えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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上野にある東京芸術大学の美術館で開催されている『大吉原展』を見に行きました。どうしても見たかった展覧会です。

近頃、好きな落語を聴きに寄席によくか通っているのですが、廓噺というジャンルさえあって、例えば、この前に聴いた鈴々舎美馬さんの二つ目昇進披露の公演での吉原を背景にした長講の「文七元結」がすばらしかった。そして、林家つる子師匠の自らの解釈と改作による「紺屋高尾」が、素晴らしいこと、限りなかったのです。

この『大吉原展』には江戸の世のもっともきらびやかな文化の発信地であった吉原遊廓の陽の要素の前提となる「苦界」とも呼ばれた負や陰の部分にも、監修者の江戸時代と文化の研究者である田中優子さんは光を当てるかのようで、素晴らしい。見学しているうちに、ぼくの耳には、林家つる子師匠の「紺屋高尾」の花魁、高尾太夫の「ここにあるものはあたしのものなんか何にもないんだよ」が響いてくるようです。

浮世絵に描かれた遊女や辻村寿三郎さんの花魁の人形を配した吉原のジオラマの素晴らしさ、美しさ。この展覧会で見つけた辻村寿三郎さんの吉原への言葉を引用させてください。

 華の吉原仲の町。
 悲しい女達の住む館ではあるのだけれど、それを悲しく作るのは、あまりに彼女達に惨い。
 女達にその悲しみを忘れてもらいたくて、絢爛に楽しくしてやるのが、
 彼女達のはなむけになるどろうと。
 男達ではなく、女達にだけに楽しんでもらいたい。
 復元ではなく、江戸の女達の心意気である。
 女の艶やかさの誇りなのだ。
 後にも先にも、この狂乱の文化はないだろう。
 人間は、悲しみや苦しみにもにも、華やかにその花を咲かせることができるのだから、ひとの生命とは尊いものである。
 私は、置屋の料理屋で育ったので、こうした苦界の女達への思い入れが、人より強いのかもしれない。
 辛いこと、悲しいこと、苦しいこと、冷酷なようだけれど、それらに耐えて活きているひと達の、なんと美しいことだろう。
 ひとの道に生まれてきて、貧しくても、裕福でいても、美しく活きる姿をみせてこそ、
 生まれてきたことへの、感謝であり、また人間としてのあかしでもあるのです。
 艶めいて、鎮魂の饗宴のさかもりは、先ず吉原の女達から・・・・・・

その技芸に富んだ遊女の生活とその過酷さ。公娼制度の廃止によるアンビバレントな負の部分。いろんなことを感じ、考えさせられます。ここで、この展覧会で知った松尾芭蕉の高弟、宝井其角の一句。

 闇の夜は吉原ばかり月夜哉

この句は、「闇の夜は、吉原ばかり月夜哉」と読んだときと、「闇の夜は吉原ばかり、月夜哉」と読んだときの二つの意味を有しているという。ぼくは歴史の向こうに消え去り、弥陀の本願の岸辺で眠る遊女たちの平穏を祈るばかりです。

それから、三千五百円のすこし値のはる図録もすばらしかった。全オールカラーの大きく分厚い本は吉原研究の集大成のようでもあります。

大吉原展
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えいちゃん
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男性
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S.E.
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音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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