えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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長谷川等伯の国宝「松林図屏風」が展示されているというので上野の国立博物館へ行きました。これは坂本龍一さんがもっとも好きな日本画だとおっしゃっていた墨で書かれた日本画です。松の林の具象画が抽象画のようにも見え、心が静まり、何か宇宙の何某を知ってしまったかのような作品です。

「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」という本で坂本さんは芸術におけるロゴスの不信を説いておられ、そして、この「松林図屏風」の話になった、と記憶しております。ロゴスを調べると言葉、意味、論理ということ。ロゴスの反対はパトスで、情熱、感情、哀愁、苦悩、同情ということ。「松林図屏風」はロゴスでもパトスでもなく、直感でしか得られない何かであるような気がして、それは顕現といっていいことであろう、とも思います。それは能舞台の鏡松であるかもしれないし、十牛図の「返本還源」であるかもしれません。「松林図屏風」の前でたたずむことはとてもいいことなのです。
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平塚市美術館で『国立劇場の名品展—鏑木清方、小倉遊亀、東山魁夷、髙山辰雄、加山又造…』を見ました。今は工事もどうなるかわからない状態で国立劇場が閉鎖せれておりまして、その国立劇場が所蔵し、ところどころに展示されておりました絵画作品が一時避難しており、その展覧会です。日本絵画の名作品のしかも大きな絵画が三十六点、そろって見れます。東山魁夷の「雪原譜」の青い色の美しことよ。

ところで、今の政府は、この国立劇場の状況を見ても、伝統については冷淡であるようです。ほとほと困ったことで、今の自由民主党も維新の会と同様、保守とはいえませんな。最近、思うのですが、もっと早くに日本の伝統の芸能や芸術に目覚めればよかった、ような気もしています。齢をとらねば分からぬことでありましょうか?
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長く十牛図に惹かれてきました。最近では解説付きの本ではなく、ただ絵を眺めるのがよろしかろう、と存じます。牛とは何でありましょう? お金? 異性? 自我? その他いろいろ? それぞれでありましょう。その時々で変わりもしましょう。求むるそれらのことごとくでもごさいましょう。そこで、徳力富吉郎さんの版画を買い求めしました。「徳力富吉郎刻摺 版画十牛図」をとくとご覧下さりませ。
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三井記念美術館で『円山応挙 革新者から巨匠へ』展を見ました。これまであまり足を運ばずにいた日本画の展覧会に最近、はまっております。今日もいいもの観ました。後に財閥となる三井家は円山応挙のよき、もっとも熱心な今でいうパトロンだったそうで、今回の展覧会も見ごたえがありました。とくに「竹雀図屏風」や「遊虎図襖」、伊藤若冲の「竹鶏図屏風」と対となっている、いわば合作の「梅鯉図屏風」が若冲の絵もあわせて、とてもいいと思いました。応挙の描く生きものたちがとてもかわいいのです。若冲との合作は、お互いに立てながらも、一番、得意なものを描いたという風情ですな。お互いのレスペクトが伝わってきます。

ところで、近ごろ、ぼくは日本の伝統の何がしかに惹かれますが、ふと立ち止まって考えてもしまいます。最近のインターネットではびこる排外や差別をあおる右翼、いわゆるネトウヨには嫌悪を感じますが、ぼくなどは彼らのいうパヨクなのでしょう。維新の会という政党は助成金を打ち切り、文楽を途絶えさせようとしていましたな。国立劇場の建て替えもしくは補修を長く店ざらしにして、何も進展させない自由民主党のどこが保守なのかぼくにはさっぱり分かりません。すると、ネトウヨとは真逆の坂本龍一が長谷川等伯についてインタビューで熱く語っていたのを思い出しました。ぼくといえば、今回の円山応挙展、平日にもかかわらず、たくさんの人で賑わっていることにほっと胸をなでおろすのです。
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県立神奈川近代文学館で『坂口安吾展 あちらこちら命がけ』を見ました。あらためて、坂口安吾ってかっこいいなあ。そのかっこよさとは、生き方から文章による作品のあれこれまで。ぼくの卒業した大学のもっとも誇れる先輩でもあります。大学では悟りを得ようと仏教を研究するために印度哲学倫理学科に学んだけれど、悟りは得られず、文学、作家への道に舞い戻ったという。売れない作家として身を立てつつ、第二次世界大戦の真珠湾攻撃の時には、国のために身を捧げることを覚悟し、その後は戦争に行くことを免れるために、あれこれと画策し、軍部のために軍の嘱託で映画の脚本を書く仕事に形だけ就いたという。戦争を生き延びたい、と願いながら、空襲に燃え、瓦礫となった東京をいつまでも離れなかった。その相矛盾するそれぞれの行動と恣意を、真珠の粒に例え、安吾の全体をつらなる真珠の首飾りに喩えたこの展覧会のキュレーターはさすがだと思う。

この『坂口安吾展』を見つつ、安吾の言葉はけっして古くならず、ふと、ぼくは、安吾のいくばくかの言葉を、はげましの言葉としてガザの人たちにも贈りたいとも思ってしまったのは不遜だろうか? いや、人を愛し、人の営みを愛し、風が吹きとおるかのように、故郷を形なきものとして称えた安吾大兄、安吾大先輩ならば、許してもくれよう。安吾の生涯すら安吾の作品のように思えてしまいながら、ぼくの一番好きな坂口安吾の言葉による作品は「青鬼の褌を洗う女」なのです。ぼくはこの戦争の世界に「青鬼の褌を洗う女」に出てくる青鬼の調子外れの胴間声を今一度、響かせたいのです。

神奈川近代文学館の隣の港の見える丘公園にある英国式庭園も素晴らしかった。いつ来てもここでは花が咲いてるねえ。つかの間の癒しのひとときでもありました。
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府中市美術館で『フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫』を見ました。戦前期の藤田嗣治の何気なく描く猫がリアルでありながら、かわいい。戦後はカリカチュアされた猫なども藤田はいっぱい描いている。本当に猫が好きだったんだ。藤田は日本画で「猫」も描いているのだけど、自ら日本画を知っていたから西洋で自分の絵が認められた、などと語っていたらしい。付け加えるに、西洋では単なる動物で背景や象徴にすぐぬものが、日本では心のある生きものなのです。真言宗の胎蔵界曼荼羅にはたくさんの心ある生きものも描かれているではないか。などという講釈はここまでとして、日本画からは、原在明の「虎耳草と猫図」、菱田春草の「黒猫」、岸田劉生の「眠猫」なんかがまたいい。ひさしぶりに熊谷守一の「白猫」も見れました。中村寛の「猫の子」や長谷川潾二郎の「猫と毛糸」のもふもふ感。猫好きにはたまらない垂涎の展覧会のようです。
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竹橋の国立近代美術館で『コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ』を見ました。二回目の鑑賞です。深く印象に残った展覧会は二度、見ることにしています。この展覧会は宣伝されず、図録も作られていない。

平日にかかわらず、盛況なのは、この前のNHKのテレビ番組「日曜美術館」のためだろうか? その番組に出ていた音楽家の坂本美雨さんは藤田嗣治の「アッソ島の玉砕」を見て、言葉をつまらせ、泣いているようだった。いわゆる戦争画。「アッソ島の玉砕」よりも凄惨で悲劇的なのは藤田の「サイパン島同胞臣節を全うす」。しかし、これらの戦時中の戦争協力の絵に芸術的な価値があるかどうかは、ぼくにはまったく疑問なのです。暗い抒情ということなかれ。

「愛国」、「報告」、「天皇」という美しいかもしれない言葉の下に醜い人の営みと無念の死体が横たわっている。先人の死のおかげということなかれ。その言葉はあまりに軽すぎて、軍国主義の手垢にまみれて、うす汚すぎる。このぼくの言葉すら軽すぎる。画家ということではなしに、日本人には忘れてはならない歴史も、繰り返してはならない歴史もある。この展覧会で図録をあえて制作しなかったことの理由をぼくは理解し、忘れるなというメッセージも再びしかと受け取りました。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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