウイ。

核戦争は起こったら終わり。

映画『風が吹くとき』(日本語<吹替>版)/8月2日(金)公開
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アレクサンダー・ペイン監督の『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』を見ました。アメリカの全寮制の高校の寄宿舎にクリスマスシーズンにそれぞれの理由から家に帰れずに取り残された三人、先生と生徒、食堂の料理長のお話でした。なんだか1970年代の日本映画のようで、不思議とノスタルジックな気持ちになってしまい、映画を見ながら、なんだか、自分の高校時代を思い出したりもしていました。それはもちろん1970年代のたかが数十年前の話なのですが、歴史というのは、いろんなところで、いろんな風に、同じことが起こっている、そういうことなのかもしれませんぞ。なんだか、とても暖かい気持ちになる、そんな映画でした。

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』公式サイト
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久野瑶子監督、山下敦弘監督の二人の監督による『化け猫あんずちゃん』を見ました。このアニメーション映画は「ロトスコープ」という手法を使って、制作されており、山下敦弘監督がまずはじめに実写版の映画を撮り、それを特殊な技術でアニメ化していくということだが、そのアニメはとてもリアルでありながらも美しいものでございました。

主人公の化け猫のあんずちゃんは南伊豆の架空の町の寺に、小さいころに住職に拾われて、住み着いた猫で、三十歳を越えたころから化け猫になり、人間の言葉をしゃべり、人間のように二足歩行をし、バイクにまたがり、お客さんの家にマッサージをしに行くという仕事もしていて、まったくかわいさのかけらもないけれど、そこもいい。そんな寺に、昔、家出した後取り息子が年を経て、子どもの女の子を連れて帰ってくるところから、この映画の物語は始まります。思いっきり変な映画だけれども、なかなかよかったです。小学生の女の子の化け猫と過ごす夏休みの一幕は忘れられない永遠の夏となったようでもあるのです。

映画『化け猫あんずちゃん』公式サイト
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へティ・マクドナルド監督の『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』を見ました。イギリスを南から北へと旅するロードムービーです。鈍色の曇った空の下のイギリスの景色が美しい。北の方まで主人公が歩を進めれば、そこは丘の向こうまで永遠につづくかのようなヒースの原野で、あたかもエミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』の舞台のようでもあるです。原作はイギリスの作家、レイチェル・ジョイスの『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』で脚本もその原作者が書いた。旅の終着でささやかな敬信による顕現がほのめかされる。こんな地味な映画がイギリスでは大ヒットしたそうで、イギリスの人たちって素敵だなと思いました。イギリスにはケン・ローチというどこにでもいる労働者階級の人たちに寄り添ったヒューマニティー溢れる巨匠がいるけれど、それをへティ・マクドナルド監督は受け継いでいるようでもあるのです。

映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』公式サイト
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前田哲監督の『九十歳。何がめでたい』を見ました。九十歳の草笛光子さんがが九十歳の大作家、佐藤愛子さんを熱演していて面白い。こういう映画を見ると、ぼくは、世界には老人力、佐藤愛子さんいわく「老い力」というものがあるのだなと思わざるえない。元気になるような映画です。そして、伝え聞くところによると、佐藤愛子さん、今、百歳、百寿・紀寿だそうです。素晴らしい。

映画『九十歳。何がめでたい』|大ヒット上映中!
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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