えいちゃん(さかい きよたか)

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会社からの帰りに寄り道をし、川崎のTOHOシネマズでヤーニシュ・サース監督のハンガリー映画「悪童日記」を見た。

少年の目を通して戦時下のハンガリーの過酷な歴史が浮かび上がる、などと言うとあまりに安易なような気がするのは、この映画のあまりにもの重さに、ぼくはどう受けとめたらいいのか、わからなくなってしっまう。その重さは、ぼくにフランスの小説家、ルイ・フェルディナン・セリーヌやギリシャの小説家、ニカス・カザンザキスを思い出させた。確か、二人とも亡命のような状況の中、異国の地で没したのではんかったのか。そして、その書いた小説の筆禍により、キリスト経の葬儀を司祭から拒まれているのだった。さて、「悪童日記」の原作者、アゴタ・クリストフも亡命者で、けれども、上述の二人とは違って、その死に際し、キリスト経の祈りを拒まれているわけではない。しかし、このハンガリーの女史の書くものは、セリーヌやカザンザキスのように、道徳や倫理を超えてしまわざるえない、厳しい重さを持っている、と思ったのだった。

映画「悪童日記」も限りなく重い芸術作品なのだけど、その主人公の双子の少年の目を、昔、どこかで見た映画で出会ったような気もし、その映画が、今、リバイバルしているらしいフランソワ・トリフォー監督の「大人はわかってくれない」の主人公の少年の目の純潔さであったのを思い出しもした。すると、ぼく自身も少年時代に戻っていき、何かが氷解し、帰りの線路の駅のプラットホームで胸に熱いものがこみあげてきたその少年の目。

今度、まだ読んでいない原作を読んでみたい。

http://akudou-movie.com
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