えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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森達也監督の『福田村事件』を見ました。『A』や『A2』などのオーム真理教の信者の事件後を追ったドキュメンタリー映画を作ってきた森監督の初のドキュメンタリーではないドラマは、実際に千葉の寒村で起こった事件を映画化したもの。

「序破急」の物語の「序」では長いある意味では平穏な村での人々の生活が描かれ、「破」の関東大震災が起こり、「急」の村ぐるみの陰惨な事件に流れ込む。「序」での描写の長さは冗長というより、「急」での事件を単なるスペルタスクせずに、問題提起とするための長さであるとぼくは感じた。柄本明さん演じる村人などのこの百年前の日本の村の貧しさにぼくは驚いてもしまう。なんというか、今は亡き今村昌平監督的世界でもあった。

映画を見終わった後の重たさは、見た人のすべての観客がうち沈むようであるけれども、それでも見てよかったと思う。どの出演者の演技も素晴らしく、特に悪いもの役かとも思われる在京軍人を演じる水道橋博士さんや新聞編集長役のピエール瀧さんのリアルさ。そして、被差別部落の頭目演じる永山瑛太さんがかっこいい。

たかだか百年前の事件である。二つのラストシーンの美しさとそのメッセージ。パンフレットを読みながらこう思う。ぼくたちは百年前に殺された人たち、生き残った人たち、殺してしまった人たちに今こそ会わなくてはならないのではなかろうか?

映画『福田村事件』公式サイト
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昼は浅草の演芸ホールで寄席見物。



主任は柳屋わさび師匠の怪談もの「腕食い」。怖い。春風亭一朝師匠の「古手買い」やら春風亭一之輔師匠の「牛ほめ」が楽しい。寄席ってのは本当にリラックスできて、笑えて、いいところだなぁ。


夜は錦糸町ですみだ錦糸町河内音頭大音頭大会。




四年ぶりの錦糸町での河内音頭大会で大にぎわい。ぼくも見よう見まねで、おもいだして、踊ってしまいます。響き渡る爆音が気持ちいい。祭りのあと、過ぎ行く夏がちと寂しい。
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山梨県の忍野へ釣りの旅に行きました。



時おり小雨の降る中、これは釣れる天気だなどと高を括っていたのですが、一日目はボーズ(一匹も釣れないこと)。泊まった宿でどうしたものかと思いつつ、テンカラ釣りで、この忍野でホイホイ釣っている人のムービーを発見。二日目は西洋の毛鉤釣りのフライフィッシングではなく、日本古来からある毛鉤釣りのテンカラ釣りで行くことに決めました。さて、二日目、今日はいい天気。やっぱり釣れず、最近よく俳句を作っているぼくは一句できてしまいましたよ。

夏越えの鱒を釣らずに草を釣る

草ボーボーの忍野で下手なぼくは毛鉤を草によくからめるんです。俳句は映画監督、小津安二郎もよく読んでいたそうです。などと発句したら立て続けに二匹釣れて、今回の釣りの旅のボーズを免れました。よかった、よかった。
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佐野元春のコンサートを見に、東京フォーラムのホールAに行きました。最新アルバムからの曲を連発して演奏し、バックのスクリーンもビジュアルが素晴らしく、今の時代のメッセージはビシビシと届きます。バックのCOYOTE BANDも絶好調。すべて、かっこいい。

2回目のアンコールで佐野元春はこんなことをMCしておりました。「大瀧詠一もパンタも清志郎も坂本龍一ももういない。なんていうの、ひとりぼっちって感じ。でもまだやりつづけるから、一緒にこの歌を歌ってくれ」と言って、歌い始めた「サムデイ」。会場中が懐かしさではない何かで唱和する。最新アルバム『今、何処』は最高だった。一緒に行ったぼくの友だちは、「佐野元春はぶれないね」と言っておりました。ますます嫌な時代になって、ロックしつづけるしかないぜ。
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平山周吉さんの著した『満州国グランドホテル』を読む。前の大戦での中国での戦争において日本が「王道楽土」、「五族協和」を謳い、でっち上げ的に作り上げた満州国を、グランドホテルに見立て、そこに出入りした、さまざまな人たちを一人一回、一章で取り上げ、全三十六章、全565頁の大著であった。

その冷静な筆致に満州国に出入りした魑魅魍魎のような人たちがくっきりと浮かび上がりかのようで素晴らしい。三十六人の人以外の超有名人、甘粕正彦、岸信介、李香蘭などは何度もこの本に登場する。

ちなみに甘粕正彦はベルナルド・ベルトリッチ監督の『ラストエンペラー』で坂本龍一に演じられたけれど、この映画の描く満州国はそのさまざまな細部においてフィクションばかりの嘘ばかりなのを思い出す。坂本龍一さんはベルトリッチ監督の甘粕正彦の割腹自殺の最期を抗議し、ピストル自殺に改めさせたが、それすらフィクションで、史実は青酸カリの服毒自殺であった。この『満州国グランドホテル』や山口淑子(李香蘭)の著した『李香蘭 私の半生』によれば、天皇が敗戦を宣言するその前日か何かに満洲映画協会の社員が一同集められ、甘粕は敗戦を明らかにし、日本女子はその貞節を最後まで貫かなくてはならないと言い、全女子社員に小さな宝石箱が配られたという。その集会が終わり、宝石箱を開けると、中には致死量の青酸カリが入っていたが、それを服用し、自殺する人はいなかった。事実はベルトリッチの考えたフィクションよりも奇なり。

さて、『満州国グランドホテル』に戻り、最終章の「第三十六回 「北海道人」島木健作が持ち帰った一匹の「満州土産」」では柄谷行人の批評文も引用しつつ、満州国に批判的に迫ろうとしている。あまりに鋭い柄谷さんの文を引用する。

「この点にかんして参照すべきものは、日本と並行して帝国主義に転じたアメリカの植民地政策である。それは、いわば、被統治者を「潜在的なアメリカ人」とみなすもので、英仏のような植民地政策とは異質である。前者においては、それが帝国主義的支配であることが意識されない。彼らは現に支配しながら、「自由」を教えているかのように思っている。それは今日にいたるまで同じである。そして、その起源は、インディアンの抹殺と同化を「愛」と見なしたピューリタニズムにあるといってよい。その意味で、日本の植民地統治に見られる「愛」の思想は、国学的なナショナリズムとは別のものであり、実はアメリカから来ていると、私は思う」

さて、この『満州国グランドホテル』に登場するのは軍人、官僚、映画人(笠智衆、原節子、小暮美千代)、文学者(小林秀雄)、小説家、言論人(石橋湛山)、右翼活動家(世界的なクラシック音楽の指揮者小澤征爾さんの父)などエリート層ばかりで、一般の民間人、開拓民、庶民は後景の遠のいている。そのことについて、平山周吉さんは深く後悔しているらしいことを「あとがき」で知った。第五回の八木義徳のに出てくる、八木の聞いた満鉄に揺られながらの夫婦の言葉「広うおまんな、広うおまんな」が常に平山さんの胸に、その後、その夫婦はどうなったかのかという思いとともに繰り返されたという。その声にまだ十代の若さのぼくの亡き父の「広いのう、広いのう」という九州弁が重なるかのようだ。敗戦後、生死をさまよう辛酸をなめて帰国したらしいが、父がそのことを詳しく語ることはなかった。本を閉じる。






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渋谷のWWWへ"SUKIYAKI TOKYO"というイベントを見に行きました。

Frente Cumbieroはコロンビアの最先端のエレクトロニック・クンビア・バンド。ハードエッジな振り切れたリズムが心地よく、かっこいい。ステージのバックのグラフィックも面白くて素敵。クンビアとはコロンビアにある民謡のような演歌のような河内音頭のような昔からあるポップ・ミュージックで、このブラジル、アルゼンチンに次ぐ南米三番目の大きな国の音楽は南米中の音楽に影響を与えているらしい。2018年のフジロックに来ているということだけど、このようなバンドの来日公演が日本で見られる日が来るとは思っていなかった。リズムは世界をつなぐ。

迎える日本からは民謡クルセイダーズ。日本の民謡にラテンのリズムをフュージョンした安定のグルーブ。そして、Frente Cumbieroと民謡クルセイダーズの混成バンド、民謡クンビエロの圧巻のリズムに待望の新曲。会場中が踊りまくり、熱狂の渦となり、満月の一日前の夜はふけていきました。
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昼は相模大野の相模女子大学グリーンホールで「相模原薪能」、夜は新宿末廣亭で落語や色物を楽しみました。




能は狂言と仕舞が能と組み合わさって演じられるのだけれど、本日の狂言は「附子(ぶす)」でした。ぼくにも分かりやすく、面白く、笑ってしまいます。この「附子」は落語の「饅頭こわい」の原型だろうか、などと思ってしまう。能は「土蜘(つちぐも)」が演目で、それは素晴らしいものでありました。世阿弥は日本が生んだ芸術の天才だと思う。それから最近、小津安二郎の映画をたくさん見たのだけれども、小津安二郎の映画はどこか能を思わせる何かがあると思う。能が演じられたその死者やものの怪を悼む物語の後、ひっそりと舞台に佇む「老松」の絵すら何か余韻を税込み、吐き出し、息をしているかのような、神秘的な美しさにぼくは魅了されてしまいます。

夜の寄席のお目当ては林家正雀師匠が林家彦六から直伝の怪談咄の落語を長講で行うという。その前に江戸家猫八師匠の物まねも見ました。今の猫八師匠は三代目で一代目、二代目の猫八の顔を思い浮かべてしまい、過ぎ去った自らの齢もなんだか思い浮かべてしまいつつ、動物の鳴き真似とそのはなしっぷりに笑ってしまいます。そして、ついに主任、林家正雀師匠は「真景累ヶ淵」を話してくれましたが、末廣亭は日本で一番古い現存している寄席小屋で、本当に幽霊が見えてしまうのじゃないかと、ぼくは辺りを見回してしまいます。怖いよ。話の後、彦六は怪談の後はいつも舞いを踊っていたと正雀師匠も舞いを披露。その舞いは邪気を払うというより、無念を呑んで死んだ女たちへのせめてもの慰めの愛のようなものの気がして、咄家さんのやさしさを感じてしまいました。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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