えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
世田谷美術館に『民藝 MINGEI — 美は暮らしのなかにある』展を見に行きました。内村鑑三にならっていえば、「民藝」という言葉と概念を打ち立てた柳宗悦は近代以降の柳田國男とならぶ「代表的日本人」だと、ぼくは思のだが、「民藝」とは「民衆的工藝」であり、日常生活で用いられてきた無名の手仕事の品々の美をそのように称するといいます。その「民藝」は柳田國男の「民俗」とならぶ、日本の庶民の心の美しさの証左であるような気もするのです。しかも、柳宗悦亡き後の「民藝」は、その後継者によって世界各国の美の発見にまで広がっていき、日本でもその手仕事は現代にまで伝わっているということも、この展覧会で知りました。その現代ということでいえば、若い人にもっと足をはこんでもらって、日本の美しさを感じてもほしいような、見ることのとても楽しい展覧会でごさいました。
『民藝 MINGEI — 美は暮らしのなかにある』公式サイト
代島治彦監督の『ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ』を見た。早稲田大学構内で過激派の革マル派により川口大三郎さんをリンチのすえ殺害した事件を当時を知る人物のインタビューと再現ドラマによってとらまえようとした映画であった。陰惨な再現ドラマを演出したのは早稲田大生でもあった鴻上尚史さんで、革マル派やそれに異議をとなえる学生を演じたのはオーディションで選ばれた若い俳優たち。琴和さん演ずる一般男子学生とこんなやり取りをする女子学生が無残で痛々しい。
男子学生「関係ないことはないだろう、友達なんだ、返してくれよ。」
女子学生「いい加減にしろ。私たちは革命をやっているんだ。お前たちはその邪魔をするのか。」
男子学生「そんな話じゃないだろう。」
男子学生「友達を返してくれって、ただそれだけなんだよ。」
男子学生「川口を返せよ。」
女子学生「私たちは階級闘争を戦っているんだ。革命に命をかけているんだ。お前たちはそれに刃向かうのか。帰れ。」
川口さんはどこのセクトにも属してはいなかったのだが、凄惨なリンチのすえ、殺された。ウィキペディアで「内ゲバ」と調べると、そのように殺されたものたちは100人以上にも上る。その死者たちは誰かに一人一人記憶されるべきだし、ただ、ぼくは冥福を祈るばかり。
『ゲバルトの杜 ~彼は早稲田で死んだ~』公式ホームページ
鈴本演芸場の令和六年五月下席昼の部に参りました。見た演目を書き出してみます。前座の柳家ひろ馬くんの「浮世根問」、二つ目の古今亭佑輔くんの「たらちね」、鏡味仙志郎師匠と仙成師匠の太神楽曲芸、橘家圓十郎師匠の「目薬」、金原亭駒平師匠の「強情灸」、ロケット団の漫才、柳亭一馬師匠の「やぶ医者」、墨田川馬右師匠の「元犬」、のだゆきさんの鍵盤ハーモニカ漫談、むかし家今松師匠の「家見舞」、古今亭菊之丞師匠の「棒鱈」でお仲入りとなりました。林家楽一師匠の紙切り、九月下席より真打となり古今亭伝輔と名を改める古今亭始くんの「粗忽長屋」、林家さん喬師匠の「替わり目」、ダーク広和さんの奇術、主任ほ古今亭志ん輔師匠の「お若伊之助」で幕が下がりました。
橘家圓十郎師匠の「目薬」や林家さん喬師匠の「替わり目」が印象に残りましたな。それから、色ものののだゆきさんの鍵盤ハーモニカ漫談が、いつ見ても、その脱力具合が半端なく、最高です。寄席はパラダイスですな。
ジョナサン・グレイザー監督の『関心領域』を見ました。アウシュビッツ収容所の隣の瀟洒な邸宅に住むナチスの高官の家族の淡々とした日常を描きつつも、恐ろしい映画になっています。家族は隣の収容所の巨大な煙突から炎や煙が上がって、薄々きづいているらしくも、知らないふりをしている。壁の向こうの収容所から人々の苦悩や苦痛の声、銃声が聞こえつつも、家族は何も反応しない。そのうえ、今の世界から、ぼくには家族の長の身につけている軍服の鉤十字、ハーケンクロイツ、逆卍が、今のイスラエルの六芒星に見えてしまう。今という時代の最悪の壁はガザを取り囲む壁ではなかろうか? ニュースによれば、ジョナサン・グレイザー監督は米アカデミー賞の受賞スピーチで、パレスチナ自治区ガザで続く戦争に焦点を当て、ユダヤ人としての自分たちの存在やホロコーストが、ガザでの(イスラエルの)占領行為(の正当化)に「乗っ取られていることに異議を唱える」と述べたという。戦争と分断の時代であるような今こそ『関心領域』は観るべき映画だと思いました。
映画『関心領域 The Zone of Interest』オフィシャルサイト
新潮文庫の三島由紀夫の小説集『手長姫 英霊の声 1938-1966』を読む。表題の二つの小説以外に『酸模―秋彦の幼き思い出』、『家族合せ』、『日食』、『携帯用』、『S・O・S』、『魔法瓶』、『切符』を所収。その中で『英霊の声』のみ特異な小説だという印象を受けた。
『英霊の声』は1966年に発表された小説で、三島自ら、この小説を書くために、戦後を、恥を忍んで、鼻をつまんで生きてきたと語っている。この『英霊の声』は、大江健三郎の『セブンティーン』と『政治少年死す』、深沢七郎の『風流夢譚』から連なる、大江健三郎いわく「天皇制を持っている国家」について考えるための最も有力なテキスト、ナラティブではなかろうか。そして、この後に、大江健三郎の『みずから我が涙をぬぐいたまう日』が続く。
三島由紀夫も大江健三郎も深沢七郎も戦争を経験した人間として、人生のある時期、天皇制を内面化しており、これらの五つの小説は、それぞれがそれぞれに反駁しつつも、共通の志を持った、日本という国を考える上で、最も重要な小説なのかもしれない。
『手長姫 英霊の声―1938-1966―』 三島由紀夫
レイナルド・マーカス・グリーン監督の『ボブ・マーリー ONE LOVE』を見ました。ボブ・マーリーが聖人のようには描かれていないところがよかった。ボブ・マーリーの伝記映画にして、名曲が次から次へと流れる音楽映画です。デヴューの「Simmer Down」からラストの「Redeption Song」まで、ボブはいつも同じことを歌っているようにも思えてしまう。ぼくは映画のエンドロールを見ながら、天国にいるボブ・マーリーにふと心の中でこう語りかけてしまうでです。
今、ガザでは病院や学校に爆弾が落とされて、毎日、子どもたちが殺されていく。ボブ、何か歌ってはくれまいか。
ついに「One Love」が響き始め、そのリズムと歌が世界に響きわたり、すべての圧制が無に帰し、すべての人たちが平和に生きられるように、願い、祈ります。
映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』公式サイト
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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