えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

鈴木啓志さんの著した「ゴースト・ミュージシャン ソウルの黄金時代、アメリカ南部の真実」を読む。
アラバマ州マスル・ショールズというとある田舎町にあるレコーディング・スタジオ「フェーム」を舞台にした、さまざまなミュージシャンが出入りする本当にあった物語。主人公はそのフェーム・レコーデイング・スタジオのオーナーであるリック・ホール。そこに、世紀の天才ドラマー、フリーマン・ブラウンがヒーローよろしく登場し、そして、ニューヨークの名門レーベル「アトランティック」のオーナー、ジェリー・ウェクスラーが思惑ありげに絡んでくる。ぞくぞくときらめくようなシンガーたちが、この片田舎のスタジオに訪れ、セッションをし、名録音を残していく。さまざまな人間ドラマと変遷を経て、アメリカ南部と北部、黒人と白人に横たわるなんともセンシティブな問題も語られ、キング牧師の暗殺された1968年にフリーマン・ブラウンらを中心にしたアメリカ音楽史上、最強で最高なリズム・アンド・ブルース・バンド"Fame Gang"に結実する。
さて「ゴースト・ミュージシャン」とは誰か? ジェリー・ウェクスラーによって、クレジットから消され、いなかったことになってしまったさまざまなミュージシャンがいたということ。音をたどって明かされる真実は、リック・ホールという、プロデューサーと呼ばれる楽器を持たないミュージシャンにスポットを当て、この南部白人の、音楽家としての、人間としての偉大さを浮き彫りにする。
あぁ、"Fame Gang"の強靭なグルーヴはキャンディ・ステイトンやローラ・リーの1960年代のアルバムで聴くことができます。

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