えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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秋も深まり、いよいよ12月で冬到来ですな。夜もどんどん長くなってきた。長い夜は家で音楽鑑賞などいいですよ。お勧めアルバムの紹介です。


その1

CLASSIC AFRICAN-AMERICAM BALLADS from SMITHSONIAN FOLKWAYS



これはアフリカン・アメリカンの古いフォーク・バラッドを集めたもの。ブルースは余り入っていないのだけど、この種の音楽にそれほど明るくないぼくのような入門者向けの1枚なのだ。古い録音集なのだが、音がすごく良くて、バラエティーのとんでいて、しかも一曲一曲が珠玉の名演揃い。ポップス以前のアメリカン・ミュージックがここにある。


その2

Grounation The Mystic Revelation of Rastafari




Count Ossie率いるThe Mystic Revelation of Rastafariが奏でるラスタファリアンの宗教儀式であるナイアビンギを録音したもの。これは超お勧め。詠唱とパーカッションのポリリズムに重たく反復するベース、しばしばオーネット・コールマン的な、もしくはアルバート・アイラー的なサックスが絡んでいく。重たいのだが聴いているうちにポジティブな聖なる霊気に包まれ、とてもいい気持ちになれます。ニューオーリンズを出発した帆船が音楽を奏でながら、永遠とカリブの海を巡っている空気もあります。信じがたいほど高度な音楽性も感じる。素晴らしすぎる。


その3

JOHN LENNON MENLOVE AVE.



Phil Spectorに持ち逃げされたテープがJohnの死後に発見されて、それらが1曲目、3曲目、4曲目、5曲目に入っていてそれが素晴らしい。ストレートなロックン・ローラーでありながら、なんとも繊細でブルージーな彼の本性がPhil Spectorの作るウォール・サウンドの向こうにはっきりと見れるのです。John Lennonって寂しがり屋だね。5曲目の"To Know Her Is To Love Her"でJohnがイエーって叫ぶところがあるんだけど、これがRock'n' Rollだと思う。


その4

A NEW SOUND FROM DEEP SOUTH SPACY SONG STAR DONT MADE IN OKINAWA



どんとの追悼コンサートのエンディングのBGMでかかっていたこのアルバムの2曲目「おめでとう」が忘れられない。君がこの世界に生まれてきたのは深い深い不思議なわけがあるんだよと歌い始めるこの歌の3年後に逝ってしまうとはと思う。一人沖縄での自宅録音。アルバム・タイトルでは"NEW SOUND"と謳っているけど、テクノ風の打ち込みサウンドが今聴くとノスタルジック。どんとはいい曲書くなぁ。


その5

introducing ROLAND KIRK and featureing IRA SULLIVAN



4曲目の"Our Love Is Here To Stay"がインスツルメンタルの最高のジャズ・バラードだと思う。何度、この演奏を聴いてため息をついたことか。あぁ、美しい。後にDinah Washingtonの歌う同じ曲を聴いて驚いた。Rolandらは原曲とはまったく違うメロディーを奏でていたのだから。そういうのがジャズってやつだな。


その6

Burt Bacharack MUSIC FROM BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID



アメリカ西部開拓時代の二人のならず者を描いた映画「明日に向かって撃て」のサウンド・トラック。この映画のテーマ曲ともいうべきB.J. Thomasの歌う"Raindrops Keep Fallin' On My Head"が何とも耳に残り、忘れがたい。アメリカの自由って感じで映画も良かったなぁ。ポール・ニューマンやロバート・レッドフォードがかっこよくて、キャサリン・ロスがきれいだった。


その7

PHYLLIS DILLON ONE LIFE TO LIVE



"Perfidia"の名唱で知られるPHYLLIS DILLON嬢のビーズのような小唄集ですな。この1960年代後期のジャマイカのこういう音楽にはアメリカのサザン・ソウルと同じようなフィーリングを感じてしまって惹かれてしまう。それと、なんともこの時代のジャマイカのリズムが柔らかくディープに弾んで気持ちいいです。


その8

Blues After Hours ELMORE JAMES AND THE BROOM DUSTERS



このアルバムにはおもしろい逸話があるのです。あるブルース・バーでこのアルバムをかけていたところ、そこにブルースとか知らないサラリー・マンが単なるバーだと思って入ってきた。このアルバムの曲がずっと流れる中、そのサラリー・マンがいきなり椅子から立ち上がって、こうわめいたそうな。いつまで同じ曲ばかりかけてんだ?! わめいたリーサラさんよ、その気持はわかるが、ブルースは素晴らしい。ワン・パターンであろうがなかろうが、いいもんはいい。今、改めて、このアルバムを聴くと、Elmore以外にもう1本、ギターの音が聞こえるが、Eddie Taylorであるという。職人だ。それにやっぱ、このElmore Jamesの歌、そのファンキーでストロングな歌いまわしが、ぼくの胸をかきむしる。このジャケットも趣があるなぁ。


その9

THE BAND MUSIC FROM BIG PINK



Bob DylanとRichard Mannuelが作詞作曲したこのアルバムの1曲目の"Tears Of Rage"は恐るべき曲だ。ベトナム戦争のさなか、フラワー・ムーブメントのアメリカで傷ついた父が娘に語りかけるような歌なのだ。わかりずらいDylanがらみの詞のつたない意訳。

「独立記念日にはおまえを腕に抱えて連れていったのだけど、
今、おまえは、私たちを脇に追いやり
私たちのすべてを置いて行く
太陽のそばにいたような親愛なる娘が、父にそのようなことをするなんて
素直だったおまえがいつでも嫌だと反抗する

怒りの涙、悲嘆の涙が溢れ
どうして私は泥棒呼ばわりされるのか?
私のところに来ておくれ、私たちは弱く
生きることは儚いのだから

おまえが私たちの受け応えから逃げ出すことが
私にはひどく辛い
信じられない全ての嘘の教えと
財布の中のように
今は、心は、黄金で満たされているけれど
さらに悪くなり
これはどのような愛なのだと思う

怒りの涙、悲嘆の涙が溢れ
どうして私は泥棒呼ばわりされるのか?
私のところに来ておくれ、私たちは弱く
生きることは儚いのだから

私たちはおまえの行く道を指し示し
砂におまえの名前を引っかいた
おまえが立っているその場所以外にはないと思っていたとしても
私はおまえが、私たちが見続けているうちに見つけた
真実のようなものを知って欲しい
私の多くのまわりの人がそれを子供のようだと思うとしても

怒りの涙、悲嘆の涙が溢れ
どうして私は泥棒呼ばわりされるのか?
私のところに来ておくれ、私たちは弱く
生きることは儚いのだから」

アルバム全編において土臭い大地と空の間を二本の足で漂流するかのような夢を奏でた傑作です。


その10

THE BUD POWELL TRIO



ぼくが一番良く聴いた、聴き続けてきたジャズ・ピアノのアルバムがこれです。実は1曲目から8曲目が病前で9曲目から16曲目が病後であったりする。ぼくはどちらも好きです。


その11

PHAROAH SANDERS THEMBI




"Astral Traveling"でLonnie Liston Smithがローズのエレクトリック・ピアノを弾いているんだが、これがかっこいい。この曲、宇宙を旅しているというより、ぼくの耳には蝶になって熱帯の密林をはばたいてさ迷っている絵が浮かんだりします。2曲目以降、Pharoahのサックスが東洋的瞑想的に暴れまくります。


その12

THE CHEIFTAINS THE BELLS OF DUBLIN



あと一ヶ月もせずにクリスマスではないか。クリスマスって何だ? キリスト教徒のお祭り? 救世主が生まれた? しかしだなぁ、神の御名において戦争をしててもいいのか? あの人は、戦いもせず逃げもせずに命を差し出したというのに。で、このCheiftansのクリスマス・キャロル集は大好きなのです。キャロルとは祝い歌というような意味だそう。アイルランドのクリスマスって寒そうだな。けれど、いつかそんな冬に旅してみたい。ダブリンの街をさ迷うんだ。イエーツの詩を口ずさみ、ジェームズ・ジョイスの足跡がどこかにないかと探し、Cheiftansの奏でるようなアイリッシュ・トラッドの聞こえてくるパブでビールやミルク・リキュールを飲んで大騒ぎをする。酔いつぶれた翌朝、さて、ぼくは、妖精の森を抜け、古い教会にたどり着き、ぼくの内にも外にも、きみの内にも外にも平和と穏やかさが訪れるのを祈るのだろう。アーメン。


チャオ・・・








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DRY&HEAVYでボーカルを取っていたLikkle MaiのDRY&HEAVY脱退後から3枚目のソロアルバム"mairation"を聴いています。Likkle Maiが何曲かボーカルを取っているDRY&HEAVYの"FULL CONTACT"は良くきいていたっけ。そのころの友だちのリキタケくんが入った代々木公園でのフリー・ライブは良かったなぁ。リキタケくんのレゲエのストイックなギターはぼくは大ファンだったのだ。その後、重鎮ベースのHEAVY、リキタケくん、Likkleらが抜けてDRY&HEAVYはどうなったんだ? わしゃ、よく知らん。

"mairation"はとある立川のバーの開店前に録音機材を持ち込んで、ベーシック・トラックを録ったという。なるほど、手作りっぽい温かみのあるいい音じゃ。しかも重心はしっかりしておる。DRY&HEAVY在籍時は想像つかんことだったが、Likkleは多くの歌を日本語で歌っている。なんとも、かわいらしい声で歌っているんだが、これが、紫煙ただようクラブにあつまる人たちに向けてというより、立川の町のスーパーで買い物をしている普通のおじさん、おばさん、にいちゃんやねーちゃんに向けてのような歌なのだ。しかも、メッセージ・ソングばかりなのだが、この目線の低さがいいなぁ。

「あー 雲が流れても やなぎの木は揺れるだけ
あー 夕闇迫っても やなぎの木は揺れるだけ

My Willow Tree 風に乗って 心旅立つ 思いのまま
My Willow Tree 力抜いて 瞳を閉じて 無為自然に」

と歌われる"Willow Tree"が、控えめな表現の中で、何故か、まぎれもないラスタ賛歌に聞こえてしまう。


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Rick Danko:Bass,Vocal Levon Helm:drums,vocal Garth Hudson:organ Richard Manuel:piano,vocal Robbie Robertson:guitar,vocal...この5人が化学反応を起こしてものすごいことになっている。

昔買ったThe Bandの"A Musical History"というCDボックス・セットを聴いているんです。最近、土くさい、汗くさい音楽を耳が欲していたりする。本の体裁になっていて、読み物としての英文でのThe Bandの歴史と写真集にCDが5枚とDVDが1枚付いている。但し、やっぱRobbie Robertson在籍の1977年まででとなっているのだった。特に、1stアルバムの"Music From Big Pink"を中心とした2枚目が凄い。重く沈鬱でいながら、ガーンと妥協なき音がかっこいい。あぁ、この"Music From Big Pink"でロックは大人になったのだなぁ。この"Music From Big Pink"以降、The Bandは長らく低迷し続け、このボックス・セットの5枚目に多くの曲が入っている"Nortern Light - Southern Cross"で持ち直したと思っていたのだが、その他のアルバムの楽曲もかなりいい。ということは、"Music From Big Pink"が強力すぎたのだ。"Tears Of Rage"や"The Weight"、"I Shal Be Released"みたいな曲が簡単にできるわけはない。で、やっぱ、The Bandってのはロック・ミュージックの生んだ奇跡かなと思った次第。

DVDもかなり強力。The Bandって、お行儀よくスタジオ通りの感じでライブをするっていうイメージがあったんだけど、ここに収められているライブは奔放で荒々しい。むさ苦しい5人の男どもがステージをもぞもぞ所在無げに動きながら、激しい演奏をしているのが、凄くかっちょいい。そのDVDのラストにRichard Manuelが"Georgia On My Mind"を歌っているんだけど、これには落涙した。Richadはこの10年後ぐらいにRobbie Robertson抜きで再結成されたThe Bandのツアーのホテルで自殺をしてしまった。その後、Rick Dankoも薬で逝ってしまう。癌から生還し素晴らしいアルバムを発表したLevon HelmはRobbie Robertsonと仲たがいしたままだ。Garth Hudsonはどうしているのだろう?

1stの"Music From Big Pink"までにThe Bandが始まって10年近く経っていた。もともとはRonnie Hawkinsのどさまわりのバック・バンドから出発し、Bob Dylanに認められた、その初期のやけくそ気味み突っ走った初々しい音もこのCDボックス・セットの1枚目に入っている。

The Bandに歴史あり。いろんなバンドに山あり谷ありの歴史ありで、続けるのも、終えるのも、また始めるのも自然なことだよ。


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意外に愛聴しています。千葉の鴨川に住み着いたアメリカ・カリフォルニア生まれのアメリカ人、ジョン・海山・ネプチューンの尺八を中心にした竹製の楽器のバンド・アンサンブルのアルバムです。マーティン・デニーや「泰安洋行」のころの細野晴臣のいわゆるエキゾチック・サウンドを思い出させてくれるような音楽です。ジョンは、千葉の飯岡の「海と大地と民の音楽祭」でその演奏を聴いて、気になる存在になってしまったのだ。耳に涼しく、心地よい。平和の東アジアの音楽。淡い山水画の音楽。音と音の間の無音が間合いの気持ちよさです。沈黙と単純さに美しさがあるとジョンも言っています。音の山水画に描かれるのは平和の日本であったり、平和の韓国であったり、平和のバリであったりする。山水画に描かれる漁師、釣り人は桃源郷にアクセスできた唯一の存在ということだそうで、それってジョンのこと?

ジョンさんって、東アジアの海の向こうにはハワイがあって、さらにその向こうにはカリフォルニアがあったということだろうか?


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ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」からもう33年が経っているのかぁ。その後、ソロ活動を経てザ・バンドを再結成。1996年にのどに癌が見つかり、二度と歌うことはできないだろう診断されたが、数年間にわたるリハビリのボーカル・トレーニングによって奇跡的に回復し、2008年にアルバム"Dirt Farmer"、日本語に意訳すると「土百姓」を出す。そのジャケット写真を見て、リヴォンがやせ細っていて、びっくりしたっけ。そして、いよいよザ・バンドのボーカル・ドラマーであった過去も遠くなり、リヴォン・ヘルムの復帰2作目が早くも届いた。題して"ELECTRIC DIRT"。前作の"Dirt Farmer"は、フォークっぽくて地味で、良かったんだけど、ちょっと寂しかった。で、1年後の今、ぼくの聴いている"ELECTRIC DIRT"はパワフルなロックで、再び昇る太陽のような土臭い不屈の精神を持っている。

癌の治療の後のここ10年以上、リヴォンはニューヨーク州ウッドストックの自宅兼農場兼スタジオでお客さんを入れてのジャム・セッションを続けていたらしいのだ。そのセッションのメンバーを中心に録音した"Dirt Farmer"と今、ぼくが聴いている"ELECTRIC DIRT"。今作は管楽器のアンサンブルの入った最高のバンド・サウンドにリヴォンもがっつりドラムを叩いて歌う。今、リヴォンは69才。この"ELECTRIC DIRT"の素敵なジャケットのような実りの時を迎えているのは間違いない。かっちょいいすげーじじいだ。


おまけに最近のリヴォンのYouTube動画をどうぞ。

Levon Helm - "Only Halfway Home"

http://www.youtube.com/watch?v=tQ5Jl3zxabo

Levon Helm - "Tennessee Jed"

http://www.youtube.com/watch?v=fZaU3VtMfoM

LEVON HELM RAMBLE AT THE RYMAN | The Weight

http://www.youtube.com/watch?v=xVvlNJ4Kspc

あっ、リヴォンの娘さんのエイミーさん、なかなかの美人ですな。


リヴォン・ヘルムのホーム・ページ
http://www.levonhelm.com/


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傑作「東京ワッショイ」から30年かぁ。遠藤賢司から新しいアルバム「君にふにゃふにゃ」が届いたよ。傑作です。荒井良二さん画のジャケットも楽しい。エンケン当年六十ニ歳だそうな。歌い続けたいという九十九歳までまだまだあるぜ。

弾き語りの純愛ソングが美しい。こういうのを聴くと、ハートがキュンキュン、ドキドキしてきて、それがまた、気持ち良くて、何故か癒されもして、元気になれるんだよね。2曲目の「口笛吹いて」とかはこんな詞。

「あぁ君が好きさ

口笛吹き吹き歩こうよ
君と一緒なら何処だって
君の笑顔がまぶしくって いまだに手も握れない
靴音あわせて口笛吹けば 1・2・3・4・2・2・3・4

青い空白い風そよぐ風 ずっと仲良し君と僕」

いいでしょ? 細野晴臣ベース、林立夫ドラムスのバンド・サウンドも楽しい。1曲目ではどっかから帰ってきた鈴木茂がいい感じのギターを弾いている。おかえんなさいまし。このアルバムのラストの曲が「音楽水平社宣言09-9-9」とサブ・タイトルの付いた「フォエロジャクエン NO.1」は湯川トーベンのベース、石塚俊明のドラムスをバックに遠藤賢司がギターをかきむしる騒音アンド轟音ロックなのであった。エンケン、不滅の男!

遠藤賢司秘宝館のページ
http://enken.com/kojo.html

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この前見た「キャデラック」という映画の中で、レコード・プロデューサー、レーナード・チェスとシンガー、エッタ・ジェームズの別れのシーンでシカゴのチェス・スタジオでエッタが"I'd Rather Go Blind"を歌うのだが、本当はこのようなシーンはあるべくもなく、なぜなら、この曲の入ったアルバムの"Tell Mama"の全曲はアラバマ州マスクル・ショールズにあるフェーム・スタジオで録音されたもの。他にもこの「キャデラック・レコード」にはへんてこなところが少なからず見受けられるように思う。しかし、ウィスキーから手が離せないアル中っぽいマディー・ウォーターズでいいのか?

話をもどして、昔、Janis Joplinが"Farewell Song"というライブ・アルバムの中で"Tell Mama"という曲を歌っていて、この曲をもともと歌っていたEtta Jamesにたどりついた。このEttaの明るいパンチの効いた奔放な歌い方にJanisはかなり影響を受けたのではないかなど想像する。

時は1960年代、サザン・ソウル全盛時。南部はスタックスやフェーム、ゴールド・ワックス、サウンド・セブンなどのソウル・ミュージックのレーベルが群雄割拠していたのだ。アレサ・フランクリンやオーティス・レディングらもこの流れから登場した。ある時、チェス・レコードの社長であるレーナード・チェスはエッタにこんなことを言ったのかもしれない。

「エッタ、次のレコーディングはアラバマ州のマスクル・ショールズってど田舎の町の「フェーム」っていうスタジオで行うことになったから。そこのリック・ホールって男に会うんだ。話はつけてある。きみのその声はあの最近はやりの南部のサウンドにぴったりだと思うんだよ。明日の朝、飛行機で飛んでくれ」

エッタはそのスタジオに着いて驚いた。当時の南部はまだ人種差別が激しいころ、そのスタジオでは、白人と黒人が同じ部屋で混じって、素晴らしい音楽を作りあげようとしていたから。そして、そのサウンドはエッタの声にぴったりだった。

1960年代にはこんな話もある。オーティス・レディングが白人と黒人の混成のバンドで南部を巡演していたころ、黒人はこのホテルには泊められないと拒否されることがままあったそうだ。ああそうかと思い、彼ら、バンドはむかついてツアー・バスの中で寝泊りする。けれど、南部各地にちらばっていたインデペンデントな小さなレコーディング・スタジオの中では人種の壁はすでになくなりつつあった。

この"Tell Mama"というアルバム、アップ・テンポなかっこいい曲が並ぶ中、"I'd Rather Go Blind"は数少ないバラッドで、やっぱ名曲、名演奏、名唱です。こんな詞。

「なにかがわたしに終わりと告げている
あなたが彼女と話しているときそう思った
何か心の深いどこかで泣きなさいと言っている気がする
あなたが彼女とどこかで歩いているのを見た時

わたしは目が見えなくなりたい
あなたがわたしを去っていくのを見るのなら

わたしはあなたが大好きで
あなたがわたしを去っていくのを見つめていたくない
自由になんて、そんなものにもなりたくない

わたしはただ座って
あなたのキスや暖かく抱きしめられたのを思っている
その時、グラスにある飲み物を飲もうとして、くちびるを付けた
すると、涙がわたしからあふれ、ほほにつたわった

わたしは目が見えなくなってもいい
あなたがわたしを去っていくのを見るのなら
わたしは目が見えなくなりたい」

こんな気持ちになったことがありますか? サザン・ソウルの生み出した忘れられない一曲ですだ。チャオ・・・

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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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