えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

二月十三日の上野鈴廣演芸場令和七年二月中席夜の部を見ました。例のごとく、見た演目を書き出してみます。前座の三遊亭二之吉くんの「松竹梅」、二つ目の桃月庵白浪くんの「庭蟹」、翁家社中のお二人の太神楽曲芸、柳亭燕路師匠の「垂乳根」、柳家小ゑん師匠の「レプリカント」、ニックスのお二人の漫才、古今亭志ん橋師匠の「粗忽の釘」、五街道雲助師匠の「身投げ屋」で仲入りです。林家八楽師匠の紙切り、隅田川馬石師匠の「鮑のし」、アサダ二世さんの奇術、主任は蜃気楼龍玉師匠の「夢金」でした。
柳亭燕路師匠の「垂乳根」や隅田川馬石師匠の「鮑のし」が、お馴染みの噺ではあるけれど、おおいに笑い、とてもよかったです。柳亭燕路師匠は柳亭こみち師匠の師匠だったそうで、こみち師匠は燕路師匠から、おれの真似したってしょうがねえだろ、とよく聞かされていたそうだけれど、今日は燕路師匠の噺に弟子のこみち師匠との親子のような師匠と弟子の縁を感じてしまいました。
主任の蜃気楼龍玉師匠の「夢金」のくすぐりを入れないその噺は初めは少し眠たくもなったけれど、気がつけば、会場一体となるかのように静まり聞き入り、ぼくもその人情噺に耳をそばだて、ただただ耳を傾けているのでした。立川談志は落語は「業の肯定」だ、とおおみえをきったけれど、金の亡者の業がすべて夢の中に流れ入るかのような落ちに、ぼくは感動の嘆息をもらしてしまったのです。寄席はパラダイス。
ところで、寄席の前に、不忍池辯天堂にお参りをし、世界の平和と自身の心身健全をお願い、祈り申しあげました。そして、御神籤をひくと「大吉」です。
「大吉 運勢
一時はあぶないが再生しやがて、安心できる運です。
なにごとにも正直に他人をうらまず仕事にはげむことです。
第9番
「言」
他弓挽く莫れ
他馬騎る莫れ
他非弁ずる莫れ
他事知る莫れ」
ゆめゆめうたがふことなかれ






弘理子監督の『鹿の国』を見ました。諏訪大社の御神事をとらまえたドキュメンタリーにして、奈良時代から伝わり、そして、途絶えた冬の儀式を再現したものでもあります。
鹿が神への捧げものとして奉納されるそれは、何やら神秘的でもあり、その営みが愛おしくもあります。ぼくは、この映画『鹿の国』を見ながら、クロード・レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』や柳田國男の『遠野物語』、宮澤賢治の『鹿踊りの始まり』を連想していました。月並みな言葉ながら、鹿の捧げの供犠には自然、命への畏敬があって、いよいよ残酷さの止まらない西洋の近代以降への抗いすらあるようにも思えるのです。
諏訪大社では、近ごろ、僧侶たちを向かい入れ、儀式さえ行わていて、近代の受容である明治維新より前の伝統に立ち帰ろうとしているようであることに、ぼくは驚いてしまうのです。立ち戻った鹿の国の、その霊力は人にもおよび、人と国の本来を取り戻すかのようでもあるのです。
映画「鹿の国」公式サイト


町田市国際版画美術館に『2025年新蔵作品展』を見に行きました。同時に展示されている町田市の小学生の書道の展示会も見ました。たくさん並ぶ、筆で書かれた漢字に圧倒されるやら、楽しいやらです。
漢字が現在も字として採用されているのは、中国、台湾、日本だけだそうです。この前、読んだ柄谷行人さんの著した『帝国の構造』には、日本は中国の文化である漢字を自らに選択的に採用した、とありました。ベトナムやコリア(朝鮮・韓国)では、強制的に漢字を採用され、それによって漢字は、近代、廃止されてしまった。中国は帝国の中心にあり、ベトナムやコリアは帝国の周辺に位置し、帝国との軋轢や緊張、戦争を余儀なくされた。日本は帝国の亜周辺にあり、中国の文化を選択的に摂取できる。中国の王朝が隋の時、日本では邪馬台国の時であるけれど、隋に「日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す」と書を送り、「封冊」という中国の支配を拒否したそうです。その時、中国とコリアは絶えない戦争状態にあり、遠く日本にやっては来れなかった。中国の元が日本に侵略をしに来た時は、元がコリアの高句麗の戦いに疲弊した後であった。時に日本はコリアを援助し、コリアからの亡命者は首都としての京都の成立に貢献した。
話がそれました。話を町田市国際版画美術館に戻します。『2025年新蔵作品展』を見ながら、ぼくの住む隣の相模原市にはこのような美術館がないことが残念のような気がするのですが、どうでしょう? 新しく収蔵されたホアン・ミロや小野忠重の作品や同時に展示されている『『月映』とその時代―1910年代日本の創作版画』の岸田劉生の作品を見ながら思ってしまいます。相模原市には遠藤彰子さんや上条陽子さんをはじめ、多くの芸術家もおられるし、女子美術大学も存しています。けれど、常に財政の厳しい相模原市には無理な課題でもあるのかもしれません。
町田市国際版画美術館のある芹ヶ谷公園を散歩すると、椿の花が満開で美しい。
その足で母智丘神社にお詣りをし、自身の心身健全と世界の平和を祈願し、御神籤をひくと「大吉」。
「第四十三番 大吉
風吹けば
風吹く
ままに
港よしと
百舟千舟
うち
つどいつつ
何事も繁昌して心のままになるけれど心に油断があってはならない
只今より来年の事をよくよく考えてやりそこなわぬ様十分の注意をしておきなさい
運勢 大吉」
ゆめゆめうたがふことなかれ


柄谷行人さんの著した『帝国の構造 中心・周辺・亜周辺』を読みました。柄谷さんは2022年に哲学のノーベル賞といわれるバーグルエン哲学・文化賞を受賞されておられ、その受賞の直接的契機となった『力と交換様式』より前、『世界史の構造』の後、同じテーマを扱った本であります。
柄谷さんいわく交換様式にのっとり、歴史に「A 互酬(贈与と返礼)」、「B 略奪と再分配(支配と保護)」、「C 商品交換(価格と商品)」が主流として交代しつつ現れれたとし、将来、それを越える「A 互酬」が高い次元で実現される何か「D X」が現れるとする。また、ヘゲモニー国家の帝国が出現し、その帝国が崩壊し、次の帝国のヘゲモニー国家を巡り、何らかの戦争となり、再び帝国が成立する。現在については、1970年頃、ヘゲモニー国家としてのアメリカ合衆国が失落し始め、帝国の崩壊期、戦争期が始まっている、とする。あらましはこのようなことであるらしい。
戦争期は実際に戦争が始まるが、今、世界大戦になれば、全世界が壊滅するかもしれない。付け足すに、ヘゲモニー国家は他国に対し福祉的であり、平和を保障し、世界宗教のような無私に近い倫理観を持つが、世界化された世界は戦争に耐えられず、「A 互酬」が高い次元で実現される何か「D X」が現れる。その他いろいろなことが、この本に書かれておりましたが、この本『世界史の構造』は希望を理論的に語ったものでもあります。アメリカでのトランプ政権の誕生、ウクライナ、中東など、別の視点での見方をぼくは教わったようでもあるのです。
哲学/思想/言語:帝国の構造




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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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