えいちゃん(さかい きよたか)

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MOA美術館に『光琳 国宝「紅白梅図屏風」× 重文「風神雷神図屏風」』展を見に行きました。尾形光琳の「紅白梅図屏風」と「風神雷神図屏風」が同時に見られる展覧会は39年ぶりということらしい。再びこのような展覧会が開かれるのが39年後というと、ぼくはこの世には多分、生息してはおらず、霞か雲か土になっているのかと思えば、今、見なくてはいけないような気がして、熱海まで車を走らせたのです。

無知なぼくは、国の定める有形文化財には国宝と重要有形文化財、登録有形文化財の三種類があるのを知りました。「紅白梅図屏風」が国宝で、「風神雷神図屏風」が重要有形文化財で、この前に訪れた法師温泉の長寿館の「法師の湯」の明治の建物が登録有形文化財だそうです。国宝は現在、総数 、1,132件あり、それが多いのか、少ないのかぼくには分からない。国宝や重要有形文化財のこのような国家による指定は、国家による文化の序列化、選別という否定的な意見も一部にあろうかと思うが、こういうものを大事にしないと国は滅ぶとも思えるのだけれど、どうだろう? そういう意味では、長州と薩摩による神仏分離と廃仏毀釈は悪しき伝統文化の破壊だと思え、夏目漱石のいうように、この国は一度、瓦礫の中に沈み、滅んだのだった。

閑話休題、『光琳』展は琳派の絵が豊穣に揃い、展開され、東の果ての島の国で独自に発展した特異な美しさが横溢しているのだった。このような展覧会の見学者は老人ばかりかと予想もしていたけれど、若い女子も多く、本阿弥光悦、俵屋宗達の絵に驚き、尾形光琳の絵に圧倒され、酒井抱一の絵の美しさに見とれているようでもあった。そこに現れ、存在しているのは確かに画家ではなく絵師なのだとぼくは得心する。

現代美術家の村上隆さんは琳派の絵に傾倒しているのだということを思い出した。村上さんの尾形光琳へのオマージュの芸術作品は、古くからの日本の芸術の系譜の中におり、それを「スーパーフラット」と称し、「敗戦国日本の悲哀」を表しているというのに何か、共感すらもしてしまう。ふと、徳川家の時代のように世界史から姿を消しつつ、新しい何かの光を指し示す日本を、ぼんやりと夢想すらしてしまいそうです。
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