えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

entry_top_w.png

VODで黒澤明監督の『素晴らしき日曜日』を見ました。1947年に公開された日本映画です。映画ってすごい。この映画を見ると、1947年の東京に行けるかのようです。終戦だか敗戦の二年後の米国占領下の日本です。

ストーリーは沼崎勲と中北千枝子の演ずる二人の若く貧しいカップルが日曜日にデートをするという話。

ラストの方の演出は『素晴らしき日曜日』の七年前のチャップリンの『独裁者』のようで、スクリーンの中で中北千枝子演ずるカップルの女性が映画を見ている観客に語りかけるというもの。同じような演出に寺山修司の『書を捨てよ町へ出よう』をぼくは思い出したりもします。

あー、『素晴らしき日曜日』に出てくるカップルは青春なのです。東京の町も、日本も青春で、青春とは何もなくて、それでも夢見ることであるような気がしました。ところで、最近、夢見ることを忘れてはいないか? 今のきみはどうだ? 今のぼくはどうだ? 今の日本はどうだ? 忌野清志郎もこう言っておりました。夢を忘れずに・・・
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

五月三十日、浅草演芸ホールの令和七年五月下席です。いつもは寄席は昼の部か夜の部のどちらかにいるのだが、今日は、昼前から夜まで、一日中、いました。落語と色もの漬けの一日でありました。

例のごとく、見た演目を書き連ねていきます。長いよ。まずは昼の部。前座ほ柳亭市悟くんの「たらちね」、二つ目の柳亭市好くんの「寄合酒」、林家たけ平師匠の漫談、ストレート松浦さんのジャグリング、二つ目の林家ぽん平くんのの「松竹梅」、柳家小せん師匠の「味噌蔵」、風藤松原のお二人の漫才、隅田川馬石師匠の「鰻屋」、三遊亭圓歌師匠の「やかん工事中」で仲入りです。つづくは林家楽一師匠の紙切り、春風亭一之輔師匠の「加賀の千代」、古今亭志ん輔師匠の「夕立勘五郎」、三増紋之助師匠の曲独楽、林家三平師匠の漫談、古今亭文菊師匠の「強情灸」で仲入りです。柳亭小燕枝師匠の「白犬」、ホンキートンクのお二人の漫才、林家正蔵師匠の「おすわどん」、春風亭一朝師匠の「蛙茶番」、立花家橘之助師匠の三味線弾きの唄いの浮世節、昼の部の主任の柳亭一馬師匠の「青菜」でした。夜の部は、蝶花楼桃花師匠の女ばかりの「桃組公演」でもありました。前座の林家たたみくんの「穴子でからぬけ」、二つ目の鈴々舎美馬さんの「マッチングアプリ」、二つ目の古今亭佑輔さんの「桃太郎」、蝶花楼桃花師匠と前座の金原亭杏寿さんのマジックやら歌とかの余興、柳家花ごめ師匠の「平林」、川柳つくし師匠の「女子会こわい」、立花家あまね師匠の三味線弾きの唄いの民謡、一龍斎貞鏡師匠の講談の「仙台の鬼夫婦」、松旭斎美智さんの松旭斎美登さんのお二人のマジック、三遊亭歌る多師匠の「町内の若い衆」で仲入りです。林家きく姫師匠の「手水廻し」、ニックスのお二人の漫才、柳亭こみち師匠の「そば清」、林家あずみさんの三味線漫談、林家つる子師匠の「ねずみ」の前編、夜の部「桃組公演」の主任は蝶花楼桃花師匠の「ねずみ」の後編でした。

とくに印象に残った演目です。春風亭一之輔師匠の「加賀の千代」と古今亭文菊師匠の「強情灸」で大爆笑で、やはりこの春風亭一之輔師匠と古今亭文菊師匠は真逆をゆく永遠のライバルですな。柳亭一馬師匠の「青菜」の大爆笑。川柳つくし師匠の「女子会こわい」が新作のあるある話で大いに笑ってしまいました。三遊亭歌る多師匠の「町内の若い衆」は大爆笑で、こわおもてのおかみさんの演じ方がすごいっす。そして、あの落ちですな。柳亭こみち師匠の「そば清」もよかった。林家つる子師匠と蝶花楼桃花師匠で前編と後編を話しわけた「ねずみ」は日光東照宮の眠り猫を彫った伝説の木彫師、左甚五郎をモデルにした人情噺で、日本人の心の一番、いいところ、美しいところを現しているよにも思えました。それにしても、蝶花楼桃花師匠は新しいことに挑戦するたびに、その話す落語が深くなっていっているようですぞ。

暗いこの世のつらさ忘れ、寄席は心のオアシスなのです。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

いつか、マーラーの交響曲第5番を生のオーケストラで聴きたい、と思っていたのですか、ついにサントリーホールでその夢はかなえられました。オーケストラの名前は「コバケンとその仲間たちオーケストラ」で、コバケンとは指揮者の小林研一郎さんのことで、オーケストラの面々は総勢120名にもなるアマチュアオーケストラ。コンサート会場の入口でわたされたプログラムにはこうあります。

「このオーケストラは、プロ・アマチュア・障がいの有無にかかわらず、活動趣旨に賛同する不特定多数の演奏家達とそれを支えるスタッフから構成され、知的障がいのある方々を招いて生の演奏を聴いていただく為にボランティアコンサートを行っている。「支え合い、共に生きる」ことで大きなエネルギーが生まれることをオーケストラという集合体で具現することを目指している。」

公開リハーサル付き、というコンサートで、しかも多くのアマチュアの演奏家の入ったオーケストラで、20世紀初頭に書かれた調性を逸脱することを志向し、不協和音と緊張に満ちた、現代音楽への橋渡しすら担ったこのマーラーの5番を演奏できるのか、という疑問と危惧は、その楽しい、曲の聴きどころも解説した公開リハーサルによって、早くも簡単に吹き飛びました。第一バイオリンのリーダーの瀬崎明日香さんこそプロだと思われますが、高校生らしき人も入ったコバケンとその仲間たちオーケストラはまぎれもない本物のオーケストラであったのです。素晴らしかった。マーラーの5番の、第一楽章の葬送の響きのソロのトランペットから始まり、第五楽章の光に満ちたかのような解決と解放へと向かうメロディーまで、その美しさを堪能いたしました。繰り返すも素晴らしいコンサートだったのです。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

夜、眠れなくて、ビデオ・オン・デマントで黒澤明監督の『わが青春に悔なし』を見ました。1946年の映画です。戦前の京都大学で1931年の満州事変とも柳条湖事件とも呼ばれるものの勃発時に起こった反体制運動、反戦運動とそれを端緒とするその後の活動家とそれに共感する原節子の演じる女性を主人公としては描いております。

この映画にどれほどのGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の介入、指示、指導、検閲があったかは分かりません。多分、こういう映画を作れ、との指示はあったのだろう。

大げさな演出はいかにも黒澤明の映画という気がします。そう、すでにまぎれもない黒澤映画なのです。

原節子は戦中に満州を舞台にした国策映画『新しき土』という日独合作映画に主演しているのだが、この『わが青春に悔なし』にはどのような気持ちで演技をしていたのだろう? 戦争協力者との汚名を晴らそうと思ったのか、思わなかったのか? 特高警察の刑事を志村喬が演じていて、活動家の母を杉村春子が演じていて、さすがだ、とも思い、この二人は戦後を代表する演技派の俳優で、早くもの揃い踏みです。

歴史は繰り返す、といいますが、昔の京都大学が今のハーバード大学と相似するようなのです。東西の冷戦は始まっていて、GHQの指導やら検閲があるにもかかわらず、「赤」と呼ばれた左翼の活動家を肯定的に描いているのが、少し不思議に思えました。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png
せめてものネットでのデモをする。今もガザでジェノサイド(大量虐殺)もしくはホロコースト(民俗殲滅)が進行している。子どもの体が爆弾によって切りきざまれたり、子どもが生きたまま焼かれていく。最悪の世界だ。イスラエルはジェノサイドをやめろ。イスラエルはホロコーストをやめろ。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

ヴィデオ・オン・デマントで佐々木康監督の『そよかぜ』を見ました。1945年の日本映画です。並木路子の演じるみちが舞台の照明係から抜擢されて、コーラス隊の一員となり、メインの歌手となるという物語。

楽団員の平松を演じる斎藤達雄の容貌が日本画家の横山大観みたいで、笑えます。あと、楽団員としては上原謙とか佐野周二など。佐野周二はなかなかいい。この映画から終戦直後の大ヒット曲「リンゴの唄」が生まれる。この映画は戦後のGHQ(連合国軍総司令部)の検閲を通った第1号映画とされ、そうではなかった、検閲はされていないという説もあるらしい。二葉あき子の演じる歌手が結婚を期に歌手を引退するというのは、いかにも古い価値観だという気もします。後の1947年に「胸の振子」でヒットとなる霧島昇が男性の歌手の役で登場します。ラストの方のリンゴ畑のシーンが、なんとも多幸感にあふれ、とてもいい。ありし日の純情な日本人の日本映画という気がしました。
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

国立能楽堂で能楽を見ました。狂言は大蔵流の「素袍落」、能は金春流の「井筒」でした。「井筒」は、ぼくが初めて見た能であります。いわば、能楽にはまったきっかけであります。世阿弥の作った複式夢幻能の名作です。能って静かな劇ですね。昔の生が夢となって、立ち現れ、夢として消えていくようだよ。なぜか、とても美しい。現は夢で、夢は現。幽玄が少しはわかるような気もします。
entry_bottom_w.png
<< 前のページ 次のページ >>
[17]  [18]  [19]  [20]  [21]  [22]  [23]  [24]  [25]  [26]  [27
plugin_top_w.png
カレンダー
10 2025/11 12
S M T W T F S
1
2 6
10 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
えいちゃんのお奨め

ライブのお知らせ

ぼくのTwitter

plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新コメント
[05/04 ペコ]
[12/23 ロンサム・スー]
[07/27 gmail account]
[08/29 えいちゃん]
[08/29 みさき]
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
ブログ内検索
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新トラックバック
plugin_bottom_w.png
Copyright えいちゃん(さかい きよたか) by えいちゃん All Rights Reserved.
Template by テンプレート@忍者ブログ