えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

オンデマンドで小津安二郎監督の『晩春』を見る。
主演の原節子は外国の映画の女優みたいだ。原節子がスクリーンの上で微笑むと、世界全体が明るくなるようです。悲しげな表情は世界が暗くなる。そして、脇役の杉村春子の演技の自然さはリアルですごい。たくさんの名優に尊敬される大女優、ここにあり。
昔の鎌倉はこんなところだったのかと少し驚くけれど、お寺のシーンでは今と同じなんですね。1949年の作品『晩春』のそこかしこの風景で占領下であることが、さりげなく示されてもいる。
原節子の娘が抱く笠智衆の父への思いは、エレクトラコンプレックス的な何かを感じさせもする。ストーリーは特になく、娘と父の別れがあるのみで、それは、ユング的にいえば、人の心の普遍に深く沈んでいる何かであるとも思う。
『晩春』は小津調全開です。半世紀以上も経ち、絶大に評価される小津の映画の独特はこの『晩春』に始まったのかもしれない。

この記事にコメントする