えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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『若尾文子映画祭』ということで、角川シネマ有楽町で増村保造監督の『青空娘』と『最高殊勲婦人』を見ました。1957年と1959年の映画。戦後12年、東京という街の回復力に驚きます。増村保造というと、ぼくの大好きな『兵隊やくざ』の初作の監督ではないか。シャープな感覚の斬新で大胆な構図の映像は早すぎたヌーヴェルヴァーグのようです。しかし、この二本の映画の魅力は若尾文子につきますな。「青空さん、こんにちは」と空に向かって挨拶する彼女の眩しさは、オードリー・ヘプバーンやブリジッド・バルドー以上のようにも思うのです。
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VODで小津安二郎監督の『風の中の牝雞』を見ました。何度目か再見。1948年の日本映画です。

住宅街の中に大きな化学プラントのような建物があるのが何か気になります。車は道を走っていない。

戦後、田中絹代の演ずる夫の戦場からの復員を待つ妻が、病気となった子どものために一夜だけ身体を売るということをし、子どもは回復するが、佐野周二演ずる後に復員となった夫と確執となる、そんな話でした。日本と日本人にとって、この頃が一番、苦しかった時かもしれません。

小津自身、この映画を失敗作と認めている。カンヌ映画祭でグランプリをとった『スパイの女』の黒沢清監督はこの映画を小津の映画の中で異色のカルト的なもっとも重要な映画としている。

さて、ウィキペディアから三つの批評を紹介します。映画評論家の佐藤忠男の批評。

「若い娼婦が隅田川沿いの空き地で弁当を食べるシーンを引いて「敗戦で日本人は娼婦のごときものとなった、しかしそれでも、空き地で弁当を食べる素朴さは保持しようではないか」」

アメリカの作家・批評家であるジョーン・メレンの批評。

「夫婦の子どもの名前がヒロ(浩)であることを挙げ「この名前が天皇から取られたのは偶然ではない」とした上で「彼女は日本人の生活のすぐれた点を守るために身を売ったのである。小津は日本人に向かって、すぐれた点、つまり占領によって汚されることのないと彼が信じる日本人の生活の貴重なものを守るために、新しい社会を受け入れるべきだと語っている」」

フランスの映画評論家・映画プロデューサーのユベール・ニオグレの批評。

「戦後日本の道徳的雰囲気についてのもっとも素晴しい要約のひとつであり、小津作品のなかで戦争の時代を締めくくり、今日もっとも知られた後期作品に先立つ転回点としての作品でもある」

ぼくは、妻の不貞を許せない夫への、笠智衆の演ずるその夫の同僚の言葉が、小津安二郎自身の言葉としてどこか響いているような気もしました。

小津安二郎はこの映画の反省として、二度と戦争にまつわる否定的なことは映画にしない、とインタビューで答えていたけれど、後の映画にも被害、加害の両方を深めた戦争の何某かは、小津の映画に隠れて表出されることとなるのです。
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横須賀美術館の『アートでつなぐ山と海 海浜のミュージアムで楽しむ日本画のきらめき』展に行ってまいりました。近代以降の日本画展です。近代以降の日本画というと横山大観とか東山魁夷、平山郁夫ぐらいしか知らなかったぼくには、こんなに幅広く、いろんな画家がいることが新鮮です。

そういえば、これは近代以降の日本美術の再興に大きく貢献し、それを主導した岡倉天心の『茶の本』の中の一節です。

「西洋人は、日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国と見なしていたものである。しかるに満州の戦場に大々的殺戮を行ない始めてから文明国と呼んでいる」

右も左も、どうだ、まいったか。画集の『堀文子の世界』をミュージアム・ショップで買って帰りました。見るのが楽しみです。そして、日本を再び発見する旅はつづきます。
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VODで黒澤明監督の『酔いどれ天使』を見ました。1948年の日本映画で日本映画史上に残る名作です。米兵こそ出てはきませんが、米国占領下の日本が生々しく描かれております。敗戦の日本の当時の人たちは、何かに苛立っていたようでもあるのです。そのささくれは何度も映される水たまりの汚泥に象徴されているようなのです。

黒澤映画に欠かせない志村喬と三船敏郎という二人のスターが共演しております。この映画の題名である「酔いどれ天使」とは志村喬の演ずる飲んだくれの町医者のことを指していることに改めて気づきました。三船敏郎の演ずる若いヤクザと医者との奇妙でもある友情の話でもあります。ヤクザの情婦役の木暮実千代の悪役ぶりもなかなかいい。肺病から回復する少女役を久我美子が演じていて、可憐でいい。汚泥に咲く一輪の花のごとしなのです。久我美子は戦後、廃位となった華族の出で、本当のお嬢さんでもありました。

それにしても、ダンスホールで「ジャングル・ブギー」を歌う笠置シヅ子はあまりに強烈で、演奏するスィング・バンド、クラック・スターも本物の素晴らしさです。
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六月四日、池袋演芸場での令和七年六月上席昼の部です。池袋演芸場は久しぶりに来ました。四軒ある都内の寄席のうちで一番小さい寄席で、百席も満たないキャパシティ。マイクもありません。地下二階のシチュエーションが少し怪しげでもあります。

さて、見た演目です。前座の三遊亭歌きちくんの「牛ほめ」、二つ目の鈴々舎美馬さんの「元犬」、二つ目の林家咲太朗の噺はすっかりねむってしまって、メモし忘れました。すみません。青空一風さん、青空千風さんのお二人の漫才、柳家緑也師匠の「権助魚」、柳亭こみち師匠の「蚤のかっぽれ」、寒空はだかさんの漫談、三遊亭天どん師匠の「安兵衛狐」、柳家はん治師匠の「鯛」、小梅さんの奇術、橘家文蔵師匠の「馬のす」で仲入りとなりました。二つ目の吉原馬雀くんの「暴走族」、林家正蔵師匠の「雛鍔」、ロケット団のお二人の漫才 、主任は柳家小ゑん師匠の「恨みの碓氷峠」でした。

印象に残った演目です。鈴々舎美馬さんの「元犬」はのんびりした感じがとてもいい。三遊亭天どん師匠の「安兵衛狐」のとぼけた感じがとてもいい。仲入り後の爆笑は吉原馬雀くんの新作「暴走族」で、今年の秋に真打に昇進するといいます。おめでとう。林家正蔵師匠の「雛鍔」は美しい人情噺。最近、林家正蔵師匠の「雛鍔」をよく聴きます。この「雛鍔」はぼくは大好きです。ロケット団のお二人で大爆笑。柳家小ゑん師匠の新作「恨みの碓氷峠」は柳家小ゑん師匠の生涯のテーマの鉄道落語の一つで大笑いしました。古典もいいが、新作もいいね。

暗いこの世のつらさ忘れ、寄席は心のオアシスなのです。
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小津安二郎監督の『長屋紳士録』を見ました。1947年の日本映画です。何度目か再見。

この映画にはいくつかのテーマがあって、その一つが、戦災孤児、浮浪児、ということ。同じ年の映画、黒澤明監督の『素晴らしき日曜日』にも路上生活をする子どもが表されていて、当時の日本で大変な問題となっていたことがうかがわれます。

「長屋」とされているのは空襲後の東京の焼け野原に散見されるバラックの建てものであったりします。すでに東京の町には少しはビルディングも建っている。そんなところにかろうじて残っている人情と礼節を小津は表現したかったのであろう。

老け役ではない笠智衆が登場します。迷子になった子どもを長屋に連れて来てしまう九段の道端で店をだす易の占い師で生計を立てる青年といった役。九段とは靖国神社の参道かと思われ、この「九段」という表現はGHQの検閲を逃れるためかと思われます。小津は後のインタビューで、どうしていつも笠智衆を自身の映画で俳優として採用しているのか、と問われ、ああいう人格者が映画にはいてもらわなくては困る、と答えていたのを思い出します。

貧乏な居間に、後の小津の映画にもよく登場する赤いケトルが置かれていたりします。『長屋紳士録』はモノクロの映画だけれど、あのケトルの色は赤であることを、ぼくは疑いません。

長屋紳士録
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山梨県の忍野の桂川で一泊の釣りをする旅に行きました。とりあえず、ぎりぎりの目標は達し、ボーズ(一匹も釣れないこと)でないことはよかった。釣れたのは、マラブーのストリーマーの毛鉤で虹鱒。ゲジゲジみたいなドライフライの毛鉤でバレて(針にかかった魚が外れて逃げてしまうこと)しまった山女魚が、ぼくの中で悔しさが残ります。夕ごはんでの山菜の天ぷらが美味しい。

二日目の朝ごはんの前に宿から川が近いので、釣りに行きました。初めて、秋田犬を小さくしたような犬を連れて散歩しながら、見回りをしているおじさんに釣れますか、と声をかけられました。おじさんのいうように、小雨の中、単発のライズ(魚が水面近くを泳いでいたり、水面から少し影を出したりと、釣りをしている本人に姿を現すこと)が多い。やっぱ、釣れなかった。忍野の魚は百戦錬磨のプロの魚です。そして、釣りの道、釣道はきびしい。けれども、ぼくは今回の釣りの旅でバレた山女魚から忍野の釣りのコツを教わったようでもあるのです。朝ごはんを食べた後は雨も本降りとなって、釣りをせずに、帰路に向かってしまった。梅雨明けとかなどに、また来たい、と思います。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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