えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
二十歳前後のころ、友だちと合うと、挨拶がわりの言葉として、最近、どんなの聴いている、と言い合っていたのを思い出す。こんな感じ。
「最近、どんなの聴いてる?」
「マジック・サムの二枚組のライブ聴いてるよ」
「暑いのに、よくそんな熱苦しいブルース聴いてるな」
「これでこの夏をのりきるのよ。やっぱ暑い時は熱いもんだろ」
「夏は、やっぱビーチ・ボーイズだろ」
「そんな軟弱なもん聴くか」
「軟弱じゃないぜ。「ペット・サウンズ」とかアバンギャルドだよ」
「どこが?」
「リーダーのブライアン・ウィルソンとか、がいきちっていうぜ」
「へー」
「プールの中でわけわからないひとりごと言ってたんだってよ」
「ラモーンズってビーチボーイズの影響受けてんのかなー」
「そういえば、コーラスとか似ている気がする」
「来日した時、見に行ったなー」
「で、どうだった?」
「カマキリのお祈りだった」
「ボーカル、背が高いもんなー」
この調子で毎回毎会永遠と続きます。あのころは、いつだって、飽くことも知らずこんな話ばかりしていたものだけど、奈良美智の「ナラ・ライフ」という文集を読みながら、そのあのころを思い出しもした。なんかこの本を読んでいると、古い友だちに久しぶりに会った気がしたのです。実際に奈良さんはかなりの音楽通で、もしかして、彼はぼくよりも少し年上な兄貴分なのだけど、こんな会話すら成り立つのかもしれない。
「奈良くん、最近、何、聴いてる?」
「昔買ったダン・ペンのレコードが押入れのすみから出てきて、聴き直しているんだ」
「おー、メンフィスソウルの影の立役者」
「白人だけどいいよ。おまえは肌が黒い人間の音楽しか聞かないんじゃない」
「そんなことないよ。おれはロキシー・ミュージックにソウルを感じるね」
「ねとねとしたブライアン・フェリーの歌い方はかっこいいとか」
「デビッド・ボウイの「ステーション・トゥ・ステーション」なんかもろソウル」
「グラム・ロックといえばマーク・ボランとか嫁さんが黒人だぞ」
「リトル・フィートのローウェル・ジョージの嫁さんも黒人だ」
などと話し始めて、こうなるのです。
「ところで奈良くん、何して食っているの?」
「絵とか書いているんだ」
「よく、食っていけるなー。そういえば、絵とかよく描いていたっけ」
「ロック以外に絵画とかの芸術もおれのテーマだったんだよ」
「芸術ねー。漫画みたいなもんか」
「そうかもしれないなー」
「もしかして銀座のつぶれかかったギャラリーで奈良くんの絵とか二束三文で売ってたりして」
「見つけたら買えよなー」
「買う、買う、三十円で」
「三百円ぐらいは出せよな。ところで、おれ、今度、展覧会、開くんだ」
「すごいじゃん。どこで」
「横浜美術館だよ」
「へっ?」
失礼しました。これは、すべてぼくのつくり話の会話ですが、この本を読みながら、そんな再会感すらあった。昔話は好きじゃないけど、みんな、どうしているのかねー。バンド、やろーぜ。ぼくは最近あいかわらず、近所のバーで自分で作ったロックとかリズム・アンド・ブルーズみたいなのを弾き語りで歌っているよ。
この「ナラ・ライフ」という本、絵でも音楽でも詩でも小説でも方法は何でもいいのだけど、何か表現していきたいと思っている人には、本当にお薦めの本です。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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