えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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世田谷美術館に『藤原新也・祈り』展を見に行った。

展覧会のはじまりのところの大きな蓮の写真に感激の鳥肌がたつ。ぼくは40年来、藤原さんの写真や文、表現を追い続けけてきたのです。

この前、NHKの「日曜美術館」で藤原新也の特集を放送していて、藤原さんは「目の性善説」というようなことをおっしゃっておられた。目は本来、美しいものを求めており、目はそれを見たいと思っている、というような内容だった。日本の普通の景色から香港や渋谷を舞台にしたニュース的なもの、インドやトルコ、中国、アメリカの放浪の旅、バリ島や沖ノ島まで、すべてが何かしら美しい。そして、ラストのところの展示での言葉は痛切にも、今、日本に撮りたいという景色がなくなってきているということだった。

家に帰り、買ったままなぜかほったらかしにしていた藤原さんの最新の写真集であり、この『藤原新也・祈り』展の図録である『祈り』を見る。そして、読む。ここでもまた圧倒された。その写真集を見ながら、その中の「旅」という文を読みながら、ぼくは、その昔、寺山修司の本か何かで知った、全世界の反抗の発火点となった1968年の五月革命のフランスのパリのナンテール大学にあったという落書きの言葉を思い出していた。

「敷石の下は砂浜だ」

まったくその通り。世界は騒然として再び敷石ははがされるのかもしれない。そうでなくとも、いつか敷石は朽ちるだろう。世界に美しい何かが残ることを祈るのみ。
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相模原市の牧原の福寿院での阿字観の会に行って参りました。




阿字観は勝手に行うと危険だといわれており、ちゃんと習いたかったのです。福寿院で若いお坊様に真言宗の正しい阿字観を教えていただけました。1時間の会のうち、瞑想の時間が正味5分間で前後に長い準備と後始末の時間があり、お坊様は、阿字観の観想をすべて、ここ、道場に置いていきなさい、と指導されます。

会の前に里山の集落を散策し、会では半袈裟を組んだ足も痛くならなかったし、いい時間でした。
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コゴナダ監督の『アフター・ヤン』を見ました。

近未来のある時、ベイビーシッターとして家族の一員となっていたロボットもしくはアンドロイドが故障で動かなくなり、調べているうちに、そのロボットには一日に数秒間だけ、記憶を動画ファイル、フォログラフィのファイルとして記録を残す機能が備わっていて、その記録には家族の大切な時間や謎の知らない女性が移されていて、というようなストーリーでした。

コゴナダ監督は小津安二郎監督を最も敬愛している、ということで、とても静かな映画で、ときおり眠くなりながらも、そのアーティスティックな世界に惹きつけられてしまっていました。

何度も、何度も劇中で使われる"I want to be"という歌詞で始まるとても印象的でかっこいい曲があって、エンドロールを見ていると、Takeshi Kobayashi"のクレジットが出てきてびっくりしてしまう。後から調べてみると、ぼくも過去に見たことのあった岩井俊二監督の『リリー・シュシュのすべて』の挿入歌のリメイクなのでした。テーマ曲は坂本龍一さんでそれももちろん素晴らしい。

たくさんの動画ファイルの記録されているところが宇宙のようで、ぼくは、過去から未来までの世界のすべてがアーカイブされているというゼロ・ポイント・フィールドを妄想してしまう。小津安二郎の映画のように「家族」ということがこの映画大きなテーマで、そこに老子などの東洋思想が暗喩としてちりばめられている。家族の映画を撮りつづけた小津安二郎の墓標は「無」の一字だそうだ。禅? 近代に遅れてやってきた東洋の感受性と思考は出口の見つからない世界へのよき一撃なのであろうか?

ロボットと友だちであるミカを演じる子役のマレア・エマ・チャンドラウィジャヤが天才的に素晴らしくて魅力的。子役が素晴らしいというのは、ぼくは岩井俊二さんの映画を思い出します。

小津安二郎がこの『アフター・ヤン』を見たら、どう思うでしょう? にやりと微笑むのではないかしら?

映画『アフター・ヤン』公式サイト
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『年報・死刑廃止2022 加藤智大さんの死刑執行』を読む。

この『年報・死刑廃止2022』を読むと、死刑制度がいかに問題が多くあり、しかも、日本の刑事事件で度々の免罪事件が発生もしていて、さらには再審請求中の死刑執行も繰り返し行われ、この前、読んだ『死刑について』で平野啓一郎さんが書かれているこのようなことも十分、理解できるような気がした。欧米の文学には加害者側の視点ばかりで、むしろ、それへのアンチテーゼとして被害者側に共感しながら『決壊』という小説を書いた平野さんの文の引用。

「ところが、この小説を書き終わってみると、自分でも意外な心境の変化がありました。これはまったく意図していなかったのですが、とうとう、心の底から死刑制度に対して嫌気がさしていました。」

ぼく自身は、人を殺したいと思ったことはなく、だれにであれ、自分の命を奪われたくはなく、当たり前に、それは国家であってもだ。と同時に「殺した人を殺す」という倫理のパラドックスについても考え込んでしまう。けれど、「殺すな」は絶対の至上命令であるはずだ。

去年、死刑が執行された加藤智大さんが「死刑囚表現展」に応募した最期のイラストが、手縄を縛られた執行場に連行される女子の絵に「ありがとう」の言葉が添えられていて、胸がふたがる思いです。








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大井町のSPACE428にTracks Of Peaceを見に行った。ハマちゃんとカンチャさんのドラムス・ベース・コンピは今や世界最強だな。かっこよかった!
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平野啓一郎さんの著した『死刑について』を読む。死刑という制度があっていいものなのかどうかの論考で、平野さんはもともと死刑について存置派であったのが、今は廃止論者であるという。自身の小説『決壊』の取材やヨーロッパの友人たちとのコミュニケーションによって、廃止の側に立つようになった。ぼくは、この前、『死刑囚 表現展2022』という展覧会を見てから、死刑という制度に以前よりもますます懐疑の思いを強くし、この本を読んで、その懐疑はさらに強く、強くなった。死刑という制度が、殺されたものも含む死者への、その死への冒涜でもあるのではなかろうか、という思いすら、強くするのであった。ややこしいこととは知りながら、人権に制限などなく、この問題が新たに国民の議論として立ちのぼってくることを待ち望んでもいます。







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銀座にある観世能楽堂に『能 山姥 長杖の伝』を見に行きました。開演を椅子に座って待っていると、シテって何かしらね、という隣からひそひそ話の声が聞こえてきます。ぼくは主人公のことです、とは答えませんでした。見始めればすぐに分かりますからね。村上湛さんの解説の後、能が始まります。村上さんはこうおっしゃます。

「「山めぐり」とは何か…見るものを深い思念に誘う劇的主題である」

観世能楽堂で購入した本『能面の世界』で見市泰男さんは山姥の能面について、こう解説しておられる。

「能の山姥は風貌怪異だが、化物ではなく、深山幽谷の主であり宇宙の象徴ともいえる超自然的な存在である」

『能面の世界』に載せられていた昭和の文豪、野上弥生子の能についての言葉。

「あらゆるものが有って、しかも無にまで及んでいる能面は、その本質をなにより明らかに示すものといふべきである」

なるほどです。ぼくは日本の伝統と美の劇と音楽を堪能しました。能は素晴らしい総合芸術です。








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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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