えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

entry_top_w.png
こんな夢を見た。ぼくは父と母から、おまえは本当は大学を卒業してはいないんだろう、と責められている。ぼくは卒業したと答えるが、父と母に聞き入れられず、どんな卒業論文を書いたのか、と聞かれる。ぼくは武田泰淳について書いた、と答える。父に、現代文学か、くだらん、それも嘘だろう、となじられ、どんな卒業論文なのか、武田泰淳がどんな作家なのか、説明しろと言われる。ぼくは、武田泰淳について中国にとても深い関わりがあり、第二次世界大戦の中国大陸での従軍体験のある作家であることなどを説明し始め、小説「ひかりごけ」のストーリーを話し始める。すると、母とぼくはその「ひかりごけ」の物語の中に入り込んでいるようなのだ。その物語の中で、とあるひなびた食堂で、金箔をふりかけた不思議な食べものを見る。これを食べてしまえば、母もぼくも、ひかりごけのうっすらとぼんやり吸い込むような光を身にまとうことになるんだ、と思い、躊躇している。

そこで目が覚めた。ぼくは連日のウクライナでの戦争のニュースに神経がまいってしまっているのだろうか? 誰も殺したくない、と思いつつ、殺し、殺され、今も死んでいっている若い兵士のことを思う。谷川俊太郎さん作詞、武満徹さん作曲の反戦歌「死んだ男の残したものは」が耳に聴こえてくるようなのです。

entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

ケネス・ブラナー監督の『ベルファスト』を見ました。1969年の北アイルランドのとある港町、ベルファストを描いた監督自身の少年時代の自伝であるような映画です。

ジュード・ヒル演ずる子ども、バディが素晴らしい。カトリーナ・バルフ演ずるお母ちゃんが素晴らしい。ジェイミー・ドーナン演ずる父ちゃんのある意味、孤立した立ち位置は、いかにも、厳しく苦しいぞ。がんばれ、父ちゃん。コリン・モーガン演ずる兄ちゃんのビリーもいて、困難な時代の中、バディに人生を生きる知恵を授けてくれるキアラン・ハインズ演ずるじいちゃんやジュディ・デンチ演ずるばんちゃんもいる。なんとも心温まる家族劇となっていました。

全編でベルファストが生んだ哲人のようなブルー・アイド・ソウル・シンガー、ヴァン・モリソンの歌が流れ、これもぼくにとってはとっても気持ちいい。ビルボード東京やブルノート東京で音楽を聴きにいった時のアンケートの、これから見てみたいアーティストには、いつも「ヴァン・モリソン」と書いてしまうのです。

映画『ベルファスト』オフィシャルサイト 全国絶賛公開中!
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png
山梨県の忍野村の桂川で釣りしに旅をしました。


忍野村に着いてすぐに、フライフィッシングのプロショップ「リバーズエッジ」でついに忍野ネットと呼ばれる柄の長いおよそ人の丈のほどもあるランディングネットを手に入れました。かっこいい。なんでもこれを作る人がいなくなったか、やめてしまったかで、店頭に並んでいるものおしまいになるそうで、大事に使ってください、と手渡されました。手に入れられて、とてもよかった。忍野ネット、かっこいい。

昼前から釣りを始めましたが、強い風に苦戦しました。昼過ぎから、小雨が降り始め、午後の三時ごろには本降りで風もやまず、寒くなってくる。無心に竿を振り続け、二匹ほどフックできたけれど、取り込み途中であっけなくバラしてしまい、ボウズとなってしまいました。

夕方の五時過ぎに寒さに震えながら、宿「忍野高原ホテル」に向かいます。お風呂に入り、食堂で夕飯を食べていると、給仕をしているおかみさんが三人組の男の人たちと話をしています。そのお三方も釣りの旅らしく、それぞれ一匹づつ釣り上げたとのこと。釣り歴は一人は二十年、一人は十年、一人は三年だとのこと。おかみさんにボウズであったことを話すと、一年、二年じゃ忍野では釣れなくて当たり前なのよ、バラシが二匹でよかったじゃない、けれど、明日は天気もよさそうだし、釣れるわよ、と言われ少しほっとしました。

さて翌日も釣りです。朝は靄がかかり、少しづつ晴れてきて、また曇り。フライフィッシャーマンに、魚、少ないですね、などと声をかけられます。確かに少ないですね、とぼくも答えます。魚たち、どこへ行ったんだろう? そんな中、少し魚が溜まっているようなところを見つけ、フライを振り込むと、魚がその毛鉤を何度も覗き込むけれど、パクリとやってくれません。そうこうしてるうちに、ぼくは魚の少ない、理由を見つけたのです。あるところで、鱒たちがメダカの学校みたいに、大きな群れをなして、目の前を通り過ぎていったのです。放流したばかりの魚は底の方で群れのようになっているという話をどこかで聞いたことがあるような気がするけれど、驚くべき光景を目にしました。けれども、そのうちカップルができたり、こんな大群の中にいたんじゃおいしいものを食べれないよ、とかって思って、少しづつばらけてくるのでしょうか?

二日目もボウズでしたが、次こそは、遊漁券は年券を買ったし、忍野ネットもあるし、忍野村の桂川にまた来るぞ。魚たち、待ってろよ。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

カーク・ディーターさんとチャーリー・マイヤーズさんが著し、坂東幸成さんの訳による『THE LITTLE RED BOOK OF FLY FISHING 鱒釣師のための250のヒント』を読了した。

クリスチャンにはバイブルがあるように、イスラム教徒にはコーランがあるように、ユダヤ教徒にタルムードがあるように、フライフィッシャーには『THE LITTLE RED BOOK OF FLY FISHING』があるのだ。しかも、バイブルと違って、読んでも眠くならない。昔、心理学者の河合隼雄さんは「法華経」のよいところは、読むと眠くなるところだと言っていたけれど、ぼくは眠れない夜、きまって聖書を読んでいると眠くなりました。

さて、ユダヤ教徒にとってタルムードがどういうものかは、ぼくはよく知らない。けれど、ぼくは、人生のこの先、『THE LITTLE RED BOOK OF FLY FISHING』を、クリスチャンが生涯、何度もバイブルを手に取るように、イスラム教徒が生涯、何度もコーランの詠唱を聴くように、日本の禅者が生涯、何度も般若心経を読経するように、読むことでしょう。

Sheridan Andersonの『Curtis Creek Manifesto』とこのKirk Deeter & Charlie Meyersの『THE LITTLE RED BOOK OF FLY FISHING』でフライフィッシャーは二冊の聖典を持つことができたのだ。





entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

午後からうらたんざわ渓流釣場でフライフィッシングをしました。もう釣場の人に顔をおぼえられているみたいだし、ぼくのホーム・グラウンドといえば、ここですな。

今日は、ウェイダー(胴まである長靴みたいなの)を履いて、ポンドで少しフライラインを投げてから、自然の渓流そのままのエリア、ヤマメクラシックⅡに行きました。釣っているのはぼく一人で、魚影の濃さはポンドのところのなん分かの一。管理釣り場でないかのような、このような処があるのがうらたんざわ渓流釣場の魅力です。

そこで川辺を歩いていると、大きな魚影が水の中に見えました。もしかして釣れるかな、無理だろうな、などと思いつつ、毛鉤を魚影の少し前に落とす。魚はその毛鉤をパク。尺(1尺=約30.3センチメートル)越えの大きな虹鱒でありました。ネットに取り込み、写真を撮ってリリースします。魚はなぜか逃げ出さず、ずっと、ぼくの近くの水の中に、涼しそうにして、そこにいました。何を考えているのだろう? 鱒というこの種族は不思議な生きものだな。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

松村雄策さんの訃報を聞き、松村さんの著した本『僕を作った66枚のレコード』を読み、アルバム『UNFINISHE REMEMBERS』を聴く。

松村さんは渋谷陽一さんのロック雑誌「ロッキング・オン」のライターで、ぼくが松村さんの文をよく読んでいたのは中学生の頃だった。その雑誌の中で、岩谷宏さんの文と松村雄策さんの文が好きだった。松村さんもぼくもアイドルはジョン・レノンとジム・モリソン。岩谷宏さんのイギー・ポップの詞の訳と文はかっこよかったな。

その後、パンクロックが登場して、それとは関係なく、高校生の頃は「ニュー・ミュージック・マガジン」を読むようになり、「ロッキング・オン」はあまり読まなくなっていた。「ニュー・ミュージック・マガジン」ではアメリカンロックが多く取り上げられ、「ロッキング・オン」ではブリティッシュロックが多く取り上げられていた。「ニュー・ミュージック・マガジン」でブルースやらのロック以外の記事も多くて、「ロッキング・オン」的にいうと、その選択は必然だった。ぼくは世界中のポップミュージックを聴きたかった。「ロッキング・オン」が「ニュー・ミュージック・マガジン」の点数を付けたレコード評を、学校の成績表か、ロックは点数で付けらるようなものじゃないだろ、などと批判していたのは、なるほどと思った。なるほど、と思いながら、ぼくは「ニュー・ミュージック・マガジン」で10点満点の付いたロバート・ジョンソンのレコードを買っていた。

『僕を作った66枚のレコード』は2017年に出されていて、ぼくが松村雄策さんの文を読んでいたあの頃のままなのだ。渋谷陽一さんは松村さんの訃報に際し、松村さんのことを「永遠の青春」と述懐していた。この『僕を作った66枚のレコード』が面白くて、一気に読んでしまったぼくも「永遠の青春」じゃん。

そして、ぼくは『UNFINISHE REMEMBERS』を聴いている。松村さんの歌って透明なガラスのようだ。けれど、そのガラスに近づけば、それが無数に傷だらけなのに気づく。ロックンロールってそういうことじゃん、とぼくはひとりごちる。それは完全に正しい、と松村雄策さんの声が聞こえたような気がした。

ロックンロールを胸に松村雄策さんは70歳で逝ってしまった。冥福をお祈りいたします。






entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

ロジャー・ミッシェル監督の『ゴヤの名画と優しい泥棒』を見ました。ジム・ブロードベントとヘレン・ミレンの演ずる初老の夫婦、ケンプトン・バントンとドロシー・バントンの会話を見ていると、ちょっと違うけど、落語のようで、少し「芝浜」や「火炎太鼓」を思い出したりしました。コメディーなのだけれども、その映像は1960年代のブリティッシュのスタイリッシュで、1961年にロンドンであった本当の絵画盗難事件を題材にしています。後半は法廷劇となり、びっくりするようなやっぱ納得の判決と後日談につながります。

イギリスの映画で舞台はロンドンのはるか北、労働者の町、ニューカッスル。民主主義の生まれた国のイギリス。ユーモアはユーマニティ。ケンプトン・バントンのセリフ「あなたはわたし、わたしはあなた」。とんでもなく嫌なニュースが続く中、おいしいミントティーのような映画でした。ごちそうさま。

映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』オフィシャルサイト
entry_bottom_w.png
<< 前のページ 次のページ >>
[102]  [103]  [104]  [105]  [106]  [107]  [108]  [109]  [110]  [111]  [112
plugin_top_w.png
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
4 7
11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
えいちゃんのお奨め

ライブのお知らせ

ぼくのTwitter

plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新コメント
[05/19 Pg Soft]
[05/04 ペコ]
[12/23 ロンサム・スー]
[07/27 gmail account]
[08/29 えいちゃん]
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
ブログ内検索
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新トラックバック
plugin_bottom_w.png
Copyright えいちゃん(さかい きよたか) by えいちゃん All Rights Reserved.
Template by テンプレート@忍者ブログ