えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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五千円札に刷られた日本国の父のようでもある新渡戸稲造の「武士道」を山本博文さんの現代語訳で読んだ。「葉隠」が著された江戸時代の武士道について山本博文さんが、明治の人である新渡戸稲造の描く理想化された武士道よりも更に厳しいものだった、と解説の中でこのように書いている。

「武士道は、もともと戦闘者の倫理である。そのために独特の名誉の感覚を持ち、臆病や卑怯とされる行為には病的にまで厳しいものであった。武士が刀を抜けば必ず相手を斬り留めねばならず、もし首尾よく斬り留めてることができても、人を殺したものには切腹が命じられた。これらの行為には理非の判断はなかった。そしてもし斬り損じたら、武士として未熟だという理由で切腹が命じられた」

あの「キテレツ大百科」のコロちゃんことコロ助にはこんな厳しい背景もあったのです。

新渡戸稲造の称揚する武士道のすべてに同意するわけではないけれど、何か惹かれるものもあり、よって、彼の書いた「武士道」の現代語訳からの美しい一節をどうぞ。

「わが桜花は、その美の下に刃も毒も隠しておらず、自然が呼ぶ時にいつでも生を捨てる準備ができている。その色は華美ではなく、その香りは淡く、人を飽きさせない。色彩と形状の美しさは、外観に限られる。色彩と形状は固定した性質である。これに対し香りはうつろいやすく、生命の息のように天上にのぼる」









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南米の作家エンリケ・バリオスさんの著した「アミ 小さな宇宙人」を読んだことは既に書いたけれど、その続編である「もどってきたアミ 小さな宇宙人」も読了してしまった。次のページにはどんなことが書いてあるんだろうかと思い、そう、子どもに戻ったかのように、いくぶんわくわくしながらも読み進めていった。

南米の人が書いた物語だけあって、ところどころに聖書の一節が引用されている。1990年代の解放の神学への弾圧のことなども思ってしまいつつ、この小説のような童話のような物語が南米から発信されていることに感慨し、UFOはインディオの居住するゲットーのようなところに着地する詩的な光景の絵を思い浮かべてしまった。

12年前に出版されたこの本は、2012年の今、日本という辺境の島に住むぼくに届けられた特別な本でもあるような気がした。さくらももこさんの表紙もかわいらしい、そんな素敵な本です。











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無頼組合の最新公演「汚れた世界」を観劇しました。近未来を舞台に借りて今の時代を撃つ重い活劇に久しぶりの本格ドラマを見たと思った。1970年代の「カッコーの巣の上で」とかのアメリカン・ニュー・シネマ、萩原健一、水谷豊主演のテレビ・ドラマ「傷だらけの天使」、「蘇える金狼」とかの大藪春彦原作の松田優作が主演した一連の角川映画などを思い出す。

今、時代は限りなく重いと思うのだけど、日本の文化や表現の紋切型の軽さにつまらなさすら感じていたところに、友だちの誘いでこの無頼組合という演劇集団を知り、見に行き、このシリアスさが胸に深くささりもしたのです。

ありがとう、そして、がんばれ、無頼組合!

無頼組合のホームページ
http://www.buraikumiai.com/index.html
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村上龍には親しみをおぼえているのに、それほどたくさんの小説は読んでいない。一番好きなのは、「限りなく透明に近いブルー」。その小説に出てくる「おまえには黒い鳥がみえるよ」というセリフがかっこいいなどと友だちと語りあっていた。一番美しい音楽は初期のビートルズと言ったのも村上龍さんで、なるほどと思った。ローリング・ストーンズ好きで、それにキューバ好き。中上健次に殴られなかった数少ない同世代の小説家。その中上と対談した時、ありとあらゆる薬物を若いころ試したと語っていた。何かのアンケートで数年前、もっとも上司になって欲しい有名人の一人に選ばれたりもしていた。龍さんの最近の小説は常に同時代を活劇的な物語の中で描き、少年の心を残しているかのよう。理屈っぽくなく、けれどとても聡明で、偏見なしにものを見ることができる人。そんな龍さんの最新のエッセイ「櫻の樹の下には瓦礫が埋まっている。」を読んだ。やはり面白かった。この本の中の「若者の病理と文学」からぼくの共感した龍さんの文学観を引用します。

「小説というのは、基本的にマイノリティを代弁するものだ。社会に受け入れられない人々の声にならない声を翻訳して、人間の精神の自由と社会の公正さを訴える、それが文学である。だから文学は回答を示すものではない。本質的な疑問を提出する」

そして、最後の章「櫻の樹の下には瓦礫が埋まっている。」にはとても感じ入り、震災後の日本の状況について、わが意を得たりと思い、深く溜飲をさげた。立ち読みでもいいから、この章だけでも読むことをおすすめします。

章と章の間のはさまった龍さん自信が写したカラーの花の写真も素敵です。











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チリの作家、エンリケ・バリオスさんの著した「アミ 小さな宇宙人」を読んだ。なんだか、ジョン・レノンの歌、メッセージ、例えば、"All You Nedd Is Love"とか"Imagine"とか"Mind Games"が物語になったような本であった。この物語の中に、空飛ぶ円盤の中で子どもの宇宙人といっしょに宇宙の音楽や地球の音楽を聴く場面があるのだけど、その音楽の一つが、ジョン・レノンでありビートルズなのだ。しかも、物語の後ろのほうで少しだけ日本の少女も出てくるのだけど、ジョン・レノンの二人目のお嫁さんは誰だっけ? そこで、ぼくは、ジョン・レノンの"Mind Games"という歌を思い出したので、拙訳してみます。この物語の伴奏曲にどうかな。

「ぼくたちはいっしょに心のゲームを遊んでいる
種を植えに柵を押すんだよ
そう、心のゲリラを遊んでいる
世界に平和をと真言を詠唱し
ぼくたちは永久に心のゲームを遊んでいる
古代ケルトの祭司のようにめかしてベールをそっと持ち上げ
心のゲリラをしているのさ
聖杯を探し求める魔法だとも人はよぶ

愛が答え、それは確かなことだよ
愛はきみが育む一つの花

だから、この心のゲームを続けよう
さあ、たった今から未来をかたく信じよう
きみにこの心のゲリラを打ちのめせはしない
それはきみの心のなかの石ころにある何か完璧なところなんだ
そう、ぼくたちはいっしょに心のゲームを遊んでいる

イエスが答え、それは確かなことだよ
はいというのは降伏で、もっといかせてあげよう

だから、この心のゲームを続けよう
典礼の舞いを陽の下で踊り
数えきれない心のゲリラは
魂の力をカルマの輪にそそぎ
この心のゲームを永久に続けて
平和と愛の精神を掲げよう


戦争ではなく愛しあって欲しい、どこかで聞いたことがあるはずさ」

心のゲリラもやりとげ、世界の心に平和と愛がもたらされ、さて、「アミ 小さな宇宙人」に戻れば、一つ政府もよいのだが、この空の下、地の上の世界は、分裂せずに、しかも、多様にいくつもであって欲しいと願います。











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山梨を旅して、渓谷の観光地、昇仙峡に行ってきた。川に大きな岩がごろごろとある、ある種の奇景が見れる観光地は日本の中でも代表的な水晶の産地であるらしい。水晶の売店がたくさんある中、昇仙峡影絵の森美術館というのがあって、入ってみた。

藤城清治さんの影絵がたくさん展示してあった。懐かしく、かわいらしく、美しいこの影絵たち。暗い部屋で光源を後ろから照らす、たくさんセロハンを微妙に組み合わせた藤城清治さんの実物の影絵のこの美しさは、別の方法では再現できないものだと思った。

藤城さんは1960年代に一世を風靡した、カエルのアイドル、ケロヨン生みの親でもある。ぼくは、日本にポップカルチャーがあるのなら、藤城清治こそがそのポップアートの始祖のような人であると思う。

影絵の世界の住人であるケロヨンことカエルのケロちゃんやコビトたちをマスコミやらテレビやらで見なくなってから久しいけれど、なんと彼らは、地方の美術館であのころと同じように遊んでいるようなのだ。その遊びにひととき、ぼくもまぜてもらおう。


昇仙峡影絵の森美術館のページ
http://www.kageenomori.jp/index.html
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言語学者、文化人類学者の西江雅之さんの最新著である「異郷 西江雅之の世界」を読み、そして、見る。見るといったのは、この本の真ん中あたりの130頁ほどの写真集となっていて、「影を掬い採る」とタイトルされている。美しい人々と彼らの生活がいくつも並んだ写真について西江さんは、すでにこの世界から消えてしまった人びと、消えかけている日常の景色、と書いている。影か、とぼくは小さなため息をつく。

再録された旅の記憶のようなエッセイは、1960年代から21世紀まで書き綴られたもので、それは、小さな声で歌われる、消えていくかのような美しいレクイエムのようだ。スクラップブックの中の写真は、遺影のようでもあり、遺影のようでもなく、懐かしい異郷の人たちが、時を越えて微笑んでいる。











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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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