えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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東京芸術大学美術館で『相国寺承天閣美術館開館40周年記念 相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史』展を見ました。京都の相国寺、金閣寺こと鹿苑寺、銀閣寺こと慈照寺の保有する美術品の展覧会でごさいます。

それは、十四世紀末、室町幕府三代将軍の足利義満の夢の後であり、後の江戸時代には朝廷によって守護され、伊藤若冲や円山応挙の名作が残されることとなります。

画聖とも呼ばれる雪舟は、室町時代の相国寺の高位の僧侶でもありました。その雪舟の「山水図」を見れたことがよかった。そして、雪舟の画の師である周文の「十牛図巻」は禅の十牛図の解説の本などにも口絵として引用されている絵で感激しました。

江戸時代に絵画を革新していった伊藤若冲の「竹虎図」の虎は猫みたいでかわいい。同じく絵画を革新していった円山応挙の「大瀑布図」はど迫力なのだ。

日本画に近頃、目覚めたわたくしは、こうひとりごちります。いいもんだねぇ。
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平塚市美術館にて『生誕100年 中村正義 -その熱と渦-』展と同時開催の『よみがえる絵画』展を見ました。

日本画壇の風雲児、1977年に52歳の若さで没した中村正義の展覧会。1961年に日本画壇に別れを告げ、日本画の枠にまったくおさまらない絵を発表しつつも、日本的な絵に先祖帰りするかのような絵も残しております。ぼくは中村正義が常に日本の伝統の重力を感じながら、その故郷のようなところに帰ることを拒み、引き裂かれつづけた、そのような画業の人生だったように、展覧会での絵を見ながら、思っておりました。常に病気と隣り合わせに行きながらも、その伝統と前衛の引き裂かれ具合は、虚無を抱えながらも、真なる自分への探求でもあり、そのあっぱれな人生に、生誕100年の今、喝采を送りたいと思うのでした。

『よみがえる絵画』展は、川村清雄の「滝」を見つつ、修復によって絵画がこれほどに元の状態の美しさを取り戻すことに驚きを隠せません。このような地道な労力、努力によって、美術作品が後世に伝わるようになることに、ぼくは修復師の方々への敬意と感謝を表すものであります。
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青山の根津美術館で『財団創立85周年記念特別展 国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図 光琳・応挙・其一をめぐる3章』を見ました。この私設の美術館に重要文化財や国宝がごろごろあります。附設の広大な庭といい、この美術館を開設した明治から大正、昭和にかけて古美術を収集した実業家の根津嘉一郎ってどれだけ金持ちなんだよ、などと思う。まっ、いいか。

鈴木其一による十九世紀の屏風画の重要文化財「夏秋渓流図」はポップな名品といった風情。

円山応挙による十八世紀のに描かれた屏風画の重要文化財「藤花図」は筆使いも生々しい、見惚れるような絵でございます。

尾形光琳の十八世紀の屏風画「燕子花図(かきつばた)」が遠くから見えはじめたとこらから、その圧倒的な存在感に鳥肌がたってきます。この「燕子花図」は能の「杜若(かきつばた)」から着想を得たと聞けば、さらに情趣も高まります。

企画展の部屋以外にも、その他の「中国の小金銅仏」の部屋、「古代中国の青銅器」の部屋、「能「杜若」に寄せて」の部屋、「若葉どきの茶」の部屋があり、そこにも重要文化財やそれに次ぐ文化財がごろごろ展示されていて、しかも、今回は展示されていない国宝が残り六点もあるそうです。根津嘉一郎ってどれだけ金持ちなんだよ、などと思う。まっ、いいか。根津美術館には展示替えするたびに見に来なくてはなりますまい。

日本の美の吉祥にめでたし、めでたし。
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町田の芹ヶ谷公園にある町田市立国際版画美術館での『日本の版画1200年―受けとめ、交わり、生まれ出る』を見ました。日本における版画の海外から移入と日本での変性、日本の版画の創出ということの展覧会でありました。

日本における版画の歴史は奈良時代の小さな仏塔に納められた小さな経文の印刷に始まり、今の横尾忠則や靉嘔の現代版画にまで続く。江戸時代の浮世絵版画の隆盛は、ヨーロッパの芸術に大きな霊感を与えるのだけど、ぼくはその浮世絵版画のもっとも遅れてやってきた後衛の小早川清や川瀬巴水の芸術に惹かれてしまいます。と同時に、芸術は時代を写す鏡のようであって、日中戦争の始まった1937年に日本と中国の紐帯は切れ、その後の不幸な時代が苦々しい。しかし、戦後、希望の方へと向かい、民衆を巻き込みもした新しい版画運動すら起こるのです。それは、常に、受けとめ、交わり、生まれ出るのです。
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国立近代美術館で『ヒルマ・アフ・クリント展』を見ました。19世紀後半に生を受けたヒルマ・アフ・クリントは100年の時を経て、21世紀となって発見され、もっとも早い抽象絵画を描いた人と呼ばれています。

彼女の大きな絵を見ていると、心が吸いこまれ、それはアストラル界へエーテルとなって広い世界に移行し、どこまでも天上に向かって、上昇するかのようです。と同時に、エマヌエル・スヴェーデンボリからルドルフ・シュタイナーの神智学と人智学へのスウェーデンのキリスト教神秘主義の伝統があって、さらにさかのぼれば、ケルトの神秘思想がありそうです。けれども、ぼくはキリスト教の選民思想が好きではありません。実際に今でもそれは世界に破壊と混乱をもたらしていることに疑いはありません。

絵のキャプションの解説を見ながら、ふと、19世紀から20世紀への端境期、電波や放射能などの目に見えないものの機能が発見されたことに、何かを感じることも、ぼくにはあるのです。ヒルマ・アフ・クリントの絵は素晴らしい。彼女の探求心。けれども、ぼくは、日本には稲荷の神威の稲荷神社があるなどと、妙なことを思い浮かべてもいるのです。

ヒルマ・アフ・クリント 10の最大物 ヒルマ・アフ・クリント財団蔵 #ヒルマ・アフ・クリント展
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横浜美術館にリニューアルオープン記念展『おかえり、ヨコハマ』を見に行きました。横浜美術館の収集は16,000点以上にも及び、今や国内有数の美術館であり、今回のリニューアルとは収蔵庫を大幅に拡張したとのことです。こんな美術館のある市の市民の人たちがうらやましくもあります。

『おかえり、ヨコハマ』では横浜という町にまつわる美術館の収蔵作品を中心に、さまざまな絵や彫刻、写真などを見ることができました。この展覧会を見ながら、横浜は近代以降の日本の矛盾を先鋭的に現れところでもある、とぼくは思ったりします。松本竣介の「Y市の橋」を見ながら、たしかに「Y市」とは「横浜市」のことだ、とぼくは感嘆のため息さえもらしたのです。
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『ヒルマ・アフ・クリント展』を見に、竹橋にある国立近代美術館に行ったのだけれど、『ヒルマ・アフ・クリント展』は会期前で、常設展を見てきました。こなように常設展をじっくり見るのもひさかたぶりのような気がします。

いつものように第二次世界大戦下の戦争画が数点、展示されていて、その中に藤田嗣治の「血戦ガダルカナル」もありました。戦時下の兵士たちの獣性を表現して限りなく、その大きな絵は、まったくの地獄の図を呈している。このような絵を戦時協力の絵として、時の軍部政権の政府に提供した藤田嗣治とは何ものなんだ? 戦中、藤田は、仲間の画家に、日本は負けますよ、そうすればわれわれの時代だ、ここがききますからね、と自らの腕を軽くたたき、にやっと笑った、という。戦後、藤田は戦時協力の批判にあい、自身の芸術の故郷、フランスに戻り、二度と日本に帰らなかった。藤田嗣治とは何ものなんだ?

会田誠の「美しい旗」を見て、これは危険な絵だという気がした。ぞっとするような全体主義への誘惑? 戦争だ、若者よ、体を鍛えておけ? むしろ、おれは、光り輝き、一人で屹立する病者の精神に共感するのだよ。

会場を歩き、日本画の展示場の菊池芳文の「小雨ふる吉野」に心休まり、しばらくは見とれていた。この絵には癒されます。最近、日本画が分かってきたような気がします。

『ヒルマ・アフ・クリント展』は3月4日(火)からだそうで、楽しみです。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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