えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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震災から一年経とうとしている今、「世界が感嘆する日本人」という本を読んだ。さまざまな海外メディアの特派員が震災後の日本の庶民の立ち振舞いを伝えていて、それは感嘆され、賞賛され、敬意を持って報道されていたりする。そのようなことがこの本にはまとめられてあった。

日本人は昔から地震とともに生きてきた。まさに、日本列島は地震の巣窟のような場所に位置していて、そのことが日本人の心に影響しないわけわなく、ぼくたちの古くからの心が持つ習慣、日本人のエートスは地震ということが古層に常に横たわっているのは想像にかたくない。イギリスでは解説委員が、この日本の震災に際し、伊勢神宮がなぜ建て替えられ続けられているのかを考察している、そのような長文の論説が新聞にのったそうだ。この本にもそのほんの一部が抜粋されているけれど、全文を読んでみたい。

この本には今の海外特派員ではなく、過去の日本を訪れた外国人の見聞録も紹介されているのだけど、豊臣秀吉が治世をしていた時代に宣教師として訪日したポルトガル人のジョアン・ロドリゲスの言葉を引用しよう。

「日本人は極めて純真であり、儀式や外面的な華麗さを好む。また、秩序立てられた国家における礼節ある人間生活に必要なあらゆる種類の学問、芸術を持っている」

「彼らはみな非常に辛抱強く、餓えや寒さ、過酷な労働などの苦しみを耐えることに慣れている。庶民も貴族も非常に貧しいが、それを恥ずかしいこととはみなされない。そう考える節もない。なぜなら彼らは持っているわずかばかりのもので、正直に生き、礼節を重んじているからだ」

美しいではないですか。

明日、震災から一年目、三月十一日の夜、小田急相模原のスクールオブロック(http://blog.goo.ne.jp/ryusisekine)でゆっくりだけど、前に歩いていくような歌も歌いたいと思う。
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なんか世間ではSam Cookeブームらしい。豪華なボックスセットが発売されたり、雑誌の特集やら、アルバムの再発でそう感じるのだが、さて、Sam Cookeこそ、ぼくがもっとも好きなシンガーなのであります。

このCookeブームに初めて何かを聞きたいと思った人に何を薦めればよいのだろうかと思案し、あまりにも直球で王道な選択でもあるのですが、"the BEST of SAM COOKE"だろうと思った次第です。ぼくにとっては耳にたこができるほど、何度でも聴いた曲と歌が並んでおりますが、ラストの"Bring It On Home To Me"に向かってソウル・ミュージックの発明に突き進むSamの短いが濃いい音楽人生が通り過ぎていくかのようです。なんと、ガーシュインの"Summertime"以外は、このアルバムに収録されている全ての曲がSamのオリジナルであることにも気づきもした。元祖自分で作って歌うシンガーでもあったのだね。

ポップミュージックからゴスペルまで、ぼくはSamが歌えば何でも好きなのですが、それは、Samの歌声にこの二人といないシンガーの生まれ故郷であるところのミシシッピの真夜中にブルーズを歌う梟のような清冽でやさしい何かを感じるからかもしれない。









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三菱一号館美術館で開催されている「ルドンとその周辺 - 夢見る世紀末展」に見に行った。今日がラストの日で、かなり混んでいました。19世紀から20世紀にかけて生きたこの異端の画家がこれほど人気があるのが意外。

ルドンは19世紀末、木炭を使いモノクロームで描いた不思議で不気味な、今風にいえばビザールな、シュール・レアリズムの祖のような絵で一般的には有名なのですが、20世紀をむかえようとするころ、突然、モノクロームでなく色鮮やかなカラーの絵を描き始める。その人、オディロン・ルドンに何があったのかというと、齢五十歳にして、妻との間に二人目の子どもを授かる。二年前に授かった一人目は半月で亡くなっていた。そのまったく同じ人が描いたとは思えない、繊細で鮮やかな花々が咲き誇る絵を見ると、何かふっきれたかのような新しい画家が誕生したように思えるのだった。けれど、その花の絵も、何か夢の中で咲いているようで、悪夢が夢に変化するかのような化学反応が彼の中で起こったのだろうか。

三菱一号館美術館が新たに所蔵した「グラン・ブーケ(大きな花束)」というとても大きなパステル画も見た。高みの美しさに、これがルドンの到達点であり悟りでもあるような気がしたのだった。
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スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作「戦火の馬」を橋本の映画館「ムビックス」で見た。映画館の大きな画面とサラウンドの音響システムで見るべき映画らしい本物の映画であった。スピルバーグが最も尊敬する映画監督が、確か、日本の誇る黒澤明であったことを思い出した。「戦火の馬」は叙事詩的で大いなるヒューマニティに溢れて、そんなことからも黒澤映画を思い出したのであったと思う。

この映画、原題を"War Horse"という。直訳すれば、「戦馬」。青年と馬の友情物語なのかと、見はじめたら、途中から、青年はスクリーンから姿を消し、ひたすらある一頭の馬の第一次世界大戦の戦前と戦中と戦後の人生を追い続けて、ある一頭の馬が描かれる。その一頭の馬は騎馬兵の戦馬として苦役を課され、さまざまな人や事件と出会う。果たして、育ててくれた、戦争によって引き裂かれた、あの青年との再会はあるのかは、映画をご覧下さい。三時間ほどがあっという間に過ぎていきます。

動物が走っている姿って美しくて、好きだなぁ。ラスト・シーンはこの前に見た新藤兼人監督の「一枚のハガキ」のラスト・シーンと共通性があるのかもしれないと感じた。ミレーか何かの一枚の美しい絵画のようだ。死体が積み重なっていく戦争シーンはリアル。起伏に富んだ物語の中で人間が本来持つの深い善性を思い起こさせる。スピルバーグ、最高です。
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登場する主人公は、レスター・ヤング、セロニアス・モンク、バド・パウエル、ベン・ウェブスター、チャールズ・ミンガス、チェト・ベイカー、アート・ペパー。ジャズと呼ばれる音楽の演奏者の人生のシーンを切り取って英国の作家、ジェフ・ダイヤーは短編集「バット・ビューティフル」を編んだのです。その本の翻訳者は日本の世界的作家、村上春樹。時間が錯綜し、悪夢が良き夢となるのを描いているかのようなこの小説は詩的で素敵でした。ジェフの自由な文体の文章はジャズの自由をミュージシャンの人生の力をかりて追い求める。レスター・ヤングを主人公にした「楽器が宙を飛びたいと望むなら」から一節を引用します。

-もう死んでしまっている。あっちからここまで光がやって来るのにとんでもなく時間がかかるから、光が届いた頃には、星なんてみんななくなっている。燃え尽きている。お前が見てるのはもう存在していないものなんだよ、レスター。現実にそこにあるものは、お前にはまだ見られないのさ。








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内田樹さんの最新の著である「呪いの時代」を読んだ。前著「日本辺境論」もおもしろかったけれど、この「呪いの時代」はその前著を更に発展させて、震災と原発事故を踏まえ、交換経済から贈与経済を説き、他者への、そして、自分への呪いから解き放たれようというポジティブなメッセージに共感した。例えば、この著にはユダヤ神学者のエマニュエル・レヴィナスについて言及しているのだけど、それを引用させてもらいます。

「神が人間を創造したのだとすれば、人間は神の威徳と全能にふさわしい存在でなければならない。「神の威徳と全能にふさわしい存在」とはどのようなものでしょうか。これについてはエマニュエル・レヴィナスがきっぱりとこう書いています。「神の支援抜きで、地上に公正で平和な社会を構築しうるもの」、それが神が創造するだけの甲斐のある人間、神でなければ創造できない人間です」

なんというポジティブな言葉なのだろう。このレヴィナスの言葉は、ナチスの虐殺によって精神的にも壊滅状態にあった、第2次世界大戦後のヨーロッパのユダヤ人たちを強く勇気づけ、方向づけた、という。

ぼくはこの本を読んで、ローカルなものがいろんな世界で復権することによって、世界は一つになれるのではないかなどと何故か思いをめぐらした。それがもう一つのぼくたちのオルタナティブのグローバリゼーションなのかもしれない。


内田樹さんのホームページ「内田樹の研究室」
http://blog.tatsuru.com/









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旅先のコンビニで漫画を買って、宿で読みました。いつもの西岸良平の「三丁目の夕日'64映画化特別編」です。先ほど公開された映画「ALWAYS三丁目の夕日'64」の元となったようなストーリー、12話が収められていて、特に第10話の「潮騒」が良かったなぁ。ぼくたちはこの「潮騒」のような物語を取り戻さなければいけないのではなかろうか。中表紙に「あの頃、みんな上を見ていました。」という言葉があった。もうあの頃に戻れない今、あの頃とは違う思いで、また上を見たいな。

西岸良平の「三丁目の夕日」は良い。これを未来のためのノスタルジーとぼくは呼びます。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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