えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

entry_top_w.png

小林エリカさんの著した『女の子たち風船爆弾をつくる』を読了しました。特殊で特別、美しく詩的な文体で綴られる、戦前・戦中・戦後記でありました。美しい叙事詩のような記述からの読後感は重く、打ちのめされるかのようで、深く感動しました。戦争の記録ではあるけれど、戦争のヒーローは一人も出てこず、戦争遂行者には冷めて批評的で、市民の戦争責任のことも市民の視線から綴られております。内容の紹介のために目次を引用します。

プロローグ
第一幕 昭和十年― 1935-
第ニ幕 昭和十七年― 1942-
第三幕 昭和二十年― 1945-
エピローグ

なんともいえない余韻を残す『女の子たち風船爆弾をつくる』は新しい文学にして新しい小説、新しい詩であるかのようでもあるのです。

『女の子たち風船爆弾をつくる』小林エリカ | 単行本 - 文藝春秋
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

国立能楽堂で能楽を見ました。狂言は和泉流の「鐘の音(かねのね)」、能は喜多流の「天鼓(てんこ)」でした。

狂言の「鐘の音」は金の価値がいくらなのか調べてこいと仰せつかまつった太郎冠者が、「金の値」を「鐘の音」と勘違いし、鎌倉の町で寺院巡りをし、ドタバタ喜劇を繰り広げるます。これは楽しいコントの日本での元祖ですな。

能の「天鼓」は鼓を叩いて美しく響かせることのできる少年が皇帝に鼓を聞かすのを拒んだゆえに水に沈められる。ある時、湖に幽霊が立ち現れ、それはそれは美しい鼓の音を響かせ、天に帰っていく。少年は七夕の牽牛の姿でもあるという。理不尽な悲しい物語なのでありました。

今日は外国からの方や若い人が客席に多く見受けられました。東アジアに流れるこの物語をどう聴いたのでしょう? 死者を畏怖するアジアの心は無念の死者たちを、どうしても安寧な天に送らずにはおられないようなのです。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png


SOMPO美術館で『開館50周年記念 山口華楊展』を見ました。明治後期から昭和にかけて足跡と絵画を残した日本画の巨人であります。山口華楊の描いた動物たちがかわいい。山口華楊の生きものを見つめる視線が愛にみちていて、文字通り愛おしい。そして、それらのすべてを越えて、すべては夢のごとしと見えた「幻化」に、ぼくは見事な絵師の人生を見たのであります。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png
皇室典範の改変について思うことがあります。男系だの染色体だのという人たちの迷妄により、日本と日本人の基底に流れ、日本と日本人を日本と日本人にたらしめて、日本と日本人を支えてきた物語が、今の皇室典範の改変によって、途絶させられつつあるように思えるのです。

宮内庁の元長官も暗に指摘したことを踏まえれば、今回の改変によって、38親等離れれたほぼ赤の他人が天皇となる可能性もあるということです。特に、紆余曲折がありながらも、明治天皇、大正天皇、昭和天皇、平成天皇、令和の今上天皇の紡いできた、平和への祈りの物語が反故にされつつあるような気がして、今の日本政府の押し進めていることによって、皇室が崩壊させられるようで、三島由紀夫の小説や岡倉天心の「茶の湯」、能楽などの古典芸能を愛するぼくにとって耐え難く不愉快なのです。

この皇室典範の改変に反対している政党は立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党などの左派の政党であるのだけれど、仲間だと思っていた少なからぬ人たちが、無関心であったり、これからもたらされる皇室の衰退を喜んでいたりするのも、ぼくに複雑な心境をもたらします。

きっと、日本の大切な物語が途絶し、日本はこれから終焉を迎えるようにも思え、最悪の幻滅も感じているのです。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

ハサン・ハーディ監督の『大統領のケーキ』を見ました。イラクの映画です。1991年のサダム・フセインの独裁政権のイラクでは、フセインの誕生日には、クラスの中でクジに当たった生徒はその日にケーキ持って行かなくてはならないのだが、クジ当たってしまったおばあさんと2人で暮らす9歳の女の子のラミアは貧しくて、ケーキを持っていけそうにない。さてどうするか?

なぜか、フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』は思い出してしまいました。しかし、『大統領のケーキ』は『大人は判ってくれない』とはくらべものにならないぐらいの環境の、アメリカの経済制裁、それによる貧困、戦時下と戦争、サダム・フセインの独裁による子どもの受難のドラマなのであった。そして、ラストのシーンは今の時代にも通じるようで、言葉もつまり、心はへこむ。この『大統領のケーキ』は『大人は判ってくれない』よりも更に「戦争をする大人たちのバカものども」と思わされるのだった。

この『大統領のケーキ』はハサン・ハーディ監督の自身の体験を元に製作されたという。今、1991年から既に35年も過ぎたというのに、世界の各地で同じことが繰り返されていることにも、ぼくは打ちのめされ、悲しい。暗澹たる世界だ。

映画『大統領のケーキ』公式サイト
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png


町田市立国際版画美術館へ『プレイバック!ミレニアム 1991→2001 ―版画が/版画で越えた境界―』を見に行きました。この展覧会で上げられていた、20世紀の世紀末、日本を含む西洋は描くべきものを見失い、方法論の探求に終始し、洗練に向かったのに対して、東欧やその他の地域では過去から現在への歴史や社会、人びとの生活、自然への掘り下げが進んだという、さる美術評論家の言葉は痛切だと感じました。ぼくがとてもいいなと感じたのは後者の岡部昌生さんの「京急線旧平沼駅遺構 1945/1995」やタイの今展覧会では撮影不可となっていたティナコン・カーソンサワンさんの「After The Rain P1」という作品であります。前世紀の世紀末はフランシス・フクヤマの説く「歴史の終わり」などといわれたけれど、それは違っていた。ばくはパブロ・ピカソの最もの傑作は、政治的でもある「ゲルニカ」であることを疑わない。さて世紀が明け、26年が過ぎた今、どうであろう? 今、ぼくは、両極端かもしれない会田誠さんや山内若菜さんの作品に注目してしまうのです。

併設で展示されていた『メキシコに生きる版画家 竹田鎭三郎:起源(オリジン)を求めて』もよかった。メキシコに渡り日本に帰ってこなくなった竹田鎭三郎さんのダイナミックな版画を見ながら、日本の心の貧困を思ってしまうのであります。

外へ出ると芹ヶ谷公園で噴水でずぶぬれとなって遊ぶ子どもたちが素敵です。

てくてく歩いて通りがかった母智丘神社にお参りをし、御神籤をひくと「大吉」。

「第四十三番 御神籤

 風吹けば
  風吹く
   ままに
 港よしと
 百舟千舟
    うち
 つどいつつ

 何事も繁昌して心のままになるけれど
 心に油断があってはならない
 只今より来年の事をよくよく考えて
 やりそこなわぬ様十分の注意をしておきなさい

 運勢 大吉」

ゆめゆめうたがふことなかれ
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

七月十三日、新宿末廣亭にて令和八年七月中席昼の部です。見た演目を記します。前座の林家十八くんの「十徳」、二ツ目の桂枝平くんの「犬の目」、三遊亭窓輝師匠の「武助馬」、のだゆきさんの音楽パフォーマンス 、古今亭菊太楼師匠の「たいこ腹」、桃月庵白酒師匠の「茗荷宿」、笑組のお二人の漫才、三遊亭白鳥師匠の「山奥寿司」、三遊亭萬窓師匠の「花筏」、林家楽一師匠の紙切り、柳家小団治師匠の「鶴」、むかし家今松師匠の「へっつい幽霊」でお仲入りとなりました。桂文雀師匠の「桃太郎」、ロケット団のお二人の漫才、橘家圓太郎師匠の「蛙茶番」、柳家小里ん師匠の「親子酒」、立花家橘之助師匠の三味線弾きの唄いの浮世節、主任は桂扇生師匠で「鹿政談」でした。

特に印象的だった演目です。のだゆきさんの音楽パフォーマンスや林家楽一師匠の紙切りのゆるさが好きです。柳家小里ん師匠の「親子酒」で大爆笑。桂扇生師匠の「鹿政談」は大好きな噺であります。桂扇生師匠の「鹿政談」の足さない、引かないの堅実ぶりがよかったです。桂扇生師匠、真打ちになってから三十年にして初めての寄席での主任だそうで、その苦労を見せない、粋で気風のいい芸風が、ぼくはとても好きなのです。

暗いこの世のつらさ忘れ、寄席は心のオアシスです。
entry_bottom_w.png
<< 前のページ 次のページ >>
[6]  [7]  [8]  [9]  [10]  [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16] 
plugin_top_w.png
カレンダー
08 2026/09 10
S M T W T F S
1 2 3 5
11
14 16 18
26
28 29 30
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
えいちゃんのお奨め

ライブのお知らせ

ぼくのTwitter

plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新コメント
[05/04 ペコ]
[12/23 ロンサム・スー]
[07/27 gmail account]
[08/29 えいちゃん]
[08/29 みさき]
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
ブログ内検索
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新トラックバック
plugin_bottom_w.png
Copyright えいちゃん(さかい きよたか) by えいちゃん All Rights Reserved.
Template by テンプレート@忍者ブログ