えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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大手町の日経ホールで「第八十八回大手町落語会」を見ました。見た演目を記します。前座の柳亭市助くんの「まんじゅう怖い」、二つ目の柳亭信楽くんの「俺の夢」、三遊亭わん丈師匠の「壺算」、柳家権太楼師匠の「言い訳座頭」で仲入りとなりました。林家正蔵師匠の「蛸坊主」、主任は柳家さん喬師匠で「芝浜」。

古典落語の三巨匠(柳家権太楼師匠、林家正蔵師匠、柳家さん喬師匠)の揃い踏み。このお三方に、春風亭一朝師匠と五街道雲助師匠もお揃いになりますならば、などと妄想いたします。そんな落語会があろば、是非とも見てみたいと存じます。

柳家権太楼師匠の「言い訳座頭」と柳家さん喬師匠の「芝浜」の噺の時は同じ大晦日。柳家権太楼師匠は枕で柳家さん喬師匠のことをいじりたおしておりました。いわく、柳家さん喬師匠はまだお見えになっていないけど、来たら、年末なんで「芝浜」やりなよ、すると、あの人、三十分かそこらの噺を七十分やるよ、聴いている方はたまったもんじゃない、でお客さん、大爆笑。「言い訳座頭」は滑稽噺でシングルレコードならB面で、「芝浜」は人情噺でA面か。「言い訳座頭」でおおいに笑い、もっとも師走に寄席や落語会でかかることの多い「芝浜」でとてもしんみりとした年の瀬の風情を味わえ、最高でございました。「芝浜」での、とくにおしまいのおかみさんのモノローグに泣けました。

林家正蔵師匠の「蛸坊主」はとても珍しい噺で、関西の落語家の、どうして東京の落語家はこんなに持ちねたが多いのか、笑いにそんなの必要ないじゃないか、というのを聞いたことがありますが、東京の落語家は、落語は笑いと同時に、昔から伝わる文化で、それを絶やしてはいけない、と真摯に考えているのではないかしら? そこから、柳家小三治師匠の無理に笑わせようとするな、が出てくるのかもしれません。ばくは、笑えるという以外にも、落語のそこはかないほのぼのやしみじみも好きなのです。
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半藤一利さんの著した『其角俳句と江戸の春』を読みました。宝井其角の俳句とそれに伴う半藤一利さんの一頁と少しのエッセイを読めば、この本からは江戸の涼しく気持ちのよい風が吹いてくるかのようですな。と同時に、ぼくは柄谷行人さんの著した『日本近代文学の起源』などを思い出してしまいます。江戸の世までは「俳諧師」と呼ばれ、明治による近代の訪れから「俳人」と呼ばれることになったのは、跳躍なのか下降なのかは、ぼくには分からぬ。正岡子規の「写生文」のことなども考えてしまう。『其角俳句と江戸の春』によれば、中国の古典、日本の古典、故事を知っていれば、さらに深読みでき、ふむふむなるほどと首肯できる句も宝井其角の俳句にはたくさんあるのだが、それよりも、ぼくは江戸の風に吹かれたいだけなのかもしれません。

其角俳句と江戸の春
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渋谷のさくらホールで「沖縄のウタ拝」を見ました。「沖縄のウタ拝」とはピアノを弾く辺土名直子さんの主催する年に一回の音楽と舞踏と映像のプロジェクトなのです。そこにCoccoが舞踏で誘われ、去年、初めて見た「沖縄のウタ拝」では、すばらしい歌も披露されておりました。そして、今年も見に来たという次第。

一部と二部の約一時間づつの二部構成の、この「沖縄のウタ拝」は前半は「静」、後半は「動」といった按配で、沖縄の過去と現在の心が伝わってきて、沖縄からの未来へのメッセージが指し示され、ぼくはそのメッセージを確かに受け取ったように思われますぞ。

二部のおしまいのCoccoさんの踊りが見たことのないようなあまりに美しさで、ぼくの眼は刮目してしまう。ところが、来年は、この九年間つづいた沖縄、東京、大阪とかけめぐるこのコンサートは諸般の都合で行うことができなくなったとのこと。ぼくは、いつかの再開と再会を願わずにはおられません。
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中野のジャズのかかるバー、Sweet Rainで酒井俊さんのライブを見ました。なんでも、酒井俊さんはつい近頃、原因不明で声がまったく出なくなったそうで、それで、歌うことのすべてを失い、今は再構築中とおっしゃりながらの、今夜、ぼくの聴いた歌の技量と説得力に信じられないような気持ちにもなりました。声が出なくなるというと、ぼくはオーティス・レディングの最晩年を思い出してしまいます。オーティスのラスト・アルバムの『The Dock of the Bay』でのA面での歌唱は、オーティスの白鳥の歌で、それまでとは、まったく違う歌い方となりながらも、あまりにも素晴らしい。それから、晩年の古今亭志ん生は人情噺で新たな境地に踏み出し、それも伝説となりました。年をとることは悪いことじゃない。ぼくは明日の酒井俊さんも待ち望んでしまいます。

今夜のアンコールでは1969年の日本レコード大賞の曲、千賀かおるさんのデビュー曲「真夜中のギター」を歌ってくれました。これが素晴らしかった。よい歌は時代と添い寝をするといわれますが、叛乱する学生たちの喧騒と勃興する日本の雑踏の音が時おり、音楽の背景に聞こえてくるようにも思われました。もしかして、三遊亭圓生は演目「死神」で死神の唱える呪文をこの年は「アジャラカモクレン、ゼンキョウトウ、テケレッツのパー」としたのではなかったのか? それが「アジャラカモクレン、セキグンハ、テケレッツのパー」となり、圓生去りし今は、「アジャラカモクレン、ヤミバイト、テケレッツのパー」か「アジャラカモクレン、イスラエル、テケレッツのパー」か? 春風亭一之輔師匠、お願いしますよ。などと戯言も書いてみました。

閑話休題、酒井俊さんのこのライブツアーは12月15日まで続き、ベトナム在住の俊さんは、来年の秋までは家庭の事情で来日しないとのこと。俊さんが、何でこんな世の中になってしまったんだろうね、次は世界滅亡の歌を歌いますといって、歌い始める曲もありました。来年も秋は世界にやってきて、酒井俊さんの音楽を聴くことのてきるのを、ぼくは願ってやみません。
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上野の鈴本演芸場で令和六年十一月下席昼の部を見ました。その前に寛永寺にお参りとかもしましたよ。紅葉のきれいな季節となりました。一年の経つのは速い。毎年毎年、速くなっていくのはどうしたことか?

例のごとく、寄席は見た演目を書き留めます。前座の桂枝平くんの「浮世根問」、二つ目の春風亭いっ休くんの「子ほめ」、林家楽一師匠の紙切り、二つ目の春風亭貫いちくんの「元犬」、林家正蔵師匠の「おすわどん」、笑組のお二人の漫才、蝶花楼桃花師匠の「転失気」、三遊亭圓歌師匠の「龍馬伝」、めおと楽団ジキジキのお二人の音曲漫才、林家さん喬師匠の「夢の酒」で仲入りとなりました。ストレート松浦さんのジャグリング、鈴々舎馬風師匠の「楽屋外伝」、春風亭一之輔師匠の「めがね泥」、ロケット団のお二人の漫才、主任は橘家圓太郎師匠で「火焔太鼓」でした。

林家さん喬師匠の「夢の酒」でぼくはすごい経験をしてしまいました。それは、半分、気持ちよく、うとうとと寝入りながら、笑みを浮かべ、そして、笑ってもしまっていたのです。気持ちよかった。蝶花楼桃花師匠の「転失気」のほのぼの感もよかったね。年末近くなり、橘家圓太郎師匠の名作の古典落語「火焔太鼓」では爆笑につぐ爆笑な連続でごさいました。寄席はパラダイスですなー。
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曽利文彦監督の『八犬伝』を見ました。江戸の世の滝沢(曲亭)馬琴の人生とその周辺と、その300年前を舞台にしたの滝沢馬琴の著した『南総里見八犬伝』が交互に描かれます。

江戸の世のパートでは、役所広司さんの演ずる滝沢馬琴と内野聖陽さんの演ずる葛飾北斎と立川談春さんの演ずる鶴屋南北の江戸文化を代表する三人が文学論、芸術論をかわすシーンなどの面白みもありますが、この映画に深みを与えているのは馬琴の女房のお百を演ずる寺島しのぶさんと馬琴の病弱な息子のけなげな妻のお路を演ずる黒木華さんであるような気がします。

『南総里見八犬伝』な活劇パートは今の映画風であり、VFXと殺陣の融合がかっこいい。J・R・R・トールキンの『指輪物語』のような世界が、日本では、もう江戸時代には成立していたことに驚きました。

おもしろかった。

映画『八犬伝』公式サイト|2024年10月25日劇場公開
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東京都美術館での『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』の二度目の鑑賞にはせ参じました。会期末が近いためか、激混みです。会場内の歩みも遅く、全部、見るのに三時間以上かかりました。これほどの大回顧展は二度とないのではないかしら? 生前は一度の展覧会も開かれずにいたのだけれど、このごった返した展示場のどこかを古い大島紬を羽織った田中一村さんの霊が笑みを浮かべ、歩いているのではないかしら、という気もしてきていました。

晩年の「南の琳派」とも称されている奄美大島での絵は、あらためてすごい。多くは落款もなく、一村さんは、その絵を描くことに精も根も吸いとられ、疲れ果てて死んでいったのか? フィンセント・ファン・ゴッホやポール・ゴーギャンにたとえられるその生涯は、ぼくには、ジョルジュ・スーラのようだとも思えるのです。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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