えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
ずっと行ってみたいと思っていた上野の国立科学博物館に行ってまいりました。
本館での企画展は『古代DNA―日本人のきた道―』。縄文人や弥生人の近年のDNAのゲノム解析により、かなり詳細に日本人の昔のことが解ってきて、日本人の混淆性が明らかになってきたという。そんな展示を見ながら、ぼくは血というものは、けっして引かれることはなく、人類が存続する限り、常に足されていくものなのだと思う。これは希望のようなものでもあります。人類はアフリカで発生し、長い間、混じりながら、旅をしてきたといえる。
地球館や日本館の常設展も、ざっと見ていくように見学しました。多分、じっくりとキャプションの解説を読みながら回ると、一日では回りきれません。親に連れられ、先生に引率され、小学生がたくさん来ていて、ほほ笑ましくも、展示物の巨大な恐竜の化石などを見て、興奮して、ワーワー言っております。楽しくて、面白い国立科学博物館、ぼくはまた来たいと思っておりました。
その後に、鈴本演芸場に足をのばしました。上野公園の桜もきれいです。
鈴本演芸場では三月二十七日の寿真打昇進襲名披露興行が行われておりました。見た演目を書き出してみます。前座の林家十八くんの「鶴」、二つ目の鈴々舎美馬さんの「金明竹」、ダーク広和さんの奇術。柳家勧之輔師匠の時はぐっすり眠っておりました。すみません。林家菊之丞師匠の「親子酒」、風藤柳原のお二人の漫才、春風亭一朝師匠の「壺算」、林家木久扇師匠の「昭和芸能史」、鏡味仙志郎師匠と鏡味仙成師匠のお二人の太神楽曲芸、柳家さん喬師匠の「天狗裁き」で仲入りでした。林家けい木改め林家菊久彦くんの真打昇進襲名披露口上、林家楽一師匠の紙切り、柳家三三師匠の「高津の富」、柳家緑太師匠の「締め込み」、立花家橘之助師匠ほ三味線弾きの、唄いの浮世節、主任は真打になったばかりの林家菊久彦師匠の「明烏」。
鈴々舎美馬さんのほんわかした感じがいいねー。林家菊之丞師匠の「親子酒」は安定の面白さです。テレビ番組『笑点』を辞めた人気者、林家木久扇師匠の「昭和芸能史」で大爆笑。柳家さん喬師匠の「天狗裁き」は前回の鈴本演芸場でも見たのだけれど、何度、見ても楽しいねー。主任の林家菊久彦師匠の「明烏」は枕の後、眠ってしまって、途中で起きました。前途洋々たる新しい真打の林家菊久彦くんにショックを与え、無作法であったかもしれず、すみません。枕でのたくさんの回りの人が落語家を辞めていった話に少し驚く。林家木久扇師匠って厳しい人なのか。芸の道は厳しいねー。「明烏」って、吉原を舞台にしつつも、のんびりしたいい噺なんだよね。半分、聞きそびれて損をした感じ。
寄席も博物館もパラダイスですな。
町田の芹ヶ谷公園にある町田市立国際版画美術館での『日本の版画1200年―受けとめ、交わり、生まれ出る』を見ました。日本における版画の海外から移入と日本での変性、日本の版画の創出ということの展覧会でありました。
日本における版画の歴史は奈良時代の小さな仏塔に納められた小さな経文の印刷に始まり、今の横尾忠則や靉嘔の現代版画にまで続く。江戸時代の浮世絵版画の隆盛は、ヨーロッパの芸術に大きな霊感を与えるのだけど、ぼくはその浮世絵版画のもっとも遅れてやってきた後衛の小早川清や川瀬巴水の芸術に惹かれてしまいます。と同時に、芸術は時代を写す鏡のようであって、日中戦争の始まった1937年に日本と中国の紐帯は切れ、その後の不幸な時代が苦々しい。しかし、戦後、希望の方へと向かい、民衆を巻き込みもした新しい版画運動すら起こるのです。それは、常に、受けとめ、交わり、生まれ出るのです。
成瀬巳喜男監督の『流れる』を渋谷の映画館で見ました。1956年の日本映画。成瀬巳喜男は黒澤明、溝口健二、小津安二郎と並ぶ、海外でも評価の高い名監督で作風はどこか小津安二郎と似ていつつも、何かが決定的に違う。
深川かどこかの衰退する芸妓の芸者置屋を舞台にした家庭劇は、からっとしていて、それほど暗くもないのだが、それゆえにどこかもの寂しさがただよう。とりたててストーリーはない会話劇。
女優陣がオールスター・キャストで、山田五十鈴、高峰秀子、田中絹代、杉村春子、岡田茉莉子の面々。『流れる』を見ながら、芸妓の世界に反撥する高峰秀子の演技に、ぼくは後のウーマンリブ、フェミニズムに通ずる何がしかを感じるのだった。高峰秀子は当時の若い女性たちに絶大な人気であったのだろう。
ぼくには、小津の映画は死がべったりと貼りつき、それはいつしか夢の中であるように思え、成瀬の映画は常に生の側で、どこまでも夢へと飛び立たないと思えるのだった。
三月二十一日、上野鈴本演芸場で寿真打昇進襲名披露興行でした。見た演目を書き出してみます。二つ目の金原亭杏寿さんの「狸の恩返し」、柳家勧之助師匠の「鈴ヶ森」、米粒写経のお二人の漫才、古今亭菊之丞師匠の「長短」、ダーク広和さんの奇術、春風亭一朝師匠の「湯屋番」、柳家花緑師匠の「岸柳島」、鏡味千成さんと鏡味仙志郎さんのお二人の太神楽曲芸、柳家さん喬師匠の「天狗裁き」で仲入りとなりました。柳家緑太くんの真打昇進襲名披露口上、林家楽一師匠の紙切り、春風亭一之輔師匠の「牛褒め」、松柳亭鶴枝師匠の「金の大黒」、立花家橘之助師匠の浮世節、主任は真打になりたばかりの柳家緑太師匠の「三枚起請」。
古今亭菊之丞師匠の「長短」、春風亭一朝師匠の「湯屋番」、柳家さん喬師匠の「天狗裁き」など、ベテラン勢のお馴染みの噺がとてもよかったです。林家楽一師匠の紙切りについて、いつか「猫」のお題で注文し、切り絵を入手したい、と思っているのだが、いつになることやら。新しい真打の柳家緑太師匠の「三枚起請」はなかなかのものでした。あっぱれです。
真打昇進襲名披露興行ってお目出度い賑わいで、とてもいい感じ。時折、楽屋の方から、大きな笑い声すら聞こえてきます。寄席はパラダイス。
相模大野のアコパでDakota Dave Hullさんと浜田隆史さんのライブでした。Dakotaさんと浜田さんが交互にアコースティック・ギターを弾き、時には共演をする、という楽しいひと時でした。Dakotaさんは浜田さんのことを「Ragtime Ninjah」と呼ぶのに、ぼくはなるほどと思ってしまいます。ぼくはDakotaさんのことをアメリカの音楽、Blues、Ragtime、Jazz、Folky、Americanaの美しさをインストゥルメンタルのアコースティック・ギターでまさしく体現した人だと思う。
アコパ店内での打ち上げにも参加し、それも楽しいひと時。ぼくはDakotaさんがBob Dylanよりも前のもっとも偉大なギター弾き語りミュージシャンなDave Van Ronkと親友だったということで、彼をモデルにした映画『Inside Llewyn Davis』はどこまで事実に基づいているのか、と聞くと、まったく事実ではない、酷い描き方で、あの映画は二度と見たくないたぐいのものだ、との答え。そうだったか、とぼくは思いました。そして、買ったDakotaさんの最新のCD『Live in Japan』をリュックの中に入れ、家路に向かったのであります。
国立能楽堂で能楽を見ました。狂言は和泉流「手取川」、能は金春流「景清」でありました。「手取川」は名をつけられた若い僧侶が、その名を書いた紙を川に流してしまい、右往左往する話なのでしたが、結構、眠ってしまいました。狂言界の若かりしホーブ、野村萬斎くん、すまぬ。「景清」は零落した武士の父に娘が会いにくる話。けっして楽しくはなく、悲しく、哀れな話に涙が誘われます。
終演の後、ロビーを歩いていると、小さな女の子とお母さんが話しておりました。お父さんは外国の人らしいのです。お母さんは、今、見た能を、あのお侍さんは、昔はかっこよかったたんだよ、そのお侍さんに別れた娘であるお姫さまが会いに来たんだよ、などと解説らしきことしていて、女の子は興味深そうに聞いております。それを傍で聞きつつ、ぼくは、能というのは普遍的な人類共通の心の営みを現したものであるような気がしたのです。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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