えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
国立能楽堂で能楽を鑑賞しました。見た狂言は「川上」で、能は「正尊 起請文 翔入」。
「川上」は狂言にしては珍しく滑稽話でなはく、夫婦の愛とそれにまつわる悲劇的な成り行きを描いたもので、真の幸福とは何かを問う名作でございます。シテの夫が人間国宝であらせられる野村万作さんで、アドの妻が万作さんの息子の野村萬斎さん。圧巻の狂言でございました。演者が舞台から引くと、後ろの方から、何やら、女の人のひそひそ声が聞こえます。すごいねぇ、野村万作は人間国宝だよ、ずっと見てきているけれど、九十を越えた今が一番いいよ、八十代はまだひよっこだよ、などと囁いておられます。芸の道は限りなしです。みんな、どうか長生きしてくださいませ。
能の「正尊」で初めて能面をかぶらない能を見ました。剣の舞いがダイナミックで素晴らしい。シテの土佐坊正尊の起請文の日本の神々を称える起請文も素晴らしく、それに応える子方の静御前の真っすぐな哀切さが心に残ります。武蔵坊弁慶の悪いもの退治の二幕ものに心がすーっとしました。
上野の鈴本演芸場で令和六年十二月下席昼の部です。見た演目を書き出してみます。前座の柳家しろ八くんの「転失気」、二つ目の柳亭一童くんの「子ほめ」、ストレート松浦さんのジャグリング、古今亭文菊師匠の「初天神」、桃月庵白酒師匠の「権助提灯」、風藤松原のお二人の漫才、弁財天和泉師匠の「女の鞄」、古今亭菊之丞師匠の「ふぐ鍋」で仲入りとなりました。柳家小菊師匠の三味線弾きの唄いの粋曲、林家さく麿師匠の「歯ンデレラ」、林家二楽師匠の紙切り、主任は柳亭こみち師匠の「音曲噺 文七もっとい」でした。
古今亭文菊師匠の「初天神」、桃月庵白酒師匠の「権助提灯」、古今亭菊之丞師匠の「ふぐ鍋」がとてもよくて、おおいに笑いました。主任の柳亭こみち師匠の「音曲噺 文七もっとい」は「文七元結」の元型をとどめていないような噺で、おおいに笑いましたが、元の「文七元結」も聴きたくなるのが人情というものでしょう。
ところで寄席に入る前に、不忍池辯天堂でお参りをし、御神籤をひくと「大吉」であった。
「運勢 大吉
思うようにみえて心にまかせないことがある。思わぬ幸福があるようですが、よく気をつけないとあとになって損をすることがあります。女難あり、女性は金難あり。気をつけることです。
第42番
おみくじ
「言」
天の時は地の利に如かず。
地の利は人の和に如かず。」
ゆめゆめうたがふことなかれ
大手町の日経ホールで「第八十八回大手町落語会」を見ました。見た演目を記します。前座の柳亭市助くんの「まんじゅう怖い」、二つ目の柳亭信楽くんの「俺の夢」、三遊亭わん丈師匠の「壺算」、柳家権太楼師匠の「言い訳座頭」で仲入りとなりました。林家正蔵師匠の「蛸坊主」、主任は柳家さん喬師匠で「芝浜」。
古典落語の三巨匠(柳家権太楼師匠、林家正蔵師匠、柳家さん喬師匠)の揃い踏み。このお三方に、春風亭一朝師匠と五街道雲助師匠もお揃いになりますならば、などと妄想いたします。そんな落語会があろば、是非とも見てみたいと存じます。
柳家権太楼師匠の「言い訳座頭」と柳家さん喬師匠の「芝浜」の噺の時は同じ大晦日。柳家権太楼師匠は枕で柳家さん喬師匠のことをいじりたおしておりました。いわく、柳家さん喬師匠はまだお見えになっていないけど、来たら、年末なんで「芝浜」やりなよ、すると、あの人、三十分かそこらの噺を七十分やるよ、聴いている方はたまったもんじゃない、でお客さん、大爆笑。「言い訳座頭」は滑稽噺でシングルレコードならB面で、「芝浜」は人情噺でA面か。「言い訳座頭」でおおいに笑い、もっとも師走に寄席や落語会でかかることの多い「芝浜」でとてもしんみりとした年の瀬の風情を味わえ、最高でございました。「芝浜」での、とくにおしまいのおかみさんのモノローグに泣けました。
林家正蔵師匠の「蛸坊主」はとても珍しい噺で、関西の落語家の、どうして東京の落語家はこんなに持ちねたが多いのか、笑いにそんなの必要ないじゃないか、というのを聞いたことがありますが、東京の落語家は、落語は笑いと同時に、昔から伝わる文化で、それを絶やしてはいけない、と真摯に考えているのではないかしら? そこから、柳家小三治師匠の無理に笑わせようとするな、が出てくるのかもしれません。ばくは、笑えるという以外にも、落語のそこはかないほのぼのやしみじみも好きなのです。
上野の鈴本演芸場で令和六年十一月下席昼の部を見ました。その前に寛永寺にお参りとかもしましたよ。紅葉のきれいな季節となりました。一年の経つのは速い。毎年毎年、速くなっていくのはどうしたことか?
例のごとく、寄席は見た演目を書き留めます。前座の桂枝平くんの「浮世根問」、二つ目の春風亭いっ休くんの「子ほめ」、林家楽一師匠の紙切り、二つ目の春風亭貫いちくんの「元犬」、林家正蔵師匠の「おすわどん」、笑組のお二人の漫才、蝶花楼桃花師匠の「転失気」、三遊亭圓歌師匠の「龍馬伝」、めおと楽団ジキジキのお二人の音曲漫才、林家さん喬師匠の「夢の酒」で仲入りとなりました。ストレート松浦さんのジャグリング、鈴々舎馬風師匠の「楽屋外伝」、春風亭一之輔師匠の「めがね泥」、ロケット団のお二人の漫才、主任は橘家圓太郎師匠で「火焔太鼓」でした。
林家さん喬師匠の「夢の酒」でぼくはすごい経験をしてしまいました。それは、半分、気持ちよく、うとうとと寝入りながら、笑みを浮かべ、そして、笑ってもしまっていたのです。気持ちよかった。蝶花楼桃花師匠の「転失気」のほのぼの感もよかったね。年末近くなり、橘家圓太郎師匠の名作の古典落語「火焔太鼓」では爆笑につぐ爆笑な連続でごさいました。寄席はパラダイスですなー。
新宿末廣亭で令和六年十一月中席昼の部です。見た演目を書き出してみます。前座の柳家小じかくんの「寿限無」、二つ目の柳家小はぜくんの「饅頭怖い」、二つ目の春風亭貫いちくんの「スパイダーマン」、おしどりのお二人の漫才、鈴々舎馬るこ師匠の「東北の宿」、古今亭菊志ん師匠の「短命」、伊藤夢葉さんの手品、金原亭世之介「宮戸川」、林家しん平師匠の漫談、立花家橘之助師匠の三味線弾きの唄いの浮世節、古今亭菊春師匠の「蛙茶番」、林家正蔵師匠の「ぞろぞろ」で仲入りとなりました。桂やまと師匠の「近日息子」、風藤松原のお二人の漫才、柳亭燕路師匠の「鹿政談」、柳家小里ん師匠の「真田小僧」、翁家社中のお二人の大神楽、主任は柳家三三師匠で「締め込み」でした。
今日は仲入りまで、珍しくも外国の方、ドイツ人のカップルがお見えになっておりました。言葉さえ分かれば落語は境界を楽々と越えていけるのではないかしら? きっとそうだ。この海の向こうからのカップルに大爆笑の連続の主任の柳家三三師匠の「締め込み」までいてほしかった。境界線を越える寄席はパラダイスですな。
国立能楽堂で能楽を鑑賞しました。
狂言は「寝音曲」。唄をうたうことの得意な太郎冠者にうたってくれと頼むと、酒を飲ますとうたおうといい、酒を飲んでうたうけれど、じきに眠くなり、眠りながらうたいだす。唄をたのんだ主人は喜び、もっとうたってくれと頼むが、太郎冠者は忘れたと逃げていく。おおらかな滑稽に会場中が笑います。
能の「蝉丸」は、盲目の琵琶の名手の皇太子の蝉丸が醍醐天皇に捨てられ、藁屋根の小屋で暮らし、逆さ髪により狂女となった皇女である逆髪が、たまたまあずま屋から琵琶の音を聞き、ひさしぶりの兄弟の逢瀬となり、また別れるという哀しい曲でありました。兄弟の出会いと別れにぼくの胸はゆさぶられる。ちなみにこの曲は皇室への不敬とされ、戦時中は上演禁止にもなったそうなのです。
今日は後ろの方の四分の一ほどが課外授業か何かの女子高校生で占められていた。能の後、若い声で「やばいよ」とか「途中で寝れなくなったよ」などの言葉が聞こえる。多分、先生から「退屈だったら寝ていいんだよ」といわれていたのだろう。能が終わり、能楽師も去り、静まった舞台にまばらな拍手。能では余韻にひたるために拍手はしなくても礼儀にかなっているとのこと。ふと後ろを振り返ると、今を生きるたくさんの制服を着た女子が眼に涙をためているようなのです。「蝉丸」はセンシティブな若人にも強烈に感動的な何かであったらしいのです。この国立能楽堂で外国の人が涙をためている姿もたくさん見ました。能楽はどの世界の人々、どの世代の人々にも通じる、日本が世界に誇る舞台芸術なのです。
浅草演芸ホールで令和六年十一月上席昼の部を見ました。演芸の前にいつも通りに浅草寺でお参りをし、御神籤をひくと大吉でごさいました。
「第八 大吉
勿頭中見尾
(づちゅうにびをみることなかれ)
分華須得理
(ぶんくわすべからくりをうべし)
禾刀自偶然
(くわとうおのづからぐうぜん)
當遇非常喜
(まさにひとようのよろこびにあふべし)
頭の中で失敗や結末を恐れることなく、どうどうと目標達成に努力しましょう。
文学にも武道にも真の心を得られ、充実した気持ちとなるでしょう。
かまを用いて稲刈りをするように、実りを得て幸せが自然と来るでしょう。
心正しく、道を守れば幸せとなりましょう。」
ゆめゆめうたがふことなかれ
閑話休題、例のごとく見た演目を書き出してみます。前座の隅田川わたしくんの「狸の札」、二つ目の春風亭一猿くんの「鶴」、春風亭柳枝師匠の「寄合酒」、立花家あまね師匠の三味線弾きの、唄いの民謡、二つ目の春風亭貫いちくんの「オカルトサークル」、柳家わさび師匠の「動物園」、林家八楽師匠の紙切り、桂三木助師匠の「寿限無」、春風亭百栄師匠の「コンビニ強盗」で一回目の仲入りとなりました。アサダ二世さんの奇術、古今亭文菊師匠の「替り目」、林家木久蔵師匠の「たいこ腹」、おしどりのお二人の漫才、春風亭一朝師匠の「目黒の秋刀魚」、鈴々舎馬風師匠の「楽屋外伝」で二回目の仲入りです。蝶花楼桃花師匠の「桃太郎」、翁家社中のお二人の曲芸、春風亭柳朝師匠の「熊の皮」、橘家圓太郎師匠の「強情灸」、ホンキートンクのお二人の漫才、主任は春風亭三朝師匠の「やかんなめ」でございました。
特に印象に残った演目です。柳家わさび師匠の「動物園」で大爆笑。古今亭文菊師匠の「替り目」もやはりいい。ぼくは文菊師匠の古典落語が好きなのです。江戸の気持ちいい風吹く春風亭一朝師匠の「目黒の秋刀魚」。蝶花楼桃花師匠の「桃太郎」は大胆な改変を加えた噺で、もしかして忖度とかをする今のテレビでは放映されないかましれない部分もあり、面白すぎます。落とし噺は自由だ。春風亭三朝師匠の「やかんなめ」の大爆笑。寄席はパラダイスだなぁ。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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