えいちゃん(さかい きよたか)

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イタリア文学、パヴェーゼの「美しい夏」を読み終えました。ムッソリーニのファシスト政権時代の大人になる前の少女を描いた美しくも少し暗い絵のような小説でした。フランスの作家、ポール・ニザンの「アデン、アラビア」の有名な書き出し「ぼくは二十歳だった。それがいちばん美しい歳だとは誰にも言わせない」を思い出した。短い一文なのだけど「美しい夏」の書き出しも素晴らしい。

「あのころはいつもお祭りだった」

それはもっとも美しい少女の時のお祭りであるのだけど、戦争とファシズムがもたらすお祭りでもあるのかな、と思った。人生も、世界も、何か残酷なものがあり、そのお祭りにも終りがやってくる。お祭りのあとの灰色を思う。軍事政権下の言論統制か何かもあり、発表されずに第二次世界大戦中に書かれていたこの小説は、大戦後に上梓され、作者のパヴェーゼは自殺し、帰らぬ人となってしまう。不謹慎な言い方かもしれないけれど、、戦時中、反ファシストということで逮捕されたこともあるパヴェーゼにも戦争という夏の祭りの終りはやってくる。その喪失感はやはりあったのかもしれない。

それから、ミケランジェロ・アントニオーニ監督のイタリア映画「さすらい」を思い出した。イタリア・ネオ・リアリズモの傑作はこの「美しい夏」に何か通じるものがあるのかもしれない。

あぁ、イタリア。話は戦争に戻り、敗戦したイタリアの市民はムッソリーニを銃殺し、その死体を逆さ吊りにして市内を引き回したそうだ。

今は夏の終りです。








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