えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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大熊一夫さんの著した「精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本」を読了した。イタリアとはサッカーとカンツオーネ、もちろんフェリーニの映画はすばらしいし、それから、最古の帝国、ローマの古い歴史、そのようなばかりの国ではなく、もっとも進んだ精神医療の国でもあるのを知った。話は1960年代の初頭にさかのぼる。イタリアから離れるけれど、1963年2月5日の一般教書演説でアメリカのケネディ大統領はこのように述べ、国を挙げて新しい精神保険計画に取り込むことを高らかに宣言する。「精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本」からの引用。

「こういう事態は今まで放置されすぎた。それは、われわれ国民の良心の痛みだった。口にするのもはばかられて、簡単にあとまわしにできて、しかもその解決はほとんど絶望的であった。国家にとって重要な問題であるにもかかわらず、連邦政府は解決を州政府にまかせてきた。これらの病院は職員不足、過剰入院、劣悪居住環境といった点で、恥ずべき状態にあった。ここから逃れ出る唯一の確実な希望の道は死のみであった」

あぁ、未完のいまだにさまざまな希望への問いを投げかけるかのような偉大なアメリカの大統領よ、あなたは知っていたのだろうか、時をほぼ同じくして、イタリアの一人の精神科医が、このように述べて改革の旗を上げ、自ら実践し始める。再び「精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本」からの引用。

「鉄格子や鉄の扉の奥に押し込めることを正当化するような精神状態など、本来ないのだ。精神病者の、ときおりの暴力は、結果である。施設の中での抑圧で引き起こされた人間としての反応である。つまり、それは精神病院が引き起こす病気。精神病院などやめて人間的存在たりうる暖かい状況に置くことができれば、精神病者の暴力などなくなるのだ」

こう言ったフランコ・バザーリアはそのおよそ20年後、イタリアでの精神医療改革の法律の制定を達成しながら、道なかばで、病に倒れ、逝ってしまう。そのフランコ・バザーリアの付けた改革の野火はその次の世代に伝承され、ある時は燃え盛り、ある時は、地下に潜行し、21世紀には、イタリアは治療はあるが精神病院のない社会を実現する。

さて、わが日本は、何周もの周回遅れでやっと始まったような状況なのだけど、それは、小さな明るい希望で、細い水の流れなのだけど、誰もが人間らしく生きれるように、この旧態の岩盤を砕いて欲しい。

この本、イタリアの現代史や社会の勉強にもなりました。ビバ・イタリア。チャオ。






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えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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