えいちゃん(さかい きよたか)

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リー・ダニエルズ監督の『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』を見ました。

もしや、ビリー・ホリデイというとその悲惨な生い立ちや事件、麻薬、人種差別の陰鬱な映画かと少し躊躇していたのですが、それほど暗くもない映画でありました。それというのもステージで歌うシーンがたくさんあり、音楽の映画として素晴らしかったからで、不世出の天才シンガー、ビリー・ホリデイになりきったアンドラ・デイの歌唱シーンはすごいです。

映画の内容としては、人種差別を告発「奇妙な果実(Strange Fluet)」を歌ったビリー・ホリデイをFBIが安寧秩序を乱す存在として危険視し、麻薬の件で逮捕するが、ビリーは服役とその釈放後も屈せず「奇妙な果実」を歌いつづけていくというもの。

映画を見て、昔、読んだ大橋巨泉・油井正一訳の「奇妙な果実―ビリー・ホリデイ自伝」を再び読みたくなりました。などと思ってアルバム「奇妙な果実」の大和明さんの書かれたライナーノーツを読んでいると、「奇妙な果実―ビリー・ホリデイ自伝」の引用があり、ぼくもここで引きたいと思います。

「私は遊び半分に集まるナイト・クラブの客に、私の歌の精神を感じとってもらえるか、まったく自信がなかったのである。私は客がこの歌を嫌うのではないかと心配した。最初に私が歌った時、ああやっぱり歌ったのは間違っただった、心配していたことが起こった、と思った。歌い終わっても、一つの拍手さえ起こらなかった。そのうち一人の人が気の狂ったような拍手をはじめた。次に全部の人が手を叩いた。(中略)今もって私はこの歌を歌うたびに沈痛な気持ちになる。パパの死にざまが瞼に浮かんでくるのだ。しかし私は歌いつづけよう。リクエストしてくれる人々のためばかりではなく、20年を過ぎた今でも南部では、パパを殺した時と同じようなことが起こっているからだ。」

エンドロールにかぶさる正装で恋人と踊るシーンは、ビリーが生涯、得たくて得られなかったもののような気がして、涙が禁じえなかった。1960年、ビリーが44歳で亡くなった後の公民権運動で白人も黒人も街頭で抗議をするアメリカをビリーは見ることもなかった。

ビリー・ホリデイはアメリカの最も偉大な歌手なのです。ぼくのお薦めのビリー・ホリデイのアルバムを一枚選ぶとすれば、やはりコモドア・レコーズの"The Geatest Interpretations Of Billie Holiday"です。

ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ







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えいちゃん
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音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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