えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

外崎春雄監督の「鬼滅の刃」を見ました。満員の映画館で映画を見るのなんてひさしぶりです。右にティーンエイジャー、多分、ローティーンの女子たちがいて、左にお母さんに連れられた小さな女の子が座っておりました。
主人公は炭焼きの少年で、額に聖痕のようなあざがあります。炭焼きといえば柳田國男が大正時代に書いた「山の人生」を思い出してしまいます。
夢のまわりに無意識があり、その中に精神の核が浮いているという話など、なかなかアバンギャルドなアニメで、夢と現実が折り重なり、大正時代という設定もあって、わけがわからないところも多々あり、1970年代や1980年代の「アングラ」とか呼ばれた演劇を思い出しました。気づいたものたちは夢から覚めて、鬼たちと戦わなくてはならない?
左にいた小さな女の子は、途中、結構、退屈しているようで、あと何分、とお母さんに聞いていたりしてましたよ。ぼくは泣けなかったけれど、右にいた女子たちはラストシーンでシクシクと泣いているようでした。大正時代の設定であるにも関わらず、映画の物語の不思議は、今の時代の状況をくっきりと映し出しているようでもあるのです。シクシクと泣いている女子たちに、何か、正義が叶わないような深い葛藤があるのかもしれない、などとぼくは思っていたのです。
こんな映画にも泣けないぼくの心が、どこか、かわいてしまっているような気もし、若い魂がうらやましい。これから、ぼくは若返るぞ。
劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編公式サイト


黒沢清監督の『スパイの妻』を見ました。
蒼井優さんの演技がすごい。その身のこなし、振る舞い、喋り方、昔の日本、小津安二郎や黒澤明、溝口健二の映画に見られるみたいな、例えば原節子みたく、あるいは三島由紀夫の小説に登場するような、古い戦争期の昭和の日本の女性そのものみたいだ。
映画の物語は歴史の暗部をえぐり、加害の日本を描きながら、サスペンスを通じて、男と女の愛のかけひきの物語となり、ある時の社会や日本と対峙した一組を肯定し、それでよしとメッセージする。黒沢清監督がインタビューで答えていたように、エンターテイメントと芸術の垣根を越えて、映画の力を見せつけられました。
途中で戦争期に非業の死を遂げた山中貞雄の映画が、映画の中で映し出される映画としてほんの少しだけ見ることができる。これはきっと短い人生を生きた映画監督への黒沢清さんからのレスペクトの表明だろう。
ところで、ネトウヨと呼ばれる人たちはこれも反日とけなすのだろうか? まったく鬱陶しいやつらだ。
ベネチア映画祭の栄誉ある銀獅子賞受賞、おめでとうございます。
『スパイの妻<劇場版>』


ベンジャミン・ターナー監督とゲイブ・ターナー監督による共同監督での「メイキング・オブ・モータウン」を見ました。1960年代にヒットチャートの上位をビートルズとともに分け合ったデトロイトの音楽レーベルの「モータウン」の会社がデトロイトにあって、ロサンゼルスに本所地をまでのドキュメンタリーです。
社長のベリー・ゴーディと副社長のスモーキー・ロビンソンがあのころの「モータウン」を楽しくしゃべくりあっております。このポップ・ミュージックに偉大なる貢献をしたお二人はとても元気で、仲が良い感じで、公民権運動の1960年代のことを思えば、音楽というジャンルにとどまってはいなくて、こういう二人のことを「朋輩」とか「戦友」というのではないかしら。
「モータウン」のアーティスト、スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ、テンプテーションズ、マーサ&ザ・ヴァンデラス、シュープリーム、マーヴィン・ゲイ、スティービー・ワンダー、ジャクソン5らの歌う古い貴重なフィルムがきら星の如くに映画館のスクリーンに映し出され、すばらしい音楽が館内に広がっていく音楽映画であるとともに、この映画は「モータウン」という素晴らしい会社そのものを描いた映画ともなっています。あー、ぼくはこんな会社で働いてみたかったとも思ってしまう。なんだか、これから独立して新しいことを始めようとしている若い人たちに是非、見て欲しいとエンドロールを見ながら思っていました。旧友、ベリー・ゴーディについての音楽の何か特別のものを天から与えられたスモーキー・ロビンソンの言葉を紹介しますね。
「才能のある人間はいる。ただ、ベリー・ゴーディというリーダーはいない」
あっ、そうか、新しいことを始めるに、おいらも遅くはないか。
「メイキング・オブ・モータウン」公式サイト


星野哲也監督の映画『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)』を見ました。岩手県の一関に「ベイシー」という古いジャズ喫茶があって、そこを追いかけたドキュメンタリー。
ジャズ喫茶「ベイシー」もかっこいいが、「ベイシー」のマスター、菅原正二さんが、さらに輪をかけて、かっこいい。菅原さんの「ジャズというジャンルはない、ジャズな人がいるだけだ」は名言だなぁ。この「ベイシー」という喫茶店、ある時、霊媒師がやってきて、ここにはいろんな霊が住みついている、お祓いをした方がいい、と言われ、菅原さんは一人も払わないでくれ、と答えたという逸話も残る。音楽の歴史のようなそこには、いろんなミュージシャン、それこそ、カウント・ベイシーからエリビン・ジョーンズ、安倍薫から渡辺貞夫、坂田明の面々、いろんな人がやってきているのを壁一面の書置きも物語っているのです。
ぼくも今夜はレコードで古いジャズを聴きましょうかね。
『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)』公式サイト


ポレポレ東中野で三上智恵さんと大矢英代さんのお二人の共同監督のドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』を見た。
そうか、やはり、軍隊は、戦争の時、人を守るものではなかったのか、守るというより人を犠牲にして、命を奪うという沖縄戦の教訓。取材に応じた今は八十歳を超えるゲリラ戦を陸軍中野学校出身の青年将校に仕込まれた元少年兵は、沖縄戦を忘れたら、また地獄になるよと言う。
戦争マラリアのことはよく知らなかった。波照間島での山下虎雄という偽名を名乗る、陸軍中野学校出身の男からの軍刀を振りかざした暴力による西表島への全島民の強制移動により、強制収容所のような所でマラリアにかかった人たちが、つぎつぎに倒れ、死んでいった。波照間島の学童慰霊碑の碑文にはこうあるという。
「太平洋戦末期一九四五年四月八日 西表島字南風見へ強制疎開させられ全学童三二三名はマラリアの猖獗により全員罹患 中六六名を死に至らしめた
かつてあった山下軍曹(偽名)の行為はゆるしはしようが然し忘れはしない
本校創立九〇周年を記念し、はるか疎開地に刻まれた「忘勿石」を望む場所に その霊を慰め、あわせて恒久平和をねがい碑を建立する
一九八四年七月一六日
波照間小学校創立九〇周年記念事業期成会」
旧日本陸軍の考えは反省もされず、今の自衛隊に残されていという。そして、石垣島での市長選での自衛隊誘致を推進する市長の勝利により、他国の軍から標的にされる巨大な弾薬庫が建設されている。ぼくたちは、せめてもの、例えば選挙で、戦争の方に向かっていかない議員を選びつづけないといけない。
映画『沖縄スパイ戦史』公式サイト


Alan Elliott、Sydney Pollack監督の"Amazing Grace"のDVDを見ました。Aretha Flanklinの1972年のロスアンゼルスの教会でのライブです。教会は思ったほどにはそんなに大きくなく、コンサートというより、ゴスペルを歌い演奏する日曜礼拝。バックの演奏は、ギターがCornell Dupree、ベースがChuck Rainey、ドラムスがBernard Purdie、鉄壁の完璧です。Southern California Community Choirのゴスペル・コーラスの素晴らしさと天使や神さまが降りてきてもいるだろうArethaの神がかりの歌。見ているうちに鳥肌が立ち、何度もぼくの眼から涙がこぼれ落ちました。
(アマゾンでDVDを買ったのですが、リージョン・エラーでDVDプレイヤーでは見れず、パソコンで見ました。御注意あれ。そして、ヘッドフォンでけっこう音量をあげて視聴すること、お勧めします。映画館で見たかったな。どうして日本公開しないんだろう?)
(アマゾンでDVDを買ったのですが、リージョン・エラーでDVDプレイヤーでは見れず、パソコンで見ました。御注意あれ。そして、ヘッドフォンでけっこう音量をあげて視聴すること、お勧めします。映画館で見たかったな。どうして日本公開しないんだろう?)
AMAZING GRACE - Official Trailer - Aretha Franklin Concert Film


キャサリン・ベインブリッジ監督のドキュメンタリー映画『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』を見る。原題は『Rumble: The Indians Who Rocked The World』。
ジミ・へンドリックス、ロビー・ロバートソン、そして、ぼくの大好きなギタリスト、ジェシ・エド・デイビスがネイティブ・アメリカン、所謂、インディアンに出自を持つことは知っていたけれど、リンク・レイというギタリストは知らなかったな。リンク・レイのインストのヒット曲「Rumble」は今ではハードロック、パンクロック、ヘビーメタルの元祖ともいわれ、初めてパワーコードでエレキギターを演奏した曲であるそうで、なみいるロック・ミュージシャンは畏敬の念で彼のギターサウンドから影響を受けたという。そのリンク・レイを皮切りに、アメリカの音楽へのインディアンのミュージシャンの貢献が映像と音で語られる。
近年ではインディアンとは呼ばずに、「ネイティブ・アメリカン」などと呼ぶそうだけれど、この映画『ランブル』では歴史の苦難を直視し、それを含めて、尊敬から「インディアン」と呼んでいると思う。
アメリカのポップミュージックへのインディアンの貢献は深くて、広範だ。ブルースの祖、チャーリー・パットンがインディアンに出自を持ち、ブルースのもっとも初期の歌姫、ミルドレッド・ベイリーもそうであった。
そうだ、多くの白人の若い人が「Black Lives Matter(黒人の命は大事)」のデモに参加し、この『ランブル』のような映画が公開されている。アメリカは変わりつつあるみたいだ、いい方に、などと、想像をめぐらしながら、ぼくはこの映画をとても楽しみ、歌い演奏するインディアンのミュージシャンへの尊敬を込めて描かれる映画を心から喜んでもいたのです。
そして、ぼくの大好きなジェシ・エド・デイビスがタジ・マハールと演奏しているムービーを紹介します。あー、ジェシ、かっこいなぁ。
『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』公式サイト


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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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