えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

entry_top_w.png

NHKの朝の連続テレビ小説の『ばけばけ』が面白く、高石あかりさんの演ずるその主人公であるトキのトミー・バストウの演ずる夫のヘブンのモデル、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)に興味を持ち、民俗学者であられる畑中章宏さんの著した『小泉八雲「見えない日本」を見た人』を読みました。ぼくは、『悲しき熱帯』を著した文化人類学者のクロード・レヴィ=ストロースよりもさらに先んじた、日本民俗学という学問を創始した柳田國男がもっとも偉大な日本の思想家だ、と思うような人間でもあるのですが、その柳田國男よりも前に民俗学的な視点をもって日本を見た人が後に小泉八雲となるラフカディオ・ハーンであったという主張に納得しました。畑中章宏さんがこの本の中で引用するラフカディオ・ハーン/小泉八雲の文章が、日本への愛がこもっていて、美しく、はっとさせられます。一つ、『小泉八雲「見えない日本」を見た人』から「盆踊り」の一節を引用し、この感想文を了とします。

「そもそも、人間の感情とはいったい何であろうか。それは私にもわからないが、それが、私の人生よりもずっと古い何かであることは感じる。感情とは、どこかの場所や時を特定するものではなく、この宇宙の太陽の下で、生きとし生けるものの万物の喜びや哀しみに共振するものではないだろうか。それにしても、あの歌は、誰にも教わるでもなく、自然界のもっとも古い歌と無理なく調和している。あの歌は、寂しい野辺の歌や、あの「大地の美しい叫び」を生み出す夏虫の合唱と、知らず知らずのうちに血が通いあっているのである。そこに、あの歌の秘密があるのではないだろうか。私はそんな風に思っている。」

小泉八雲 「見えない日本」を見た人
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

この前、旅をした金沢の国立工芸館で購入した『輪島と漆』を読みました。どのような内容であっかを目次を引用し、紹介いたします。

【目次】
 [対談]
  ◉小森邦衞×桐本泰一「大地震・水害を乗り越え 輪島の漆文化をいかに継続させるか」
  ◉若宮隆志×桐本泰一「アート、建築、日常……漆の可能性を求めて」
  ◉高森寛子×桐本泰一「バブル以降、使い手の裾野を広げるために」
 [エッセイ]
  ◉高森寛子「輪島と輪島塗の記憶」
  ◉秋山祐貴子「はる なつ あき ふゆ どれも愛おしい──輪島の四季」
  ◉桐本泰一「産地・輪島塗の基礎知識」

輪島の漆の漆器の売り上げのピークはバブル景気の終焉した1991年をピークに下降線をたどり続けているというのですが、この前の地震と豪雨がさらに追い打ちをかけたともいえるそうなのです。地震の時、能登半島の原発が稼働していたとおもうと、背筋が寒くなる。けれども、この重なった逆境を奇貨とし、輪島の漆の漆器の再興にかける方々の力あふれる声をまとめた本が『輪島と漆』であります。変わらぬ変わっていくものに、ぼくは感じいり、微力ながらも何かしたいとも思いました。日本の四季を彩る晴れの日のために、高価であっても、輪島の漆器が使われてもいいのではありますまいか? それから、秋山祐貴子さんの「はる なつ あき ふゆ どれも愛おしい──輪島の四季」を読むと、輪島を旅したくなります。輪島に幸あれ、と願い、祈らずにはおれません。

輪島と漆
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

岩波書店から出された『私の戦後80年、そしてこれからのために』を読む。各界の著名な45人の方々が「私の戦後80年、そしてこれからのために」というテーマで文章を寄せられております。感想文の前に目次を記します。

はじめに

干からびた「愛と平和」それこそが……………松重豊
「戦争」を知らずに育った……………村田喜代子
鍵穴から覗いた戦争……………酒井順子
一九四四年生まれの長男宏……………久米宏
残像と風化、そして未来図……………水野勝
聞き手のもとで……………滝口悠生
歴史を逆流させない……………堂本暁子
文化という血流を絶やさぬために……………松尾潔
私の体験的戦後文学……………北方謙三

未来へ、平和を確固たるものにするために……………石破茂
躓くべき「石」……………朽木祥
「象徴」の八〇年――昭和・平成・令和……………原武史
優しい絵……………山内若菜
平和と介護……………鎌田實
八〇年を顧みて――あまりに個人的な……………村上陽一郎
コンセンサスが失われゆく世界で、なお――……………樋口陽一
一九四五年の言葉、二〇二五年の言葉……………角野栄子
在日朝鮮人三世として歴史を生きる……………尹琴淑

六二三、八六八九八一五、五三に繫げ我ら今生く……………川平朝清/ジョン・カビラ
私たちは「戦後」を生きているか……………安田菜津紀
外交の失敗から戦争が起こる……………福田康夫
環境問題の変遷を受け止め続けて……………中西準子
戦争と世界の「後遺症」、そして「抵抗への招待」……………鵜飼哲
日本人の「戦後八〇年」と琉球人の八〇年……………親川志奈子
平和をめぐる日々の違和感……………安野美乃里
戦後五〇年と八〇年の間……………山口二郎

個人の中の分裂を超えて……………赤坂真理
厭戦こそ大切……………辻真先
「戦後」の終わり――これまでとこれから……………宮本憲一
悲痛な転換点に思う……………寺尾紗穂
祖父と父、そして私の傷跡……………尾添椿
女たちの権利獲得の歩み……………内海愛子
戦後八〇年が準備した新しい道……………中村桂子
戦争のなかで生まれた私の責任……………加藤登紀子
シベリアの体験を次世代に伝えたい……………西倉勝

常識を超え、遠くの世界を描く……………山岸凉子
八〇年前のきのうの日記と、八〇年後のきょうの日記……………小林エリカ
戦前社会と戦後社会をつなぐもの……………伊東光晴
映画で植え付ける「いいトラウマ」……………塚本晋也
歴史の裂け目に陥った人びと――シベリア民間人抑留者が突きつける戦後……………石村博子
祖母の毎年の涙……………乃南アサ
戦後八〇年に科学研究のあり方を問う……………本庶佑
『 cocoon 』と過ごした時間を振り返る……………今日マチ子
日本の復興・成長、そして埋没――戦後八〇年への沈思熟考……………寺島実郎

一番、印象に残った文章は意外なことに、前の日本の総理大臣だった石破茂さんの「未来へ、平和を確固たるものにするために」にでした。戦争での日本の加害について言及し、1955年に開催されたインドネシアのバンドン会議でのアジアの寛容と包摂について述べられております。ぼくは石破さんの言説のすべてに同意はしませんが、はやり総理大臣を早くに辞められたことを残念に思うのです。

漫画家の尾添椿さんの「祖父と父、そして私の傷跡」で述べられた祖父の戦争によるPTSDとそれが三代にわたって連鎖することの恐ろしさ。経済学者の伊東光晴さんは「戦前社会と戦後社会をつなぐもの」で庶民が一番右翼で天皇制はその庶民にささえられていたと述べられていて、それは今もつづいているようにぼくには思われます。作家の乃南アサさんが「祖母の毎年の涙」で述べられている戦後も癒えることなくつづく戦争の重さ。政治評論家であり多摩大学学長の寺島実郎さんの「日本の復興・成長、そして埋没――戦後八〇年への沈思熟考」での冷静な分析で述べられている1994年に世界GDPの18%を占めていた経済大国の日本は、今は3.6%まで下落した現実とそれを見つめた、これからの日本への提言に共感します。ほかにも刮目すべき文章ばかりでありました。

ぼくは、この本に文章を寄せられた人たちとともに「戦後100年」を目指したく存じます。

私の戦後80年、そしてこれからのために
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

瀬戸内寂聴さんの著した『ひとりで生きる』を一気読みする。瀬戸内寂聴さんが亡くなられて早くも四年が経つのか、と思う。この本でもとりあげられていたお釈迦さまのことばの一つに「犀の角のようにただ独り歩め」があって、このことばはぼくの大好きな言葉でもあるのです。瀬戸内さんにとって「犀の角のようにただ独り歩め」は呪文だといい、このことばをとなえると「不思議に心はなだめられ、不如意も、怒りも怨みも消えてしまう」という。と同時に「忘己利他」を説く。「己を忘れ他を利するものは慈悲の極みなり」こそ生きる喜びにつながる、という。釈尊の最期のことばは「この世は美しい。人のいのちは甘美なものだ」。瀬戸内さんもこのことばをつぶやいて、人々の愛に感謝しながらこの世を去りたい、という。素敵です。ぼくはこの釈尊の最期のことばの前に「すべてはうつりゆく」があったような気もしながら、本を閉じました。うつりゆくものに献杯と乾杯をしたい。

ひとりで生きる | PRESIDENT STORE (プレジデントストア)
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

映画『Ryuichi Sakamoto: Diaries』を見て、坂本龍一さんの口述筆記で著した本『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』は買ってあって、積読になっていて、読んでいないままになってきたのを思い出し、読みました。面白くてほぼ一気読みです。口述筆記の坂本さんの人生を語った前著の『音楽は自由にする』が2009年の発売で、それ以降の自身の人生が語られております。『音楽は自由にする』も読んでみたくなりました。

目まぐるしくいくつも手がけた音楽の仕事以外に、病気のこと、死生観や、政治や社会に対する見方なども語られていて、とても興味深い。坂本さんが、最近は、普通のポップ・ミュージックから離れて、そのフィールドを映画の音楽やアートのインスタレーション(空間表現)の背景もしくは前景となる音楽、現代音楽、前衛音楽の方に広げていたこと知りました。東京都現代美術館の『坂本龍一 音を視る 時を聴く』をみそびれてしまったことが悔やまれます。

『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』のためにインタビューした鈴木正文さんの「あとがき」が秀逸にして、その交友も生々しくも記され、素晴らしい。その中で坂本龍一さんと東北ユースオーケストラに関するところでは目頭が熱くなりました。人生は無常で有限です。坂本龍一の音楽よ、永遠に。

『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』 坂本龍一
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

杉浦日向子の『百日紅(上)』と『百日紅(下)』を読了しました。江戸時代を背景とした、葛飾北斎やその娘、応為の登場する漫画です。やはり、江戸の気持ちいい涼しい風がふいているかのようで、素晴らしい。不思議さや怖さもそこはかとなくあり、江戸の人たちの神や仏、ものの怪とも一緒に生きているかのようで、そこもとても面白い。杉浦日向子は天才であったのを、あらためて知りました。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

坂口安吾の著した自伝的作品ではない純文学および幻想文学の代表作が収められた短編小説集の岩波文庫での『桜の森の満開の下・白痴 他十二篇』を読了した。所収されているのは、「風博士」、「傲慢な眼」、「姦淫に寄す」、「不可解な失恋に就て」、「南風譜」、「白痴」、「女体」、「恋をしに行く」、「戦争と一人の女〔無削除版〕」、「続戦争と一人の女」、「桜の森の満開の下」、「青鬼の褌を洗う女」、「アンゴウ」、「夜長姫と耳男」。

女性の一人称で書かれた「続戦争と一人の女」や、ぼくが安吾の最高傑作だと思う「青鬼の褌を洗う女」が大好きだ。何か吹き抜けていくものがあります。空襲の燃え盛り、崩れ落ちていく東京の街を嬉々として彷徨い歩く坂口安吾、その人すらも思い浮かべてしまう。安吾の滅亡を肯定する文学に、ぼくは恐れ慄いてしまう。武田泰淳とともに坂口安吾は、このような滅亡的な人類を見る視点を発見し、それは深沢七郎に受け継がれていくのだと思う。その残酷さは「桜の森の満開の下」や「夜長姫と耳男」に深く通底する。坂口安吾は残酷な少女が好きだ。それは敗戦と仏教から安吾の学んだ視座のようでもあるだろう。それから、「アンゴウ」という二十四頁の短い話にあるやさしさと儚さ、無垢な何かにぼくは惹かれてしまいました。

桜の森の満開の下・白痴/坂口 安吾
entry_bottom_w.png
  HOME   次のページ >>
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6
plugin_top_w.png
カレンダー
12 2026/01 02
S M T W T F S
2 3
6 9 10
12 13
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
えいちゃんのお奨め

ライブのお知らせ

ぼくのTwitter

plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新コメント
[05/04 ペコ]
[12/23 ロンサム・スー]
[07/27 gmail account]
[08/29 えいちゃん]
[08/29 みさき]
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
ブログ内検索
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新トラックバック
plugin_bottom_w.png
Copyright えいちゃん(さかい きよたか) by えいちゃん All Rights Reserved.
Template by テンプレート@忍者ブログ