えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

国立能楽堂で能楽を鑑賞しました。狂言は大蔵流の「千鳥」、能は喜多流の「隅田川」。
「千鳥」は、酒屋に酒を買いに来た太郎冠者だが、酒屋からはこの前、酒を買った代金をまだ払っていないだろう、といわれ、それでも売れ、といい、問答となる。昔は後払いが普通だったそうだ。昔の日本人のおおらかな笑い。
「隅田川」は拐われた子どもを探して旅をし、遥か東方、武蔵の國まで来たシテの母が隅田川を渡ると、村人のたてた墓に行き着き、その墓が子どもを弔ったところだと知る。村人らとともに「南無阿弥陀仏」と唱えると、母には子どもの姿が見える。シテの梅若丸の母を演じ、舞う塩津哲夫さんは鬼気迫るものがあった。塩津希介くんの演ずる子方の梅若丸の登場に、ぼくの涙腺は、はからずも決壊したのであります。
「隅田川」は「梅若権現縁起絵巻」を元にした観世元雅の名作。観世元雅は世阿弥の三十歳代で夭折した子であるそう。塩津哲夫さんは重要無形文化財「能楽」保持者、塩津希介くんは塩津哲夫さんの孫かと思われます。感動しました。
現世の笑いの狂言、現世とあの世をまたいだ悲しみ、哀れみの能。能楽は素晴らしい。

この記事にコメントする