えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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世田谷美術館の「アンリ・ルソーから始まる素朴派とアウトサイダーズの世界」展を見に行く。専門の美術教育を受けないまま、ただ「描きたい」という強い衝動を持って描かれた市井の人たちの作品を素朴派とかアウトサイダー・アートと呼ばれるらしく、実は、世田谷美術館はその収集に努め、膨大なコレクションを持っており、今回の展覧会はその集大成のようなものらしい。絵画のブルーズ・マンのブルーズのようなものなのかな、と思い、見に行った。

意外に楽しい絵が多い。そうか、ブルーズも悲惨を歌って、最後は、どうにかなるよ、大丈夫、大丈夫、と歌って、楽しいものだ、というのを思い出した。けれど、あまりの悲惨さで救いのないような久本強の「シベリア・シリーズ」に圧倒されてしまう。グランマ・モーゼスやグランマ・フランの絵は楽しくて好きです。マックス・ラフラーの心優しきキリスト教の神様や聖人の絵に笑みをもらしてしまう。

いろんな人たちの絵が飾られ、絵が描いた人の普通であったり波瀾万丈であったりする生活や人生を語りかけてくれるようだ。

ぼくの歌は素朴派です。

世田谷美術館
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鈴木啓志さんの著した「ゴースト・ミュージシャン ソウルの黄金時代、アメリカ南部の真実」を読む。

アラバマ州マスル・ショールズというとある田舎町にあるレコーディング・スタジオ「フェーム」を舞台にした、さまざまなミュージシャンが出入りする本当にあった物語。主人公はそのフェーム・レコーデイング・スタジオのオーナーであるリック・ホール。そこに、世紀の天才ドラマー、フリーマン・ブラウンがヒーローよろしく登場し、そして、ニューヨークの名門レーベル「アトランティック」のオーナー、ジェリー・ウェクスラーが思惑ありげに絡んでくる。ぞくぞくときらめくようなシンガーたちが、この片田舎のスタジオに訪れ、セッションをし、名録音を残していく。さまざまな人間ドラマと変遷を経て、アメリカ南部と北部、黒人と白人に横たわるなんともセンシティブな問題も語られ、キング牧師の暗殺された1968年にフリーマン・ブラウンらを中心にしたアメリカ音楽史上、最強で最高なリズム・アンド・ブルース・バンド"Fame Gang"に結実する。

さて「ゴースト・ミュージシャン」とは誰か? ジェリー・ウェクスラーによって、クレジットから消され、いなかったことになってしまったさまざまなミュージシャンがいたということ。音をたどって明かされる真実は、リック・ホールという、プロデューサーと呼ばれる楽器を持たないミュージシャンにスポットを当て、この南部白人の、音楽家としての、人間としての偉大さを浮き彫りにする。

あぁ、"Fame Gang"の強靭なグルーヴはキャンディ・ステイトンやローラ・リーの1960年代のアルバムで聴くことができます。






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有馬頼義の著した「遺書配達人」を読了した。有馬頼義は「兵隊やくざ」を書いた戦記小説の大家で、この「遺書配達人」のストーリーは、戦時に負傷を負い、戦列から離れ内地に帰国する主人公・西山民治が属する小隊の兵士から手紙を託され、戦後、宛名の人たちを探し何年もかけて配達するというもの。兵士たちは死を覚悟して手紙を書いた。畢竟、それは遺書となり、この本の題へと由来する。戦争の影を負った戦後の日本の風景と人たちが生々しく目の前に広がるかのような名作だった。







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ウォルター・サレス監督の「オン・ザ・ロード」を見た。その昔、「路上」と題された日本語訳のジャック・ケルアックの小説は読んだことがあった。ウォルター・サレス監督の若かりしころのチェ・ゲバラを描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」はなかなか良かったし、製作総指揮があの「ゴッド・ファーザー」や「地獄の黙示録」のフランシス・フォード・コッポラということもあり、期待して見に行った。「オン・ザ・ロード」は北米大陸と旅とセックスのリフレインのような映画だったのだけど、ぼくがいささか年をとったのか、時代が変わってしまったのか、描かれる北米大陸にも旅にもセックスにもイコン、聖像として輝きは感じなくなってしまっていた。けれども映画に引用されるケルアックの小説の中の言葉は六十年の時を経ても、何か眩しいところがあって、小説を読みなおしてみようかな、と思った。

いくつか特に気に入ったシーンもあって、オールド・ブル・リー(ウィリアム・バロウズ)と会うシーンで、後に伝説的な前衛SF小説家となるバロウズは、セリーヌの小説を英語の訳文と原文のフランス語で読み比べて、どうだ、違うだろうと主人公のサル・パラダイス(ジャック・ケルアック)に説教を垂れ、広い森のある庭に出て、ズボンを脱いで、癌も撃退するという怪しい吸引器の備られた小部屋に入る。いかれていて、かっこいい。そして、楽しく短いシーンはスリム・ゲイラードがL.A.のクラブでピアノを弾いて、歌って、踊るシーン。

青春賛歌のようなこの映画への評を読みながら、辟易し、青春なんかクソだ、と囁いてみる。すると、おれの中のぼろぼろになったディーン・モリアーティ(ニール・キャサディ)が寂しげに笑い、あばよと合図し、小さくなって遠くへ去っていく姿を思い出したのだった。

http://www.ontheroad-movie.jp/
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映画も素晴らしかったら、妹尾河童さん著した「少年H」を読んだ。そして、戦争のことを考え、思いをめぐらせた。少年の低い目から見た戦時下の日常がリアル。例えば、子どもに向かって戦闘機から機銃掃射するのか、恐いな、と思った。大本営発表の統制報道などは今の原発事故・放射能報道と似ていて、こわい、こわい、とも思う。それから、少年Hのお父さんはすごく尊敬に値するぞ。家族を守るためにこんなことを言う。

「そうやないんや、踏んでもええのや。信仰は自分の心にあるんやから、それを護るんは正面から抵抗するだけやないとというのを知っておいて欲しいんや」

ぼくはクリスチャンではないのだけど、何か胸の底に来ました。

戦後、少年Hが大人たちにこの負けた戦争について尋ね、、敵機が飛来し始めたころには、もう日本は戦争に負ける、と少なからぬ人たちが思っていたことに、少年Hは驚くのだが、特攻隊として死んでいった青年たちの至純には嘘はない、と書いた坂口安吾の随筆を思い出したりもした。

今が戦前だという暗い予感が当たらないことを祈りながら本を閉じました。







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こんな夢を見た。ぼくは山手線のような、横浜線のような列車に乗って席に腰かけている。その列車のシートは銀色に見間違うような明るい灰色で、乗っている乗客は少ない。次の駅で勤めている会社にほぼ同時期に転職して来た人が乗ってきて、ぼくの隣にすわる。ぼくはその人に、もうこの列車から乗り換えようと思う、独り言のように言い、声をかける。その人は、そうですか、しかたないね、と答える。

そこで目が覚めた。列車って何なのだろう?
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この前、能楽というものを初めて見たこともあって、久しぶりに三島由紀夫の著作の中から「近代能楽集」を再読してみた。死が香り立つような戯曲集は古い能楽の古典を現代劇に翻案したような寸劇集であった。芸術はエロスとタナトスから生まれるというけれど、エロスは性愛、タナトスは死で、三島由紀夫の小さな物語はそれで、小さな危ない小宇宙のようなのであった。舞台で見てみたい。






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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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