えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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本の帯にこんな言葉がある。

「中上健次は、そこを路地と呼んだ 「路地」とは被差別部落のことである」

この帯の文がちょっとショッキングかもしれない上原善広さんの著した「日本の路地を旅する」という本を読んだ。東京近郊の新興住宅地に育ったぼくは被差別部落と言われても、はなはだピンとこず、中上健次の小説を読んでも、「路地」が被差別部落であることを長い間、気付かなかったほどなのだ。この著者である上原善広さん自身がそのような所の出身であるらしい。「それは、自らのルーツをたどる旅でもあった」ともう一つの帯の言葉にあるのだけど、過去に犯罪を犯した兄を沖縄に訪ねる終章を読み終わって、心の中のモヤモヤの澱が、出口を求めてたまってしまう。

知らないことがいっぱい書かれていた。デモ登校と言って、子どもに「差別反対」と書いたゼッケンのようなものを着せて登校させるようなことや教室の中で「ぼくは被差別部落出身です」と啓蒙の意味を込めて宣言するというようなことが大阪では行われるのか? 驚いてしまう。

昔、白土三平の「カムイ伝」という漫画を読んで、そういう被差別部落とかって、不謹慎かもしれないが、かっこいいんじゃないかと思ったこともある。

中上健次曰く「異族」という人たちもぼくたちの社会にも身近にいるのだが、同じ時代を生きていく仲間として、仲良くやっていった方がいいのではないかと思うぼくは、甘いのだろうか? けれど、人の幸せよりも、まずは自分の幸せだな。





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1966年のロイヤル・アルバート・ホールでボブ・ディランと聴衆の一人との間でこんなやり取りがあった。一人がディランにこうヤジる。"Judas!"(ユダヤ野郎)。"I'm never listening to you again, ever!"(二度とお前の歌なんて聞かないぞ)。ディランはこう答える。"I don't believe you."(おまえのことなんて信じない)。"You're a liar."(おまえは嘘つきだ)。"Play it fuckin' loud."(爆音でぶちかましてやれ)。そして荒々しく"Like A Rolling Stone"がフルテンで演奏される。この時、何かがぶち壊され、新しく生まれたものがあった。ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョップリンやドアーズが登場する前のリハーサルを繰り返しているころのこと、何か爆発が起こったのだった。そんなボブ・ディランのギグをこの前、二十一世紀の東京で見た時も、ぼくはその変わらぬ自由に感動したのだった。信じられるかい?

その興奮は後を引き、本屋である本を見かける。「現代思想 5月臨時増刊号 総特集ボブ・ディラン」。20人以上の人がディランについて書いている。例えば、音楽評論家の平井玄氏の言うように、何かを求めて永遠に吃りながらずれていく問いと発見とさらなる問いの永久運動がボブ・ディランなのだろうか? アメリカ文学の研究者である堀内正規氏はこの前の日本公演を見て、こんなことを書いている。

「二四日のライブではたまたまディランの表情、唇の動きまで見える場所に立つことができたが、最後に"like a rolling stone!"と唄い終えた瞬間、ディランがにやっと笑ったのが見えた。混沌の中でニヤリと笑う人間-それは六〇年代からずっと続く、ディランのシンボリックなしぐさである。それは「ブルーにこんがらがって」いる人たち(だがこんがらがることのない人がうるだろうか?)にとって励ましとして働き続ける」

ひるがえって、この本にも書かれることのない日本の音楽シーンについて思う。ディランが"Play it fuckin' loud."と言って演奏し、ぶち壊し、産声をあげた何かは日本では根付くことはなかったのか? 壊滅的? 兄貴や姉貴だと慕う何人もが去り、何人もの仲間が地下や周縁に潜行してしまったのか? その地下や周縁に潜った何かが爆発前夜ではないのか? 死んだものすら生き返るのではないか? 南の国境線から吹く調べにのって、ボブおじさんがにやりと笑ってこう歌うのが聞こえる。

The answer my friend is blowin' in the wind.
The answer is blowin' in the wind.





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忘れ去られそうで、忘れることのできない作家、中上健次の小説に出会ったのは高校生のころであった。そんな中上健次に21世紀の今、インターネットの動く絵の世界、YouTUBEで再会した。

初めて中上健次の小説を読んだ時、ここに描かれたような処が本当に日本にあるのだろうかと思うほど、衝撃を受けたのだったけど、それは「岬」という短編集で、この「岬」という小説の南紀州にあるらしい舞台は「路地」と中上から名付けられ、その「路地」を舞台とした小説は「枯木灘」や「千年の愉楽」、「地の果て、至上の時」に書き連ねられていく。後でこの「路地」という場所が和歌山県の新宮市の被差別部落であるらしいことを知った。なぜ分からなかったかは、中上の「路地」を舞台にした小説には「差別」やら「解放」という言葉の一字も出てこないことによる。

中上健次はエッセイもたくさん残した人で、そのエッセイによってジャズのアルバート・アイラーやジョン・コルトレーンを知った。ボブ・マーレイについて書いていた。対談でビートルズをいいと言っていた。ぼくはニューヨークのイースト・ヴィレッジやリバプール、ジャマイカのキングストンにも中上の「路地」があるような気がする。

中上健次は1992年に逝ってしまったのだけど、中上健次の故郷の新宮市に旅をしたことがある。「路地」らしいところはどこにも無かった。中上が「路地」を舞台にした小説を書き連ねているころ、市の同和行政によって、「路地」は再開発され消失したと言う。

小説家の宮内勝典はニューヨークのイースト・ヴィレッジの麻薬密売人がたむろするところからスラム街の奥まで、中上と歩き入ったそうだ。微塵も臆せず歩く中上に不安になり、宮内氏は中上に大丈夫かと尋ねると、中上はこう呟いたと言う。

「おれはこういうところで生まれたんだからな」

このYouTUBEには韓国のソウルに「路地」を発見し、ご機嫌な中上健次がいる。


http://www.youtube.com/watch?v=ZtxAvSuuGGo

何か一冊と言われれば「紀州 木の国・根の国物語」をお奨めします。南紀を旅してのルポルタージュでありエッセイなのだが、中上健次の作品の中では読みやすく、けれど、内容は濃い。古本屋とかで見かけたら読んでみてください。





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また、小田急相模原駅の近くのbar School of Rockで歌うのです。フライヤーというものを作ってみた。チャージなしです。ロンサム・スーさん、The NAOKIさん、トンネルぬけてぇさんとぼくの四人の出演です。良かったら飲みに来てね。

二千十年四月二十五日(日)夜八時開演
小田急相模原 スクール・オブ・ロック
神奈川県相模原市松ヶ枝町19-8
No Charge
http://blog.goo.ne.jp/ryusisekine

遊ぼう!
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Ry Cooderというとヴィム・ヴェンダーズ監督の名作の「パリ、テキサス」のすすり泣くスライド・ギターを思いだすのだが、その原型は弾き語りのテキサス生まれのゴスペル・シンガー、Blind Willie Johnsonの"Dark Was the night-Cold was the ground"であったのだけど、デビューアルバムに演奏されたインステュルメンタルのギターを聴くと、彼は、アメリカの中や周辺にある異端を始めから追い求めていたようなミュージシャンであったと思う。

名盤の誉れ高い"Paradise And Lunch"や"Chicken Skin Music"ではアメリカ合衆国の国境線、ハワイやメキシコをさ迷い、そのような音楽を探索し、"Jazz"では1920年代の忘れかけられていたジャズ音楽を追求した。サウンド・トラック、"Paris, Texsas"では、心に染みるようなメキシコの歌すら演奏していた。それは"Cancion Mixteca"。映画「パリ、テキサス」で主演のハリー・ディーン・スタントンが鼻歌を歌っていた歌で、そのハーリー・ディーン演じるトラヴィスとナターシャ・キンスキーの演じるジェーンがのぞき部屋での二度目の再会の時に、インステュルメンタルで流れる忘れがたき曲。その再演もあるアイルランドのチーフタンズと共演した新しいアルバム"San Patricio"が素晴らしい。アメリカとメキシコとの間の戦争で負けたメキシコの側のアイルランド移民の側に立った歌曲集、コンセプト・アルバムで、多数のメキシコのミュージシャンも参加している。スペイン語でのLinda Ronstadtの歌声も素晴らしい。敗れ、称えるられることのない英雄たち、Unsung Heroesへの胸に迫る賛歌。

Ryは世界の果てまでも旅するように、アメリカ合衆国と正式の国交のないキューバまで行ってしまったことがあったし、その時、キューバのミュージシャンと共演した"Buena Vista Social Club"はドキュメンタリーとしてヴィム・ヴェンダーズ監督の手により映画にまでなりヒットした。もちろん音楽も素晴らしかった。そして、今度の"San Patricio"を聴き、ぼくはRy Cooderの音楽は叛アメリカであるところのアメリカ音楽の精髄のような気もするのです。






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最近、諸般の事情で更新してなかったが、何か書こうかなと思った。なぜか、世間の厳しい状況をひしひしと感じたこの頃であったのだけど、やはりそうか、日本の一人当たりGDP(国内総生産)というものが2009年、世界で23位であるという。最高が世界で第2位だった1993年ごろであったそうだ。2001年ぐらいまで、2位から5位ぐらいまでをさ迷い続けるのだが、小泉という人が首相になってから下落し続けていくのであった。構造改革、派遣労働の解禁とか、にやけながらアメリカ合衆国の後を追えと行っていたのだが、明らかな失政だったのではないか?

話は変わるようで変わらず、昔、中学生の頃、NHKのFMで渋谷陽一という人のロックの番組を良く聴いていたんだな。その渋谷陽一氏、忌野清志郎が逝ってしまった時、追悼の文で、自分はキヨシローと同じ年齢だった、くやしい、残されたものとして、まだまだ頑張らねばと書いていたのだが、そのロックを電波に乗せてぼくに教えてくれた人が、オピニオン雑誌を出しているを見つけたのだった。彼の頑張らねばという言葉の応えのような「SIGHT」という雑誌を本屋で見つけたのだが、謳い文句に「リベラルに世界を読む」とある。季刊誌になっていて、最新号の特集は「ありがとう小沢一郎 僕たちは卒業します」とある。保守系の雑誌ばかり隆盛のオピニオン誌の中で左翼ではない反保守という、一昔前では生ぬるいと批判されてただろうこのスタンスが、現在進行形のロックであるよううな気もしたのだった。けれど、ソウル・フラワーの中川くんあたりからは、めちゃくくちゃ批判されてしまうのかもしれない。

内田樹と高橋源一郎の小沢一郎を巡る対談やら、「ペンタゴンに振り回されるアメリカと、どう向きあえばいいのか」と題された、オランダのジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレンへのインタビューなど一読の価値あり。そして、音楽に関するコラムでピーター・バラカン氏が「名盤おとぎ話」という連載を書いていて、今号は「ボビー・チャールズ」。いいですなぁ。

渋谷陽一さん、思わぬところで再会し、Led ZeppelinやEarth, Wind & Fire、Joni Mitchellをかけながらのボソボソと語るラジオの彼のディスク・ジョッキーを思い出したのです。


渋谷陽一さんのブログ「渋谷陽一の「社長はつらいよ」」
http://ro69.jp/blog/shibuya/
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最近、水槽の出てくる夢をよく見る。どうしてだろう? 今度は亀の夢を見た。亀という生物の表すその象徴は世界のことごとくで吉兆なんだそうだ。こんな夢だった。

床下の水槽に亀がいることを思い出し、その海亀ほどに大きい亀がどうしているのか気になり、床下を覗いてみる。水槽があり、素敵な水族館の小さなアクエリアムのように、手入れが行き届いている。大きな一頭の亀ではなく、何匹もの小さな亀が、魚たちとともに気持ち良さそうに泳いでいた。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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