えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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湯浅学さんの著した「ボブ・ディラン ロックの精霊」を読了した。ぼくは湯浅学さんの大ファンでして、その彼がなんと岩波新書の赤本に、ボブ・ディランの音楽人生について書き起こした入門篇のような一冊なのでした。ウッディー・ガスリーに憧れた異端のフォーク・シンガーとして出発し、今では毎年、ノーベル賞を噂される偉大な芸術家の全貌がその人生に即して平易に書かれていて、ボブ・ディランについて何か読みたいと思ったならば、まず初めにお薦めできるような新書です。さて、ボブ・ディランの音楽とは何なのだろうと考え、この本からボブ・ディラン自身の言葉を引用しよう。

「わたしが歌うフォークソングには、気楽なところはない。
わたし自身にとっても、歌は軽い娯楽ではなく、もっと重要なものだった。歌とは、異なる現実の認識へ―異なる国、自由で公平な国へ―導いてくれる道標だった」

あくまでもぼくの極私的に好きなボブ・ディランの3枚のアルバムを紹介し、祝、来日。

The Freewheelin'

Live 1966

Dylan & the Dead









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ケン・ローチ監督の「天使の分け前」をレンタルで見た。原題を"Angel's Share"を訳すと「天使の分け前」というより「天使の取り分」と言った方がぴったり来るような気がした。"Angel's Share"とは、ウィスキーを木の樽で熟成させる過程で毎年2%づつその量が減っていくのだそうだけど、その2%が天使の分だという意味らしい。この映画で描かれているのはイギリスのワーキング・クラスよりもさらに低いアンダー・クラスで生きる若い人たちで、これが、今のイギルスのリアルなのだろう。それは、イギリスというよりもブリティッシュのリアルと言った方がふさわしい。この映画で描かれた彼らが、あたかも天使であるかのように写りもし、たかが2%ぐらいの取り分ぐらいよこせよ、と歌っているかのようなのだ。その歌は、ブリティッシュのロックンロール・ミュージックの源流として、ジョン・レノン、ジョン・ライドン、リアム・ギャラガー、ノエル・ギャラガー、ジェイク・バグへと通底している歌らしいのだ。さて、映画にもどれば、けれん味のない展開についには爽やかさすら感じてしまいました。英国映画界の至宝のようなベテラン監督の快作です。

http://tenshi-wakemae.jp/
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スティーヴン・スピルバーグ監督の映画「リンカーン」をレンタルのブルーレイ・ディスクで見た。

19世紀のアメリカとその地の南北戦争、奴隷制廃止のために奔走するアメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーンが描かれていた。こんな風に何か歴史に残るような良きこと、善なることが成し遂げられることもあるのだな、と思った。こんなヒューマニティあふれるリンカーンとこんなアメリカは好きです。

室内劇に終始する映画なのだけど、ディテイルにこだわるスピルバーグ監督の演出の手腕とリンカーンを演じるダニエル・デイ=ルイスが素晴らしく迫真で、本当にリンカーンが動く映像の向こうにいて、19世紀のアメリカがそこにあるかのようだ。そして、歴史の勉強にもなります。

http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/
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最近、本をよく読むなぁ。昨日、読了したのはいとうせいこうさんの「想像ラジオ」につづく最新刊「存在しない小説」。

世界各地の存在しない作家の存在しない六編の小説を訳し、いとうせいこうさんが編集し、一篇一篇に解説がついているという本なのだが、それらのすべてはいとうせいこうさんが著している、というややこしい成り立ちの本であった。柄谷行人かリービ英雄か誰か、この本の一つの読み解きをやさしくしてくれまいか?

世界各地を舞台にしているからか、昔見たジム・ジャームッシュ監督の短編映画集「ナイト・オン・ザ・プラネット」という映画を思い出した。六編の全ての文体を使い分けつつ、「存在しない小説」というテーマを押し出してくるいとうせいこうは天才的なところがあるな。

ぼくの一番の好きなのは「あたし」と題された、クアラルンプールでチャイナタウンにまぎれこんだ少女の一人称で書かれたヒューマニティあふれる一篇なのだけれど、その他の五篇にも現代の小説ならでは想像力が横溢していて、おもしろい。








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2014年2月1日の小田急相模原スクールオブロックでかけた曲のセットリストです。一部、訳詞を載せました。

1. 村八分:どこへ行く

2. Papa Lightfoot:Wine, Woman, Whiskey

3. Jackie Brenston:Rocket "88"

4. Louis Jordan:Five Guys Named Moe

5. Dr John:Mama Roux

6. Bob Marley And the Wailers:Put It On

7. Nick Lowe:I Love the Sound Of Breaking Glass

8. The Clash:White Riot

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

黒人たちはいろんな問題をかかえているけれど
道の石を投げるのに躊躇はしない
白人は学校に通わされて
ばかになることを教わっている

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

どいつも言われたことをやっているだけで
誰も刑務所には行きたかねえのよ

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

なんでも買うことのできる金持ちたちがいて
おれたちは臆病でなんにもやってみようとはしない

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

おまえは命令する側か、される側か
後退したいのか、前進するのか

白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で
白い暴動、白い暴動を起こしたい
白い暴動、それはおれ自身の暴動で

9. Simon And Garfunkle:I Am Rock

10. The Young Rascals:Groovin'

11. The Beatles:Yes It Is

12. The Rolling Stones:Congraturations

13. RC Succession:わかってもらえるさ

14. The Ronettes:Be My Baby

15. Phyllis Dillon:Perfidia

16. Carlton And the Shoes:Love Me Forever

17. Heptones:Pretty Looks Isn't All

18. Little Milton:We're Gonna Make It

家賃を払う1セントがなくても
おれたちはうまくやっていける
缶詰の豆を食う毎日でも
おれたちはうまくやっていける
仕事が見つからず
福祉施設の列に立つおれたちでも
おれにはおまえの愛があるし、おれはおまえを愛している
だからおれたちはうまくやっていける きっとそうさ

自分の家と呼べるものがなくたって
おれたちはうまくやっていける
ひとりぼっちで戦わなきゃならなくったって
おれたちはうまくやっていける
団結が平和を運んでくれるんだ
くよくよばかりもしてられないさ
おれにはおまえの愛があるし、おれはおまえを愛している
だからおれたちはうまくやっていける きっとそうさ

車は古びたぽんこつで、借家がどんなに寒くたって
おれたちはうまくやっていける
パンくずを分けあわなくならなくたって
おれたちはうまくやっていける
通りを練り歩きプラカードをかかげよう
耳の聞こえないもの、しゃべれないもの、目の見えないものを助けよ
おれにはおまえの愛があるし、おれはおまえを愛している
だからおれたちはうまくやっていける きっとそうさ

19. Roy Orbison:Blue Bayou

20. Nina Simone:Mood Indigo

21. Lionel Hampton All Stars:Stardust

http://blog.goo.ne.jp/ryusisekine
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フールズのギター弾き、川田良さんが亡くなったという。

喧嘩っ早い人だっという噂だったが、初めてぼくが川田良のギターを聴いたのは高校生の時だった。そのころ、パンク・ロックが好きだったぼくは、どこかからか日本にもパンク・ロックを演奏しているやつらがいるらしいことを知り、西新宿の海賊盤屋さんかどかで手に入れたチラシを握りしめ、ライブに友だちと出かけてみたのだった。小さいバーらしきところにアンプとドラムを並べ、暴力的な音圧でロックを演奏していた3つのバンドは、サイズとスピードと自殺。近所が通報しマッポがうるさいからというわけで、その日は3っ目のバンドの自殺で演奏中止。後で、そのバーがゲイバーというところだたらしいことを知る。その中でサイズかスピードかどちらかで、ギターを弾いていたのが川田さんであった。

今、思い返せば、サイズと自殺は村八分の後継のようなバンドであった。村八分を実際に見たことのある人に言わせると、世界で一等初めのパンクバンドは村八分だそうだ。スピードはラモーンズみたいだったな。革ジャンだし。サイズは伊藤耕が歌っていて、あのころの耕は気さくで健康的なお兄さんであった。自殺のボーカルは化粧をしていて、得体の知れない怖いチンピラって感じだった。そういう人たちを見て、不器用な自分にもロックはできるんじゃないか、と思ったわけ。

そのころからライブハウスによく行くようになって、最もたくさん見たのが川田良がギターを弾いて、伊藤耕がボーカルを取るフールズだった。決まってライブの最後では、お客さんさんがステージに流れ込んで、みんなで"Freedom"とかってわめいて、踊り狂っていた。

川田さん、八丈島の出身で、ロックを演奏しに東京に出てきて、そこで出くわした時代がパンクで、出会ったのが生涯の腐れ縁、ブルーズ・ブラザー、伊藤耕だったってわけか。まるで、ジュニア・ウェルズとバディー・ガイ、ミック・ジャガーとキース・リチャーズみたいだと思っていた。耕ちゃん、別荘から早う出てこいや。待ってます。

あぁ、今夜は川田良さんに心から合掌します。天国からギターをかき鳴らしてください。

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いわゆる在日の今では重鎮の詩人、金時鐘さんの「猪飼野詩集」が岩波文庫で出ているのを本屋で見て、即、買ってしまい読んでいる。「金時鐘」と書いて「キムシジョン」と読むのだけれど、この詩人の詩にブルーズを感じてしまう。この詩集の中の「見えない町」から引用してみます。

「どうだ、来てみないか?
もちろん 標識ってなものはありゃしない
たぐってくるのが 条件だ。
名前など
いつだったか。
寄ってたかって 消しちまった。
それで(猪飼野)は 心のうちさ。
逐われて宿った 意趣ではなく
消されて居直った 呼び名でないんだ。
とりかえようが 塗りつぶそうが
猪飼野は
イカイノさ
鼻がきかにゃ 来りゃせんよ」

ロバート・ジョンソンが歌い、幾世代にも歌い継がれてきたブルーズ・ナンバー「スウィート・ホーム・シカゴ」みたいだな、と思う。

この詩に登場する猪飼野は何であるのかと問いてみる時、ぼくがこの詩人を知ったきっかけである作家、中上健次の言う「路地」ということを思い浮かべてしまう。中上健次の口癖で有名な言葉があって、酔っ払って機嫌のいいときの中上は、路地はどこにでもある、と繰り返し言っていたそうだ。多分、路地は、ロンドンのブライトンにあり、マンハッタンのブルックリンならぬクルックリンにあり、シカゴのウェストサイドにあって、そして、猪飼野もその路地なのだ。

この詩集は、大病からの病み上がりの金時鐘さんが朝鮮総連から裏切り者、畢竟、民族虚無主義者、半組織分子の烙印を押され、猪飼野の地を追われ、結婚したての奥さんとともに引っ越しにつぐ引っ越しの放浪生活のような状態の時に書かれたのだという。その時に絶望の向こう側の詩人の言葉からブルーズマンの歌うブルーズのようなヒューマニティが輝きはじめたのではないかしら。







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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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